社内で山積する問題、解決できずになんとなく放置している方も多いでしょう。
解決できない原因の多くは「対立が生じている」点にあります。
根底にある意見の対立、条件の対立など、一筋縄ではいかない対立を解消する方法があるのをご存知ですか?
それが、今回ご紹介するTOCクラウドです。
TOCクラウド、別名「対立解消図」は社内の問題に限らず、日常で生じる問題の解決にも使えるツール。
使いこなすことで、多くの対立関係を解消することも可能です。
以下で、問題の分析からTOCクラウドの使用方法まで、詳しく解説していきます。
TOCクラウドを使う前にまずは問題を整理しよう
力関係や思惑が絡み合う、一見解決が難しいように見える問題も、実はTOCクラウドを活用すればスムーズに解決策を発見できます。
まず重要になる点は、問題の構造や背景を明確に把握することです。
ここでは一度立ち止まって、問題そのものについて深く考えてみましょう。
問題解決が難しい理由
どうして問題がなかなか解決できないのか?とお悩みの方も多いでしょう。
まず解決策を考えたくなるのをこらえて、一度問題の背景を捉えてみることが大切です。
問題が解決しない背景にあるのはズバリ「対立」です。
一方の考えを通そうとすれば、どこかで反発が起きてしまいます。
だからこそ、問題は問題としてずっと居座り続けるのです。
ここで必要な問いが「なぜその対立が生じているのか?」というものです。
問題に対して「なぜ?」を深く追求することが、解決策への道筋になります。
実例で見る問題の対立構造
ではここで、実際によく起こりうる問題から、対立構造をより分かりやすくお伝えします。
今回想定するのは、とあるサプライチェーンです。
「店舗や集約拠点の適正な在庫量が決定できない」という問題を抱えています。
企業として経済活動を行っているため、大前提となる目標は「企業が儲け続けること」です。
その目標を叶えるため、問題の中では「在庫を多く持つこと」VS「在庫を多く持たない」がそれぞれの正当性をもって対立しています。
それぞれの対立項について詳しく見てみましょう。
「在庫を多く持つ」ことは背景に
「儲け続ける」
↓そのために
「売上を確保する」
↓そのために
「在庫を多く持つ」
↓なぜならば
モノが確保されていないと顧客の要求に応えられないから
という理由があります。
一方で「在庫を多く持たない」ことは背景に
「儲け続ける」
↓ そのために
「コストを抑える」
↓そのために
「在庫を多く持たない」
↓ なぜならば
在庫を抱えると在庫管理の費用が掛かり、不良在庫が発生する
という理由があります。
目指しているゴール「企業が儲け続ける」ことは同じでも、異なる背景を持つ「在庫を多く持つ」と「在庫を多く持たない」は対立してしまいます。
注目すべきはそれぞれに異なるニーズが存在し、ニーズを満たすための「行動」の部分が対立している点です。
どちらか一方の行動を選択すると、もう片方のニーズを満たす事はできません。
ここではありがちな解決策の1つとして、「売上上位の品目のみ在庫を多めに置く」とどうなるか考えてみましょう。
一見最適解に思えますが、在庫を多くした品目の売上げが低下すると一気に在庫を抱えるリスクをはらんでいます。
こうした妥協案では、本質的な解決に至らずいたちごっこを続けてしまうだけです。
TOCクラウドを活用すると、対立するニーズを満たす解決策を発見できます。
第一歩として、まずは問題の対立がどうして生じるのか、事例で行ったように深堀りすることが不可欠です。
対立構造の整理にはTOCクラウドが最適
実例のような対立構造を持つ問題を解決するのに最適なのが、TOCクラウドです。
TOCとは、日本語で「制約条件の理論」と呼ばれ、組織のパフォーマンスを改善するマネジメント手法を指しています。
「現在から将来にわたって儲けつづける」ことを目標に、ボトルネックになっている箇所を探し出し、集中的に改善するというのが大きな特徴です。
当社ビーイングコンサルティングは、日々このTOCを活用し問題解決をはじめとした業務改善を行っています。
以下では、対立構造の解消にTOCクラウドがどのように用いられるか解説していきます。
TOCクラウドを使って問題を解決するには
簡単に整理すると、TOCクラウドは対立している要求に共通している目的と背景を把握し、両立できる解決手段を考えることです。
ここで覚えておきたいのは、共通の目的があるときには、対立は必ず解消できるということです。
対立するニーズのどちらかをねじ伏せることなく、第3の道を探ってみましょう。
たとえば、今回の例にTOCクラウドを適応した場合は、妥協案のような需要予測精度に頼る方法はとりません。
「在庫を多く持たず、かつ必要なモノが・必要な場所に・必要な数がある状態を実現できる」方法をとるのが適切な解決策となります。
企業の形態や置かれた状況によって、この具体的な方法は異なってきます。
具体例を挙げるのであれば、「一度に仕入れる量をコントロールし、1日一回少しずつ在庫を仕入れる」などがひとつの有効な策になりうるでしょう。
重要なのは、対立のそれぞれを解決することではなく、共通している大きな目的を達成することが目標である点です。
視座を一段高く持つことで、対立を解消できるのはもちろん、そもそもの目標を達成するための根本的な解決が見つかります。
TOCクラウドの具体的な活用プロセスとは
解決できずに残っている問題には、必ず背景に対立が存在していることがご理解いただけたでしょう。
それでは実際に、TOCクラウドを用いた問題の解決方法を順を追ってご紹介します。
まずはじめに情報収集を行いましょう。
問題に関わる事業部門や組織のステークホルダーから、それぞれの目線をヒアリングします。
次に、出てきた問題をマッピングします。
ここで一旦、TOCクラウドについて詳しく見てみましょう。
TOCクラウドは以下の5つの要素でできています。
TOCクラウド5つの要素
- 対立する行動2つ
- それぞれの行動が要望していること(行動につき1つ、計2つ)
- 共通の目的 1つ
この5つの要素が整理できたら、要素を手がかりに、要望を両立できる解決手段を考えていきます。
大切なのは、それぞれの要望を両立できる解決策であることです。
最終の目的が同じであれば、お互いにWIN-WINな解決策が必ず発見できます。
TOCクラウドであらゆる行き詰まりを解消
今回は企業での問題を例にTOCクラウド=対立解消図の解説を行いました。
実は組織規模だけでなく、個人単位でも取り入れられるとてもシンプルな考え方なのです。
コンサルティングを行う私たち自身、何か業務で問題が生じた際は、頭の中で自然に対立解消図を思い浮かべて解決を図ることも少なくありません。
ぜひ一度、身近な問題にTOCクラウドの考えを取り入れてみてください。
きっとその思考が業務でも大きな効果をもたらしてくれるでしょう。
まとめ:社内の問題、TOCクラウドで解消してみませんか?
TOCクラウド、別名「対立解消図」は、使いこなすことであらゆるシーンにおける問題解決をスムーズに行えるツールです。
ビーイングコンサルティングでは、実際の企業への導入においても多大な実績を残してきました。
ちなみに、TOCについて以下の資料でさらに詳しく説明しています。
TOCについてさらに知りたい方は、ぜひ併せてご覧ください。