どのような企業でも、成長や事業拡大のためには、目標に対して実績が伴っているのかどうかを分析し、試行錯誤することが必要です。

そこで必要になるのが予実管理表です。

予実管理表はさまざまな作り方、運用法がありますが、自社に適した形のものを使うことで、最大限に利益を生むことができます。

なかでもエクセルを使う場合は馴染みのあるツールだけあり、多くの企業で気軽に取り入れることが可能です。

この記事では、予実管理表をエクセルで作成する方法やメリット・デメリットを解説します。

無料のテンプレートもあるので予実管理表の作成に活用してください。

予実管理とは

予実管理とは、目標として設定した予算通りに実績が推移しているかどうかを明らかにするための管理手法です。

予算と実績の数値を比較し、細かく分析することで、企業における予算の達成度や今後の課題を明確にできます。

例えば、予算と実績に差がありすぎる場合は、設定した予算が高すぎて達成が困難である状況が分かります。

逆に、予算を早い段階で達成してしまっている場合は、予算設定が低すぎると判断ができます。

予実管理をすることで、企業の現状や課題を見つけ出し、事業内容を改善させていくことができます。

予実管理表をエクセルで作成するメリット

多くの企業で用いられているエクセルですが、予実管理表を作る場合にも効果的に活用できます。

専用のシステムを導入する場合に比べ、導入・運用コストを抑えられるのも利点です。

本章では、エクセルで予実管理表を作った場合のメリットを解説します。

導入コストを最小限に抑えられる

エクセルで予実管理表を作る場合、導入コストがほとんどかかりません。

予実管理をする際、予実管理ツールの導入や独自のシステム開発などを考える場合、相応にコストがかかります。

エクセルで作る場合、ほとんどの企業ではエクセルが既にインストールされているため、予実管理のためだけに導入費用をかけずに済みます。

馴染みのあるツールで作業を行える

エクセルは多くの日本企業で日常的に使用されているため、従業員が操作に慣れているケースも多いでしょう。

使用するにあたってエクセル以外の新たな知識を必要としないため、導入後すぐに予実管理を始められます。

エクセルを使い慣れている従業員ならば、抵抗なく受け入れられるでしょう。

レイアウトを自由にカスタマイズできる

予実管理表を作るためには、自社の業務に適したフォーマットを作成する必要がありますが、エクセルであれば、より自由な形式で作成できます。

編集も自在に行えるため、管理項目に変更があった際にも対応が容易です。

自社にあった予実管理表をいちから作成する手間が気になる場合、Web上に配布されている無料テンプレートを使うと良いでしょう。

目的に合うテンプレートを使えば、より効率的に管理表を作成できます。

マクロやVBAで業務の自動化につながる

エクセルの操作を自動化するマクロやVBAを使うことで、業務効率が向上します。

マクロとはプログラムを組むことでエクセルの操作を自動化する機能、VBAはマクロのプログラムを記述しているプログラミング言語のことです。

自動化するマクロ機能の中身がVBAで記述されている、と考えるとわかりやすいでしょう。

適切にマクロを組むことで不要な作業が減少するため、従業員の作業時間や労力の削減が可能です。

他の作業にリソースを割けるようになった結果、業務効率化に結び付きます。

予実管理表をエクセルで作成するデメリット

エクセルで作る予実管理表は前述したメリットがある反面、いくつかのデメリットも存在します。

ここでは、予実管理表をエクセルで作成した場合のデメリットを3つ紹介します。

複数人による同時編集が難しい

企業ではチームでタスク管理を行う場合もありますが、エクセルは複数人で同時編集するのにはあまり向いていないツールです。

エクセルを使用していて良く問題になるのが、同じファイルを同時に編集できずに作業が進まないことです。

エクセルファイルを複数人で共同編集する際、データの整合性を保つためにファイルをロックし、一人だけでファイルを編集する必要があります。

この場合、誰かがファイルを編集している場合には他者が編集できず、作業効率が落ちてしまいます。

また、共有機能を使用する際に一部機能に制限がかかってしまうこともあり、共同編集をスムーズに行うのは難しいと考えてよいでしょう。

ヒューマンエラーが起こりやすい

エクセルで作った予実管理表は、人の手でデータを入力・管理する関係上、ヒューマンエラーが発生してしまう可能性があります。

エクセルは一度改変してしまうと、元の状態に戻すのが困難なツールです。

誤ったデータで上書きしてしまい、それが原因で大きなトラブルにつながってしまう可能性があります。

例えば、不注意で間違ったデータを入力してしまったり、知識が足りずマクロの部分を勝手に編集してしまって機能しなくなったり、といったトラブルが考えられるでしょう。

また、管理表を添付したデータを外部に誤送信してしまうなど、データが社外に漏れてしまうことも起こり得ます。

本格的なデータ分析には向いていない

エクセルは、膨大なデータを処理するには向いておらず、扱うデータ容量が増えるほど動作が重くなってしまいます。

特に大企業の場合は、取り扱うデータ量が膨大になるケースも珍しくありません

エクセルにデータの入力はできたとしても分析する際に動作が重くなり、業務効率が悪くなる可能性があります。

最悪の場合フリーズしてしまって、入力したデータが消えてしまうこともあり得るでしょう。

管理するデータの多い企業や部署には、エクセルを使った予実管理表は適さしていないといえます。

エクセルの予実管理表に必要な項目

予実管理表で最も明確にすべき項目は、事業内当期累計と当期予算、予算比、前年比といった分析に必要な箇所です。

これらを一目で把握するために予実管理表が使われますが、必要な項目は多岐にわたり、事業内容によって異なります。

設定する管理項目は、大まかに分けると以下の通りです。

  • 売上高
  • 売上原価
  • 売上総利益
  • 人件費
  • 外注費
  • 経費
  • 営業利益

表の縦軸にこうした管理項目を設定し、横軸には前述した当期予算や予算比などの項目を配置すると良いでしょう。

これらの項目の中でさらに細かく予実を管理する企業もあれば、項目を減らしシンプルに作り上げる企業もあります。

必要な項目を取捨選択することで、より事業に適した形の予実管理表に仕上げることが可能です。

エクセルで予実管理表を作る際のポイント

予実管理表を作るのは、エクセルを使えばそう難しくありません。

ただ、作る際に成功させるためのポイントを押さえることで、さらに良い物に仕上げることができます。

ここでは、予実管理表をエクセルで作成するうえで、注意したい2つのポイントを説明します。

明確な予算を設定する

予算管理においては、目標を定めつつ予算設定を明確にすることが重要です

予実管理は、実際に設定した予算と実績が具体的な数字として表されます。

そのため、明らかにデータに基づかずに決めたような不明確な予算設定をしてしまうと、予実を管理できているとは言い難くなってしまいます。

例えば、簡単に到達できる予算設定をすると容易に実現できてしまうため、それ以上の結果につながることはありません。

逆に予算設定を高くしすぎてしまうと、達成に必死になるあまりデータ分析に必要な企業の強みや弱点が見えずに終わってしまう可能性があります。

予実管理は、自社の課題を抽出し改善するための施策であるため、明確な予算設定が必要です。

複雑に作りすぎない

予実管理表は、可能な限り明瞭なものを作成することが望ましいといえます。

仮に入力データが多すぎると内容が複雑になりやすく、データの比較が困難になる場合があります。

データを詰め込みすぎて、予算と実績を一目で比較検討できない場合は、入力データを減らしたほうがより予実管理表の役割を果たしやすくなります。

可能であれば、比較すべきデータは1画面内に収まるように作成すると、予算と実績の比較検討がスムーズに行えるでしょう。

表の視認性を高めることが、そのまま業務効率の向上へとつながります。

予実管理表作成に役立つ無料エクセルテンプレート5選

予実管理表をいちから作るとなると、時間も労力も必要以上にかかってしまい、導入がスムーズにいかない場合もあるでしょう。

もし、効率的に予実管理表を作成したい場合、テンプレートを使うのがおすすめです。

Web上でダウンロードできる無料テンプレートを使えば、すぐに予実管理表を作成できます。

ここでは、予実管理表作成に役立つ無料エクセルテンプレートを5つご紹介します。

みんエクの予算管理表テンプレート

こちらは、みんエク(みんなのExcelテンプレート)で公開されているエクセルテンプレートです。

多数の管理項目で分けられており、事細かな予算の管理が可能です。

月次の経常損益や特別損益の予実を管理する際に適しています。

【みんエクの予算管理表テンプレート】
http://all-excel.net/t_yosankanri001.html

マーキャリMediaの予算管理テンプレート

マーキャリMediaで公開されている、シンプルなデザインの予算管理テンプレートです。

月次項目が設定されているため、そこに予実を入力することで、年度全体の合計予算を一目で把握できます。

また、予算の項目が2つに分かれているので、2つの予算内容を同時まとめられるため、事業全体の予実管理に向いています。

【マーキャリMediaの予算管理テンプレート】
https://media.mar-cari.jp/article/detail/562

bizoceanのテンプレート

こちらは、ビジネス書式のテンプレートを手がけるbizocean(ビズオーシャン)が提供する予実管理テンプレートです。

日々の目標と実績から月ごとの達成率を算出し、売り上げの管理が可能です。

達成率のパーセンテージをグラフで表示してくれるので、一目で分かりやすい予算管理表を作れます。

【bizoceanのテンプレート
https://www.bizocean.jp/doc/detail/519474/

Excelフリーソフト館の予実管理表テンプレート

Excelフリーソフト館が提供している予実管理表の無料テンプレートです。

項目は科目・予算・実績・差額・合計の5つに分かれており、月ごとにデータを入力していくことで、4月初めから3月までの年度ごとにデータをまとめることができます。

予実と実績を各セルに入力することで、差額と合計が自動的に計算されます。

【Excelフリーソフト館の予実管理表テンプレート】
http://www.iris.dti.ne.jp/~excel07/yojitu.htm

経理プラスの予実管理テンプレート

経理プラスが提供している予実管理表のテンプレートです。

そのまま運用をする形に整えられた一般的なテンプレートと違い、既存の予実管理表をバージョンアップさせる目的で作成されています。

多くの管理項目が設定されており、より細かく予実データを管理できます。

【経理プラスの予実管理テンプレート】
https://keiriplus.jp/tips/template_yojitsukanri/

エクセルと予実管理ツールのどちらがおすすめ?

予実管理する場合、エクセルを使ったほうが良い企業と、ツールを導入するべき企業とそれぞれ特徴が異なります。

例えば、予算や扱うデータ量が限られている場合や、扱う人員がそこまで多くない場合は、エクセルを使った予実管理が適しています。

一方で、エクセルでは処理しきれないようなデータ量を扱い、詳細なデータ分析が必要になる場合はツールの導入を検討する必要があるでしょう。

企業や部署の特性に適したツールを導入しましょう。

まとめ:目的を明確にしたうえで予実管理表を作成しよう

エクセルは多くの企業が使い慣れているツールであり、エクセルで予実管理表を作り、運用するのは難しくありません。

導入コストが少なく済むこと、マクロでの業務効率化ができることなどから、エクセルで予実管理するのには多くのメリットが存在していることがわかります。

エクセルよりもツールを使う方が向いている企業や部署もあるため、自社の目的や特性に合わせて、適したものを導入しましょう。

どのような手段で予実管理を行うにしても、前提として、プロジェクトがスムーズ運営されているかどうか注意しなければなりません。

スムーズなプロジェクトの運営のために、基本的なマネジメント手法を押さえておく必要がありますが、その手法のひとつがCCPMです。

CCPMはプロジェクト内のタスク納期を短縮し、バッファを設ける手法のことです。

当社ビーイングコンサルティングは、CCPM導入のプロとして、多くの企業でプロジェクト管理の適正化を成功に導いてきました。

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