TOC(制約条件の理論)は制約を集中的に徹底活用し改善する経営手法ですが、TOCは実は日常にあふれています。

今回身近な例として考えたシチュエーションは「料理」です。

まずは、「料理」の環境から見てみると、キッチンの環境はコンロの数、調理スペースの広さ、流し台の大きさなど家庭によって様々です。また、メニューによって使う鍋の数、材料の数、調理時間が異なります。要するにその環境ごとで制約が違うということです。

多くの企業でマネジメント、プロジェクト、生産、タスクの「詰め込み過ぎ」が慢性化している状況ではないでしょうか。製造業では早すぎる生産開始、プロジェクト環境ではプロジェクトを早く開始し過ぎてキャパシティに対して同時実行数が多くなり、納期遅延や過度な残業でカバーしている状況を見てきました。

これを料理に置き換えてみると、同時に、メインとサラダと味噌汁と惣菜を作り始めるようなものです。調理場に材料が溢れ返って何がどの料理の材料が分らず、材料を揃えてもコンロの空き待ち状態になり、混乱した状態で調味料の入れ忘れや、火加減のコントロールもままならない状態でお世辞にも手際が良いとはいえない状況に陥ってしまい、結局夕食の時間が遅れてしまいます。

メニューが決まったら、レシピを考え(設計、要件定義)、買い出し(調達)をして、夕食の時間に完成するように計画を立て(納期とスケジューリング)、必要であれば下ごしらえ(準備)、材料を切り、調理して(製造、組立)、味見をして(テスト)、盛り付け(リリース、納品)をする。

この流れをキッチンという制約がある中で、例えばコンロを多く使う料理であれば、まずは制約であるコンロをどの順番で使えば一番効率が良いかや材料の火の通りやすさから調理順序を考慮し、材料を切る順番を決め、手際良く調理していき、見事に料理が完成していく様を思い浮かべると、もしかしたら、ご家庭でおいしい料理を出してくれているパートナーは自然にTOCのソリューションを実行しているのではと考えさせられるものがあります。

今回は料理をテーマにして考えてみましたが、TOCの考え方が適用できる場面はまだまだ日常の中にあります。裏を返すと日常の中にも企業活動に繋がるヒントが隠されているということにもなります。そう考えると普段なんとなく見過ごしている場面に注目し、違う視点で考えてみることも楽しくなってくるのではないでしょうか。

また違うシチュエーションが閃きましたらご紹介したいと思います!

チーフコンサルタント
西郷 智史

 

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