プロジェクト納期遅延を改善できる管理方法、CCPM(クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント)をご存知でしょうか。
プロジェクト管理の現場ではプロジェクトの複雑化やマルチタスクにより、遅延やコスト増大・品質の低下など、重要な問題が頻発します。
以上のような問題は、TOCをプロジェクト管理に適用したCCPMで解決が可能です。
既存のリソースで組織のパフォーマンスを最大化するCCPMですが、導入前に理解してもらいたい注意点もあります。
既存のプロジェクト管理に問題を抱えている方は、注意点を理解した上でCCPMの導入についてぜひ検討してみてください。
従来のプロジェクト計画・実行で発生するデメリット
プロジェクトの計画・実行で、発生するデメリットを見ていきましょう。
プロジェクトには計画と実行のフェーズがありますが、各フェーズにおいて構造や人間心理が原因となり、問題が発生します。
デメリットをそれぞれ、見ていきましょう。
プロジェクト計画で発生するデメリット
プロジェクト計画においてのデメリットは、「正確な作業見積もりは難しい」という点です。
機械ではなく、人が作業見積もりをおこなう場合は作業見積もりにバラつきが発生します。
なぜなら、人によって作業見積もりをおこなう際に参考にする知識や経験が異なるからです。
複雑なプロジェクトであるほど、考慮しなければならない要素は多く、正確な見積もりはさらに困難となります。
プロジェクト実行で発生するデメリット
プロジェクト実行のフェーズでは、人間心理の問題が起こりがちです。
例えば、学生が夏休みの宿題を期限ギリギリで着手すると同じ心理である「学生症候群」。
時間に余裕があるにも関わらず、期限ギリギリに作業に着手し、結果遅延につながってしまう状態です。
また、与えられた予算と時間をあるだけ使ってしまうのが「パーキンソンの法則」。
本来は短縮できる期間や縮小できる予算も、あるだけプロジェクトに使ってしまうのです。
上記の問題点により、プロジェクト進行中に停滞時間が発生。
CCPMではこの停滞時間を削減で、プロジェクトの早期完了を目指します。
プロジェクト管理でCCPMを導入するメリット
CCPM導入により、前章で解説したデメリットの解決が可能です。
なぜCCPMで解決が可能なのでしょうか?
CCPMを導入で、得られるメリットは以下の通りです。
- プロジェクト全体に影響を及ぼすタスクを把握できる
- プロジェクトの遅延を直感的に把握できる
CCPMの管理方法により、タスクと遅延を常に把握でき、急なトラブルに対してもスムーズに対策を打てるようになります。
プロジェクト管理でCCPMを導入する際の注意点
「既存のリソースでプロジェクト完了を増やしたい。」「クオリティやコスト面を妥協せずに納期を守りたい。」という要望は、一見不可能に思えるでしょう。
しかし、そのような要望を実現可能にするのがCCPMを用いたプロジェクト管理です。
しかしCCPM導入の前に、デメリットとして理解して頂きたい点があります。
短期のプロジェクト管理には向かない
CCCPMは進捗管理を「残日数」で行います。つまり1日単位での報告がベースとなります。
そしてバッファを消費した割合で危険度を判断していきます。
数週間や1ヶ月程度の短期のプロジェクトですと、1日の割合がとても大きくプロジェクトの傾向が激しくなり判断しづらくなってしまいます。
また、プロジェクト序盤でしっかり計画を立てる必要もあるので、それに費やす時間を考えると一定以上の規模のプロジェクトでないと、真の力を発揮することが難しい管理手法です。
導入する際は、以上を踏まえたうえで導入するプロジェクトを決定しましょう。
チーム単位の管理に効果的
CCPMは、タスクの依存関係や、タスクの優先順位など、様々なタスクやリソースが組み合わさるプロジェクトの中でも
統一された判断基準で、的確な判断が可能になることが大きなメリットです。
しかし個人や小規模のプロジェクトでは、その恩恵をほとんどうけることができないため、真の力を発揮できません。
そもそもCCPMとは
制約を特定し徹底活用することで、組織やプロジェクトのパフォーマンスを最大化するTOC(制約条件の理論)をベースとし、プロジェクト環境に適用した管理手法をCCPMと言います。
CCPM導入によりプロジェクト全体を見える化し、停滞時間を削減しフローの最大化が可能です。
マツダ株式会社様の開発プロジェクトや、オリンパス株式会社様の新規医療機器開発プロジェクトに導入されるなど、日本国内においても着実に導入が進んでいる管理手法です。
業種・業界問わず、弊社では多くのCCPM導入実績を残しています。
CCPMのプロジェクト管理方法
CCPMには、以下の3つの要素があります。
- バッファマネジメント
- パイプラインマネジメント
- フルキット
各要素について、1つずつ解説していきましょう。
バッファマネジメント
プロジェクト管理では、急なトラブルの対応などに備えて、バッファの設定が必要不可欠です。
しかし、バッファを設定したにも関わらず、予想したバッファが無駄になり、予想外の遅延に対応しきれないなどの問題は少なくありません。
そこでCCPMによるバッファマネジメントでは、バッファの消費率や進捗を可視化し、危険度を一目でわかるようにします。
さらにバッファの消費状況が明確化することで、タスクの優先順位が明確化。
プロジェクトでは、不測の事態が発生するケースは珍しくありません。
しかし、バッファを可視化し優先順位を明確にすると、不測の事態が起きたとしても、大きな損害を避けて適切な対応が可能です。
パイプラインマネジメント
パイプラインマネジメントでは、プロジェクトやリソースの最適な投入時期を決定します。
複数プロジェクトを同時進行する場合、プロジェクトを行き当たりばったりで進めると、停滞や停留の原因となります。
流れを意識し、計画的なプロジェクトの投入でプロジェクトの円滑な進行が可能です。
無計画なプロジェクトやリソースの投入を回避、プロジェクトの停滞時間を防ぎ、スループットを最大化できます。
また、組織内のリソースの可視化により、将来のリソース計画も円滑に進みます。
フルキット
チーム内でバラバラの認識で進めてしまうと、停滞や手戻りを生む原因になります。
そこで、CCPMでは事前にプロジェクトを進行するにあたり、準備のチェックリストを用意します。
プロジェクトを進行する準備を整え、時々ですべきタスクを認識。
また、どのタイミングで何を決定するのかも事前に決めることで、あらかじめ共通意識を持ち、プロジェクト進行中の停滞や手戻りを防ぐことが可能です。
結果的に品質の向上やプロジェクトの完了スピードの向上も期待できるでしょう。
まとめ:デメリットを解決しCCPMで最適なプロジェクト管理を
今回の記事では従来のプロジェクト管理手法のデメリット、CCPMを導入する際の注意点とメリットも解説しました。
CCPM導入の注意点は、以下の通りです。
- 短期のプロジェクト管理には向かない
- チーム単位の管理に効果的
対して、CCPM導入のメリットも紹介しました。
- プロジェクト全体に影響を及ぼすタスクを把握できる
- プロジェクトの遅延を直感的に把握できる
プロジェクトの計画・実行における問題点やCCPMの管理方法である3つの要素についても解説。
多くのメリットがあるCCPMですが、組織やプロジェクトにとって最適であるか、注意点をしっかり把握した上での導入をおすすめします。
下記の資料より、CCPMについてより詳しく知ることが可能です。
CCPM導入を検討されている方は、ぜひダウンロードしてご覧ください。