「CCPMにおけるパイプラインマネジメントについて知りたい」

「パイプラインマネジメントの実施手順や具体的な役割を知りたい」

複数のプロジェクト管理をしている方の中には、タスクの集中やリソース不足によってプロジェクト進行が止まってしまった経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

パイプラインマネジメントは、CCPMにおける重要なアプローチ方法のひとつです。

パイプラインマネジメントの活用により、複数のプロジェクトであっても滞りなくスムーズに進行できるようになります。

この記事では、パイプラインマネジメントの概要や役割、実施手順について解説します。

マルチプロジェクトの管理に課題を抱えている方は、解決のきっかけになりますので、ぜひ最後までご覧ください。

パイプラインマネジメントとは

パイプラインマネジメントは、同時に複数のプロジェクトを進めなければならない状況(マルチプロジェクト)において、現場が「悪いマルチタスク」に陥らないよう、プロジェクトを戦略的に投入する管理手法です。

悪いマルチタスクとは、プロジェクトのスムーズな進行や早期達成につながらないマルチタスクのことを指します。

タスクを切り替える際に発生するリードタイムが、マルチタスクによって得られる効果以上に長くなる場合は、悪いマルチタスクに陥っているといえるでしょう。

パイプラインマネジメントを導入することで、実行中のプロジェクト数が常に適正に保たれます。

その結果、タスクの集中やリソース不足によるプロジェクトの停滞を防げるようになり、リードタイムの短縮やプロジェクトのスムーズな進行などの効果を得ることが可能です。

パイプラインマネジメントの必要性

マルチプロジェクトにおいてパイプラインマネジメントを実施しない場合、複数のプロジェクトで進行が停滞し、多くのプロジェクトで納期遅延が発生する事態につながります。

プロジェクトの停滞が発生する流れについては、学校で行われる避難訓練をイメージしてもらえばわかりやすいかもしれません。

避難訓練において生徒が自分勝手に動いてしまうと、出入口で混雑や混乱が発生して、全生徒が避難するまでに膨大な時間を要するでしょう。

このような事態にならないよう、先生が生徒を整列や指示をすることにより、出入口で混雑を起こさず素早い避難が可能です。

マルチプロジェクトにおいても同様です。

避難訓練における先生役をパイプラインマネージャーが担うことで、リソースの容量を超えずにタスクをスムーズに処理できます。

パイプラインマネージャーの役割

ここではパイプラインマネージャーの主な役割である次の2つについて解説します。

  1. プロジェクト投入計画の立案
  2. プロジェクト投入状況の確認・調整

詳しく見ていきましょう。

1.プロジェクト投入計画の立案

パイプラインマネージャーの主な役割の1つ目はプロジェクト投入計画の立案です。

まずは、投入計画の立案の前段階として、経営幹部や部門長などの関係者と相談しプロジェクトマネージャーを選定します。

次に、プロジェクトマネージャーに対して、プロジェクト運営全体を示す計画書の作成を依頼します。

最後にパイプラインマネージャー自身で、俯瞰的な計画書に基づいてプロジェクト投入計画を立案すれば、基本的なプロセスはすべて完了です。

また、作成した投入計画に対して経営幹部や部門長など関係者の承認を得るのも、パイプラインマネージャーの役割だといえるでしょう。

2.プロジェクト投入状況の確認・調整

プロジェクトの開始後は、定期的にミーティングを行い、プロジェクトが投入計画に沿って実行されているかを確認します。

プロジェクトの進行状況に問題や変更があった場合は、必要に応じてプロジェクトの追加や凍結、中止といった判断を行います。

パイプラインマネジメントの実施手順

ここでは、パイプラインマネジメントを実施する次の3つの手順について解説します。

  1. 仮想ドラムの設定
  2. 仮想ドラムのタイミング調整
  3. プロジェクトの投入タイミングの調整

詳しく見ていきましょう。

1.仮想ドラムの設定

まずは、仮想ドラムを設定しましょう。

仮想ドラムとは、マルチプロジェクトにおいてペースを定める手法のひとつです。

マルチプロジェクト環境においては、進行の停滞を防ぐために、各プロジェクトの開始日や完了日をずらす必要があります。

その「ずらし」を行う際に、基準点として仮想的に設定するポイントが仮想ドラムです。

全体のリズムを決定するドラム(太鼓)のような働きをすることから「仮想ドラム」と呼ばれています。

上記のような仮想ドラムを、プロジェクト内の作業経路が合流する「統合フェーズ」の箇所に設定します。

統合フェーズは、プロジェクト内のタスクが混在して停滞を起こしやすい部分です。

言い換えれば、リソース不足やタスクの集中が発生しやすいポイントに仮想ドラムを設定するということです。

2.仮想ドラムのタイミング調整

続いて、仮想ドラムのタイミングを調整します。

仮想ドラムが重なってしまうとプロジェクトの停滞を招きやすいため、仮想ドラムをずらし、重ならないようタイミングを調整します。

実際のプロジェクト進行においては、実行中のプロジェクト状況を確認しながらタイミング調整を行うことも少なくありません。

3.プロジェクトの投入タイミングの調整

最後にプロジェクトの投入タイミングを調整しましょう。

ずらした仮想ドラムに合わせて、各プロジェクトを投入するタイミングを調整します。

タイミングを調整した結果、納期遅延が発生しそうな場合は、プロジェクトの順番を変更すると良いでしょう。

CCPMにおけるその他のアプローチ方法

悪いマルチタスクを解消する方法には、パイプラインマネジメントの他にも、フルキットとバッファマネジメントという手法があります。

それぞれの仕組みは次の通りです。

フルキット

フルキットは、万全の状態でプロジェクトに臨めるよう、開始前に要件の明確化や体制の構築をしっかりと行う準備活動のことです。

事前に準備をしっかりと行うことにより、プロジェクト成功率の向上や手戻りの防止などの効果を得られます。

次の記事で、フルキットの詳細や活用手順、上手く活用するコツについて解説しておりますので、ぜひご覧ください。

関連記事:【CCPM】フルキットとは?プロジェクト開始前の準備方法や活用のコツ

バッファマネジメント

バッファマネジメントは、各タスクに設けられている時間的余裕、いわゆるバッファを一元管理するマネジメント手法です。

バッファを一元管理することにより、プロジェクト全体の進捗率にバッファの消費具合を把握できる、各タスクにおける業務の膨張を防げる、などのメリットを得ることができます。

より詳しいバッファマネジメントについては、次の記事で解説しておりますので、ぜひご覧ください。

関連記事:CCPMに不可欠なバッファマネジメントとは?重要な理由やコツを説明

まとめ:パイプラインマネジメントを使い全体を意識した進行をしよう

パイプラインマネジメントは、マルチプロジェクトを進める際に進行が滞らないよう、プロジェクトを戦略的に投入する管理手法です。

導入により、リソース不足やタスクの集中によるプロジェクトの停滞を防げます。

パイプラインマネジメントを上手く活用すれば、複雑なマルチプロジェクト環境においても、納期遅延を発生させることなくスムーズに進行できるようになりますので、ぜひこの記事を参考に取り組んでみてください。

またパイプラインマネジメントは、CCPMにおけるアプローチ方法のひとつです。

CCPMは、プロジェクト工程の最長経路であるクリティカルチェーンを改善する管理方法です。

ビーイングコンサルティングは、CCPMを用いたコンサルタントサービスを提供しています。

今回ご紹介したマルチプロジェクトや悪いマルチタスク化のほか、プロジェクト管理全般に課題を感じている方には、こちらの資料が参考になるはずです。

 

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