プロジェクトの遅延や作業の停滞に悩む方は、プロジェクト管理手法のCCPMで組織パフォーマンスの最大化を図ることができます。

「打てる対策はすべて打ち、これ以上できることない」と、お悩みのプロジェクトマネージャーも多いでしょう。

しかし、CCPM導入により、組織やプロジェクトのパフォーマンスを劇的に改善した事例が多数あります。

今回の記事ではプロジェクト管理手法CCPMのベースとなる理論や、導入した際のメリットについて解説。

CCPM導入を検討している方は、記事を参考にCCPMについて知識を深めてください。

CCPMのベースとなる理論|TOCについて解説

TOCとは日本語で「制約条件の理論」と言い、英語では「Theory of Constraints」と表記。

「Theory of Constraints」のアルファベット頭文字をとり、TOCと呼びます。

従来の経営方法とは異なり、組織やプロジェクトが抱えるすべての課題に働きかけるのではなく、課題の根本的な原因となる少数の要素を見つけ、集中的に働きかけるのがTOCです。

つまり、どのような複雑な課題であっても、ごく少数の要素に支配されていると考えます。

そして、原因となる要素を改善することで、組織やプロジェクトのパフォーマンスを最大化できるとTOCでは考えるのです。

上記で説明した組織のパフォーマンスを決めるごく少数の要素を、TOCでは制約条件と呼びます。

さらに継続的に制約条件を見つけ、改善し、組織やプロジェクトの長期的な成長を図るのがTOCです。

プロジェクト管理手法のCCPMとは?

CCPMとはTOCをベースとした、プロジェクトの管理手法です。

語源は「Critical Chain Project Management(クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント)」のアルファベット頭文字をとったものがCCPM。

CCPMではプロジェクトの最長の工程であるクリティカルチェーンを特定し、納期の遵守を目標とし、プロジェクト成功を図ります。

CCPMを取り入れた弊社クライアント様が、組織やプロジェクトのパフォーマンスを劇的に改善した実績も多数あり、日本でも着実に導入が進んでいる管理手法です。

CCPM以外のプロジェクト管理手法

CCPMを詳しく解説する前に、今回はCCPM以外のプロジェクト管理方法についても紹介。

様々な管理手法がありますが、弊社ではCCPMを推奨しています。

WBS

WBSとは「作業分解構成図」を意味し、「Work Breakdown Structure」の頭文字をとったものです。

Excelやwebなどのツールを利用し、プロジェクトを完成させるため全体の作業を細分化し、順番に作業を行います。

ウォーターフォール

順番に作業工程を積み立てながらスケジューリングし、時系列に従い着手していく手法です。

ただし、顧客のニーズや仕様の変更があった場合は、タスクの順序が乱れる可能性があるため、柔軟性の低い管理手法です。

P2M

P2Mは「Project & Program Management」の略で、全体を俯瞰しながら個々のプロジェクトを制御。

複数のプロジェクトを総合する管理方法です。

経済産業省の主導のもと、2001年に日本で開発された管理手法です。

従来のプロジェクト管理手法のデメリット

従来のプロジェクト管理では以下の原因により、プロジェクト遅延が頻発します。

  • 事前に決められない事項が多く、そもそも工程日数の見積ができない
  • 仕様変更の多発により、計画通りに進められない。
  • リソースは限られているのに、仕事ばかりが増える。
  • 全ての仕事が最重要で、優先順位がつけられない。
  • プロジェクトの進捗が見えず、リスクが発生した後に気が付く。

特に複数のプロジェクトを抱えている場合、問題が複雑化しさらに遅延を引き起こす原因に。

TOC/CCPMは上記のような問題の解決が可能で、プロジェクトの遅延や停滞の防止が可能です。

なぜCCPMでプロジェクトのパフォーマンス最大化が可能なのか?

CCPM導入により遅延や停滞を防ぎ、組織やプロジェクトのパフォーマンスを最大化できる理由3つ解説します。

  1. プロジェクトの進捗状況を”バッファ”で可視化できるから
  2. タスクの優先順位を把握できるから
  3. プロジェクトチームの協力体制がつくれるから

各項目を詳しく見ていきましょう。

①プロジェクトの進捗状況を”バッファ”で可視化できるから

CCPMはバッファ(プロジェクトにおける時間的な余裕)に注目し、バッファの消費率と進捗率を可視化するプロジェクト管理方法です。

プロジェクトマネージャーは一目でバッファの消費率を知ることができるため、適切な対応が適切な時期に実行可能。

バッファの消費率を把握し進捗状況の可視化で、従来の管理方法に比べて、先の見通しも立てやすい点も魅力です。

従来のバッファマネジメントとの違い

CCPMでのバッファマネジメントとは、従来のバッファマネジメントとは異なります。

まず従来のプロジェクト管理方法では、バッファを各タスクに分配していることが主流です。

一方、CCPMではバッファをまとめ、最後に集約させます。

バッファを最後に集約させることで、各タスクにおける無駄な停滞時間の防止が可能です。

また、プロジェクトの納期に対する危険度をバッファの色(緑、黄、赤)で識別できます。

納期に対する危険度に対して、緑は安全、黄は注意、赤は危険とし、直感的にも視覚的にもわかりやすいバッファ管理が可能です。

CCPMでは進捗状況をパーセンテージではなく日数で管理するため、プロジェクトマネージャーはよりプロジェクトの状態を明確に把握できます。

②タスクの優先順位を把握できるから

バッファマネジメントによりプロジェクトの危険度が可視化されるため、タスクの優先順位も明確になります。

今までは、全てのプロジェクトが最優先となっていたため、結果として、全てのタスクが最優先となっていました。

しかし、プロジェクトの納期に対する危険度が色で可視化されるため、どのプロジェクトが優先順位が高いのか、どのタスクの優先順位が高いのかが明確になります。

ひとつのタスクに集中できるようになるため、タスクの完了ペースがアップするだけでなく、品質向上にも期待できます

③プロジェクトチームの協力体制がつくれるから

CCPMでは計画フェーズにおいて、まずプロジェクトにおける課題や目的、新たな挑戦を明確化します。

ODSC(オーディーエスシー)を設定し、プロジェクトの目的や成功基準を共有。
目的や成功基準の共有により、プロジェクトメンバーが共通意識をもつことが可能です。

ODSCとは、「目的(Objectives/オブジェクティヴズ)」「成果物(Deliverables/デリバラブルズ)」「成功基準(Success Criteria/サクセス クライテリア)」の略です。

共通意識の共有でプロジェクトチームの協力体制が整い、方向性の乖離や手戻りを未然に防ぎます。

まとめ:プロジェクト管理手法CCPMでパフォーマンスの最大化を

今回の記事ではCCPMのベースとなる理論であるTOCや、導入した際のメリットについて解説しました。

TOCはパフォーマンスの原因となる制約条件に働きかけ、プロジェクト全体のパフォーマンスを図る経営理論です。

CCPMはTOCをベースとしたプロジェクトの管理手法であり、バッファマネジメントによりプロジェクト全体の進捗状況が可視化できます。

また、タスクの優先順位も明確になり、プロジェクトチームの協力体制の強化が期待できます。

組織の成長や、プロジェクトの停滞・遅延を改善し、パフォーマンスを向上したいと考えるプロジェクトマネージャーの方は、ぜひCCPM導入をご検討ください。

TOC/CCPMについてのより詳しい資料は、下記からダウンロード可能です。

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