前職ではITプロジェクトのプロジェクトマネージャーとして奮闘していましたが、当時のことを振り返ってみると反省することがあります。
今回はそんな例を2つ上げたいと思います。

◆例1:全体最適の意識不足

あるサイトリニューアルのプロジェクトに携わった時のことです。

巨大なシステムでしたので、機能ごとにプロジェクト化されその1つを担当していました。担当プロジェクトは大きな課題もなく順調に進んでいる一方で、問題を抱えている他のプロジェクトがあることも認識していました。

今思えば、「自分のプロジェクトは上手くいっているが、他のプロジェクトは上手くいってないな」とどこか心の片隅で他人事のように思っていたのだと思います。

結果としてリリース前になって他のプロジェクトが火を吹き、仕様の一部を再検討することとなり、リリースは延期せざるを得ない状況になりました。

プロジェクトの進行中も色々なトラブルがあり、上手くいっていないことは把握していましたので、自分のプロジェクトメンバーに支援に行ってもらう、また、チームの枠を超えて皆で対策に向けて知恵を絞り先手で対策を実行できていればリリースの延期は防げたかもしれませんが、当時は担当プロジェクトしか視野に入っておらず、全体最適ではなく部分最適の考えに陥っていました。

もしかするとその機能の技術的難易度が高かっただけで、不測の事態が発生していたら自分のプロジェクトも遅れていたかもしれない。などと恥ずかしながら反省することばかりです。

◆例2:見失っていた目的

また別のプロジェクトで、ECサイトの保守を担当していた時期に発注処理でトラブルがありました。

その時に責任者である私が取った行動は、まず異常の原因を調査し、原因を解消して発注処理をしようというものでした。黙々と調査をしていると、上司から「お前は何をしているのだ?まずしないといけないことは何か考えてみろ!」と強く指摘されました。

ECサイトですので当然その先には購入者がいて、商品が配達されるのをワクワクして待っているかもしれませんし、発送できなければ非常に困る事があるかもしれませんので、優先すべきことはシステムを通さなくも商品が発送されるようにリカバリーすることですが、当時の私は視野が狭かったのでシステムトラブルの原因調査を優先してしまいました。

本当の目的は注文してくださったお客様に確実に商品を届けることでECサイトはその手段の1つに過ぎないという事を日々の業務の中で見失っていました。

◆目的の重要性

捉え方で仕事の活力や情熱が大幅に変わるという有名な例え話があります。
『ピラミッドを作っている人に「何をしているのですか?」と聞くと、ある人は「石を運んでいます。」と答え、ある人は「ピラミッドを作っています。」と言った。』
まさに私は石を運ぶ事に意識をとらわれてピラミッド全体を見ることができていなかったのです。

TOCに出会い、プロジェクトに限らず、仕事は皆で1つの目的に向かってマネージャーから新人まで各々が、≪今やるべき事≫、≪今やるべきでない事≫の優先順位を明確にして進める事、組織の目的に沿って全体最適の視点でチームをマネジメントする事の大切さに気付かされました。

一見複雑に見える市場や組織、業務でも、本来その目的はシンプルなはずです。もし、目的を見失っているなと感じたら、まず少し立ち止まって、メンバーと一緒に目的を見つめ直してみてはどうでしょうか。

チーフコンサルタント
西郷 智史

 

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