CCPM(クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント)の理解を深めたり、セミナーに参加したりする前に、まずは本を通じて基礎知識を学びたいと考えているプロジェクトマネージャーの方も多いのではないでしょうか。
基礎知識を把握するだけであれば、セミナーに参加するよりも本を購入するほうがコストを安く抑えられます。
また、自ら学んだ情報はプロジェクトチーム内で共有でき、メンバーがCCPMのことを深く知るきっかけとなります。
前もってCCPMの基礎知識を本で学んでおくことで、セミナーや研修に参加する場合に理解が進みやすくなります。
今回は、CCPMのおすすめ書籍や効果的な学び方をご紹介します。
CCPMに関する本のおすすめ7選
まずは、CCPMに関するおすすめの本を7つ紹介します。
クリティカルチェーン なぜ、プロジェクトは予定通りに進まないのか?
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エリヤフ・ゴールドラット博士によるシリーズ4作目(海外では3作目)で、テーマはTOCによるプロジェクトマネジメントです。
本書では、既存の手法が通じない経営問題に直面する主人公がTOCを導入して大きな成果をあげるという小説スタイルでTOCが説明されています。
ストーリーは、大学のエグゼクティブMBAのクラスが舞台です。
主人公の教授と、各業界から現行のプロジェクトの効率化を求められているプロジェクトマネージャーらが、議論をしながらTOCを取り入れ問題を解決していきます。
納期直前まで作業を始めない「学生症候群」や、結局は無駄になる「セーフティー(時間的余裕)」、クリティカルパス以外の作業の開始時期、プロジェクトの評価基準など、プロジェクトで問題となる部分がきちんと内容に織り込まれているため、プロジェクト管理全般に役立ちます。
また、TOCだけでなく、CCPMに必要不可欠なクリティカルチェーンについても述べられています。
クリティカルパスの変化やマルチタスク(掛け持ち作業)による人的リソース不足といった、実行段階の問題を解く新たな視点は大いに参考になるでしょう。
小説形式のためストーリーを楽しみながらTOC/CCPMを学べ、具体的な事例をもとにプロジェクトマネジメントの基本を順に追うことが可能です。
TOCの基礎知識を把握するとCCPMの理解が進みやすくなります。
TOCの最も基礎となる内容は、ゴールドラッド博士の1作目でベストセラーを記録した「ザ・ゴール」にて詳しく解説されています。
書籍名 | クリティカルチェーン なぜ、プロジェクトは予定通りに進まないのか? |
価格(税込) |
1,760円 |
著者 | エリヤフ ゴールドラット、三本木 亮 |
発行日 | 2003年10月31日 |
購入ページ | Amazon公式サイト |
TOC/CCPM標準ハンドブック
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TOC/CCPM標準ハンドブックは、大手企業に対するTOC/CCPM導入コンサルティングを主に担当している西原隆氏と、TOCのアプリケーションを活用したコンサルティング、トレーニングを提供している栗山潤氏が共同で執筆した著書です。
栗山潤氏は、TOC思考プロセス活用した戦略策定や問題解決支援、製造業開発部門やソフトウェア開発企業へのTOC/CCPMの導入などにも実績があります。
タスクの残り日数で管理するという、従来のプロジェクト管理にはないバッファマネジメントの方法論が書かれています。
実践的な解説と導入事例が豊富で、クリティカルチェーン法を学ぶならうってつけの一冊です。
収益改善のための、プロジェクトマネジメント・メソッドがよくわかります。
CCPMの基本からポイント、事例まですべて知ることができる便利な一冊です。
書籍名 | TOC/CCPM標準ハンドブック |
価格(税込) |
1,181円 |
著者 | 西原 隆、栗山 潤 |
発行日 | 2010年6月24日 |
購入ページ | Amazon公式サイト |
最短で達成する 全体最適のプロジェクトマネジメント
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「最短で達成する 全体最適のプロジェクトマネジメント」は、TOCの活動で幅広い成果を得てきた岸良裕司氏が執筆した著書です。
今までに執筆したTOC理論を用いたプロジェクトマネジメントのロングセラー本に、最新の研究理論も加えられています。
オールカラーでわかりやすいのが特徴で、また人間行動的なエッセンスが取り入れられており、現場でよく起きる物事について言及しているため実践でもすぐに学んだことが活かせます。
プロジェクトにかかわる人全てにおすすめできる一冊と言えるでしょう。
書籍名 | 最短で達成する 全体最適のプロジェクトマネジメント |
価格(税込) |
2,200円 |
著者 | 岸良 裕司 |
発行日 | 2012年4月19日 |
購入ページ | Amazon公式サイト |
Project Management進化論
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「Project Management進化論」では、プロジェクトマネジメントをスムーズに実行するための手順やポイントが物語形式で解説されています。
CCPMで重要となるバッファに関する考え方はもちろん、他にも目的の設定方法やタスクの優先順位の付け方についても述べられています。
基本的なことからCCPMやプロジェクトバッファ等の新しい考え方まで網羅されているため、プロジェクトの問題に対する対策や対応に悩むプロジェクトマネージャーにぜひ読んでほしい一冊です。
関連記事:CCPMに不可欠なバッファマネジメントとは?重要な理由やコツを説明
書籍名 | Project Management進化論 クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント――目的を達成するために、組織を動かし、“時間的余裕”を生み出す実践法とは? |
価格(税込) |
1,650円 |
著者 | 後藤 智博 渡瀬 智 西郷 智史 |
発行日 | 2012年4月19日 |
購入ページ | Amazon公式サイト |
図解 コレならできるクリティカルチェーン
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この本では、エリヤフ・ゴールドラット博士が提唱したTOCを、プロジェクトマネジメントに適用した際のクリティカルチェーンに関する内容が解説されています。
数多くの図解を用いたり事例を紹介したりと、非常に分かりやすくクリティカルチェーンが述べられているのが特徴です。
本書ではプロジェクトが遅れる理由として、学生症候群など計画段階および実行段階の人的特性を挙げています。
そのような人的特性を排除するため、作業計画は精度が高く無駄のない「ぎりぎりの計画」を目標にして立て、バッファはプロジェクト全体で集中してまとめて管理することを推奨しています。
CCPMの概要を図で視覚的に理解したい方におすすめです。
書籍名 | 図解 コレならできるクリティカルチェーン―もう、プロジェクトは遅れない! |
価格(税込) |
1,521円 |
著者 | 津曲 公二 中 憲治 酒井 昌昭 |
発行日 | 2004年4月1日 |
購入ページ | Amazon公式サイト |
進む!助け合える!WA(和)のプロジェクトマネジメント
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本書は、自身もプロジェクトマネージャーの経歴を持ち、ゴールドラット博士の理論に薫陶を受けた宮田一雄氏がCCPM理論を解説しています。
同理論を導入し、これまで実際にTOC理論をITプロジェクトに導入し大きな成果をあげてきた事例を数多く取り上げています。
例えば、基幹システム刷新の大規模プロジェクトや、サンノゼ・シリコンバレーでの意識改革への取組みなどが紹介されています。
プロジェクトで発生する遅延に対し、どの課題から優先的に解決すればいいのかわからないというプロジェクトマネージャーの方に向いています。
書籍名 | 進む! 助け合える! WA(和)のプロジェクトマネジメント―――プロマネとメンバーのためのCCPM理論 |
価格(税込) |
1,650円 |
著者 | 宮田 一雄 |
発行日 | 2017年4月6日 |
購入ページ | Amazon公式サイト |
PMプロジェクト・マネジメント クリティカル・チェーン
出典:Amazon
本書は、プロジェクトの工期を大幅に短縮するための方法が解説されています。
CCPMの解説書であり、以下の目次で話が展開されます。
- 序章:本当にプロジェクトの工期を半分にできるのか?
- 第1章:なぜクリティカル・チェーンなのか
- 第2章:プロジェクトがなぜうまく進まないのか―依存関係とバラツキ
- 第3章:プロジェクトを成功させるクリティカル・チェーン法
- 第4章:クリティカル・チェーンによるパラダイム転換
- 第5章:クリティカル・チェーン導入のためのQ&A
序章ではプロジェクトの工期短縮を実現したプロジェクトの例の紹介で、1章ではプロジェクトのリードタイムの短縮が求められている背景と短縮するための幾つかの手法について説明しています。
そして2章では、プロジェクトが上手く進まない要因について、3章ではこれらの問題に対する総合的なソリューションとしてクリティカルチェーン法を解説します。
4章では、プロジェクトマネジメント手法の変遷を説明することで、従来のクリティカルパス法とCCPM法の違いを説明しています。
やや専門的なので、ほかの本で基礎知識を習得してから読むことをおすすめします。
書籍名 | PMプロジェクト・マネジメントクリティカル・チェーン |
価格(税込) |
1,454円 |
著者 | 中嶋 秀隆、津曲 公二 |
発行日 | 2003年5月30日 |
購入ページ | Amazon公式サイト |
CCPMの本を読むときのポイント
ここでは、CCPMに関する本を読むときのポイントを紹介します。
複数の本に目を通す
本は一冊に限定せず、同時に複数の書籍を読みましょう。
平行して読むことで、幅広い視野を持つことが可能です。
例えば、ある書籍では「プロジェクトは外部のコンサルを活用すべし」と書いているのに対し、別の書籍では「可能な限り組織内のリソースでプロジェクトは回すべき」と書かれているとします。
どちらの意見も間違いではありませんが、どちらか片方の意見しか目を通していない場合は視野が狭くなります。
また、多くの書籍に共通して書かれていることは大切なことだという判断も可能です。
ビジネスの勉強では、幅広い知識を取り入れつつ自分の場合には何が役立つ情報かを考えながら学ぶことが重要です。
重要なポイントに線を引く
重要と思える単語や文章に線を引くことで、内容がより記憶に残りやすくなります。
また、後で読み返した際に線の引かれた部分を重点的に読むことで効率的に知識を得られます。
漠然と読み進めていると重要な箇所に気付かず、読み飛ばしてしまいがちですが、線を引くことを意識したりメモを取ったりすることで集中して最後まで読み通すことが可能です。
最近は電子書籍でも線を引くことが可能なため、ペンを使いにくい電車の中などでも線を引きながら読み進められます。
インプットとアウトプットを繰り返す
本を読むことはインプットに当たりますが、アウトプットも忘れずに実施しましょう。
アウトプットすることで、本で読んだ内容がより頭に定着します。
CCPMのアウトプットは、実際に仕事で取り入れてみることで実現します。
例えば、書籍には事例が書かれていることも多いので、同じような場面に遭遇した場合は積極的に実践してみましょう。
仕事現場で実践するのが難しいという場合は、仲の良い友人や知り合いに協力を仰ぐと良いでしょう。
プロジェクトメンバー間で本を共有する
読んだ本の内容はプロジェクトメンバー間で積極的に共有しましょう。
共有することで知識が共有され、プロジェクトメンバー全体の知識レベル向上につながります。
ただし、強く本を勧めすぎて押し売り感が出てしまうと不信感につながるので注意しましょう。
本を読むこと以外のCCPM学習方法
もう少しお手軽で分かりやすい方法を探すため、ここではCCPMを本で学ぶ以外の方法についても目を向けてみましょう。
どの方法であっても大切にすべきは「CCPMのプロが発信する信頼できる情報であること」です。
情報を探す際は、そのあたりにも留意してみるとよりよい情報に出会えます。
Webを活用する
何かわからないことがあれば、簡単に情報にアクセスできるのがWebの良いところです。
Web上の情報は無料で取得できるため、CCPMの基礎知識程度ならコストをかけずに習得できます。
ただし、高度で専門的な知識を習得する場合は、Webではなく本がおすすめです。
リンクをたどってさまざまな情報にアクセスしなければならないWebとは違い、本は体系的な知識が1冊にまとめられているため、より効率的な学習につながります。
セミナーを受講する
プロの知識を短時間で頭に入れる方法として有効なのが、セミナーへの参加です。
知識をただ詰め込むだけでなく、ワークショップや質疑などを通してより実践的な知識に近づけるのもセミナーのメリットといえるでしょう。
「お金を払ってでも、手っ取り早く使える知識をつけたい」という方には最適な方法です。
デメリットは、セミナーの内容や主催者の信頼性を確認するのに時間や手間がかかることです。
とはいえ、「高いお金を払って受講したものの、内容がいまいちだった」いう失敗を避けられるよう、参加する前に徹底して情報を集めましょう。
ビーイングコンサルティングをはじめ、CCPMの無料セミナーを開催している企業もあるので、参加しやすいセミナー探しから始めるのもおすすめです。
学び始める前に知っておきたいCCPMの基礎知識
本やセミナーを使ってCCPMを学習する場合は、まず基礎知識を押さえておくことが大切です。
ここでは、CCPMの最も基本的な概念をご紹介します。
そもそもCCPMとは?
CCPMは、TOCというマネジメント手法の中に含まれる考え方のひとつです。
TOCは制約条件の理論と呼ばれる生産管理手法です
生産ラインのなかにある制約(ボトルネック)を見つけ、それを解消することで、全体的な生産量の向上を目指します。
TOCの考え方はプロジェクトにおける工程にも応用できるため、いまではプロジェクトマネジメント領域でも活用されています。
例えば、プロジェクトを進めるうえで最も手間と時間がかかる工程がボトルネックです。
その工程に対して不足する人的リソースを投入したり、各タスクの無駄を見直したりすることで、納期の短縮やプロジェクトのスムーズな進行が可能になります。
関連記事:ビジネスを成功に導くTOCとは?改善の5段階集中プロセスや理念を解説
CCPMは、プロジェクトのスケジュールに時間的余裕(バッファ)を設けて、各タスクの納期を短縮する手法です。
最も長い時間がかかる工程(クリティカルチェーン)で浪費しがちなバッファを最適化することで、プロジェクト全体の遅延を解消できます。
CCPMはどのように使うもの?
CCPMをプロジェクトに活用する場合、大きく3つの手順を踏むことになります。
- まずは、プロジェクトを構想
- つぎに、ネットワークを構築
- 最後にCCPM式にスケジュールを再構築し、実際の工程開始へと進んでいきます。
このプロセスを踏むことで、確実にプロジェクト管理はよりよい方向へと進んでいけるのです。
関連記事:CCPMのプロジェクト管理手法|従来のデメリットを解決
まとめ:本を読んでCCPMを理解するきっかけを作ろう
本をもとに学習することでCCPMをより深く知るきっかけになります。
先に本を読んでCCPMを学習しておくと、CCPM関連のセミナーや研修に参加する場合でも理解が進みやすくなるでしょう。
CCPMの本を読むときのポイントを、簡潔に以下にまとめました。
- 複数の書籍に目を通す
- 重要なポイントに線を引く
- アウトプットを忘れない
- 読んだ本はプロジェクトメンバーに広く共有する
また、CCPMの本を読む前に、当社ビーイングコンサルティングが提供する無料の「CCPMの定着ポイント」も参考にしてください。
他にも、当社はプロジェクト管理に関するコンサルティングサービスも提供をしています。
コンサルティングサービスは、以下のようなというようなお悩みを持つ方におすすめです。
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