業務改善とは、業務上の問題点を改善して生産性向上を目指すための取り組みです。

しかし、自社の業務に課題があると感じていても、具体的にどのような改善策を講じるべきかわからないという人も多いのではないでしょうか。

そこで、本記事では、業務改善の具体的なアイデアを10選ご紹介します。また、業務改善を成功させるためのポイントも解説しているので、ぜひ参考にしてください。

業務改善の具体的なアイデア10選

業務改善のためにはどのような取組みが必要なのでしょうか。

業務改善に活用できる具体的なアイデアを、以下で10選ご紹介します。

業務をなくす

1つめの業務改善アイデアは、不要な業務をなくすことです。

たとえば、システムに入力されたデータを別のシステムに入力し直す業務や、必要のない資料の作成業務などが挙げられます。

また、特別な議題もないのに毎週なんとなく続けている会議も、不要と言えるでしょう。

これらの不要な業務をなくすことで社内リソースに余裕ができ、より生産性の高い業務へリソースを集中できます。

業務を統合する

2つめのアイデアは、業務の統合です。

1つのタスクを細かい業務に分けて複数の従業員で担当していると、情報共有や業務分担がうまくいかずに業務がストップしてしまうこともあります。

そのため、業務の統合により担当する従業員数を減らせて、情報共有の円滑化や業務の効率化が期待できます。

業務を分業する

業務の統合が有効な組織もあれば、業務を分業した方が効果的な組織もあります。

1人の従業員の業務量が多過ぎると、負担がかかりすぎてしまい、効率が悪くなります。

そこで、業務を分業することで従業員1人ひとりの負担を軽減できて、従業員は自分の得意分野の業務に専念することが可能です。

近年注目されているのは、営業活動の分業です。

今まではアポイント獲得から受注後のフォローまで1人の営業担当者が行っており、属人化が問題となっていました。

アポイント獲得をインサイドセールス、商談と受注をフィールドセールス、受注後のフォローをカスタマーサクセスが担うことで、特定の業務に専念できるため生産性向上が期待できます。

人材配置を最適化する

人材配置の最適化も、業務改善のアイデアとして挙げられます。

業務が滞ってしまう理由として「不得意な業務を担当しているため、作業効率が悪い」「業務負荷に見合った人数が配置されていない」といった人材配置の課題があります。

それぞれの従業員の得意・不得意やスキルを洗い出し、それぞれが自分の能力を発揮できる配置にすることで、パフォーマンスの向上が可能。

「適材適所」という言葉があるように、人材配置を最適化することで業務改善につなげましょう。

業務マニュアルを整備する

業務マニュアルがわかりにくかったり、そもそも作成されていなかったりすることも、業務効率を悪化させる一因です。

業務マニュアルが整備されていないと、業務のやり方がわからずにミスやトラブルを招いたり、業務に関するコミュニケーションコストがかかりすぎたりする懸念があります。

業務マニュアルを整備することで、それらのムダが削減されて業務改善につながります

より成果を高めるためには、誰が見ても理解できるように画像やイラストなども活用して作成しましょう。

業務マニュアルの作成にはリソースがかかりますが、一度作成すれば継続して活用できます。

新人教育の手間を削減したり、全員が同じ手順で業務を行うために品質が安定したりするメリットもあるので、マニュアル整備は積極的に取り組みましょう。

スケジュールやタスクを一元管理する

「業務の進捗が見えず、納期までのスケジュールが管理できない」「誰がどのタスクを行っているか把握できない」といった課題がある場合は、スケジュールやタスクの一元管理が有効です。

納期までのスケジュールをカレンダーに落とし込み、誰がどのタスクをいつまでに実行するか分担しておくと、スムーズに業務を進められます。

万が一業務が遅れていても、どの工程に問題があるか一目で把握できるため、速やかにフォローができます。

プロジェクトに関わる人数が多いほどスケジュールやタスクの管理が煩雑になるため、グループウェアやクラウドツールなどを導入して、一元管理しやすい仕組みを構築しましょう。

多様な働き方を取り入れる

テレワークやフレックスタイム制などの多様な働き方を導入する方法も、業務改善につながるアイデアの1つです。

少子高齢化の影響で労働力不足に陥っている日本では、限られた人員で生産性を向上させなければいけません。

優秀な人材を採用して継続的に雇用し続けるためには、多様な働き方の導入が効果的です。

育児や介護などの理由でオフィスへの出社が難しい人や、病気や障がいなどでラッシュアワーの通勤が難しい人などを雇用できます。

また、多様な働き方を認めることで従業員のワークライフバランスが向上し、プライベートで充分にリフレッシュできるため、仕事のパフォーマンスの向上も期待できるでしょう。

ツールやシステムを導入する

ツールやシステムの導入でも業務改善につながります。業務改善が見込めるツールやシステムの一例を挙げます。

  • グループウェア:社内の情報共有を促進する
  • MA(マーケティングオートメーション)ツール:マーケティング施策を自動化する
  • SFA(営業支援システム):営業活動を可視化する
  • CRM(顧客関係管理)システム:顧客情報を一元管理する
  • RPA:決められた作業を自動で行う
  • チャットボット:問い合わせなどのチャットに自動で対応する

これらの導入により情報共有や業務自動化ができるようになり、業務改善が実現します。

アウトソーシングする

社内の人手やノウハウが不足している場合は、業務のアウトソーシングも一つの手です。

特定の業務に特化した代行サービスにアウトソーシングすることで、社内で業務を行うよりも成果を出しやすくなります

資料作成やテレアポ、発送業務などさまざまな業務代行サービスがあります。自社の課題に合わせて、アウトソーシングする業務を選びましょう。

また、よりコストを抑えたい場合はクラウドソーシングで個人に依頼するのも一案です。

コンサルタントに相談する

「どの業務を改善すべきかわからない」「社内のどこに問題があるのかわからない」といった場合には、コンサルタントへの相談が有効です。

業務のプロセスや内容について、経営の専門的な視点からアドバイスしてくれます。

自社の業務課題について客観的に見ることは、なかなか難しいものです。

そのため、プロのコンサルタントの視点からアドバイスをもらうことで、自社の本質的な課題に気づけて、根本的な業務改善につながるでしょう。

業務改善の成功のために知っておきたいポイント

上記で紹介した業務改善のアイデアを実行するにあたって、以下のポイントを理解しておきましょう。

業務の3Mを排除する

業務改善では3Mの排除を意識しましょう。3Mとは「ムダ」「ムリ」「ムラ」の3点です。

ムダな業務は不要であるため、排除することで業務改善が見込めます。

また、人手不足や能力不足などでムリが生じている業務があると、パフォーマンスが低下し生産性が低くなります。

従業員ごとのスキルや成果物ごとの品質にバラつきが生じている場合も、業務のムラが発生していることとなり生産性が低いと判断できます。

まずは自社業務を洗い出し、3Mに該当する業務がないか精査しましょう

ECRSの観点から業務を見直す

ECRS(イクルス)は業務改善の4原則と言われ、自社業務をそれぞれ4つの観点から見直すことで改善が図れます。

ECRSは、以下の4つの言葉の頭文字から取られています。

  • Eliminate:排除「業務を排除する」
  • Combine:結合/分離「業務を統合、もしくは分業する」
  • Rearrange:入れ替え/代替「業務フローや材料、担当者などの入れ替え、もしくは代替を行う」
  • Simplify:簡便化「業務を簡便にする」

自社業務をECRSに当てはめていくことで業務を最適化でき、改善につながります

QCDのバランスを保つ

業務改善を実行するにあたって留意すべきポイントがQCDのバランスです。

QCDとは、以下の3要素です。

  • Quality:品質
  • Cost:費用
  • Delivery:納期

QCDのそれぞれちょうど良いバランスを保つよう、業務改善を行うことが重要です

たとえば、多機能で高額なツールを導入しても、使いにくければ逆に業務が円滑に進められずに納期が遅れるうえに、コストも発生します。

また、納期やコストだけを考えて業務改善をしても、品質が低下してしまうこともありえます。

このように、QCDの1点だけに着目してしまうとバランスが崩れてしまうため、適度なバランスを保つようにしましょう。

中長期的にPDCAを回す

業務改善の施策は実行しっぱなしではなく、どのくらいの改善につながったのか、そしてQCDは保てているのかといった内容を定期的に検証することが重要です。

そして、検証結果からさらなる改善策を立てて取り組むことで、さらなる改善を図れるでしょう。

業務改善の流れ

業務改善はどのような流れで進めると良いのでしょうか。業務改善は以下の手順で進めると、より成果を高められます。

  1. 制約を特定する:自社の業務課題である制約を特定する
  2. その制約を徹底活用する方針を決める:「3Mの排除」なのか、「ECRS」での見直しなのか、ポイントを絞って検討する
  3. 全体を制約に従属させる
  4. 制約を強化する
  5. 惰性に気をつけて、1に戻る:惰性に気をつけるポイントとして、期間を区切ってPDCAサイクルを回し成果が出ているのか効果測定する

このような流れで進めることで、業務改善のアイデアを最大限に活用できるでしょう。

まとめ:さまざまなアイデアを取り入れて業務改善!

業務改善のアイデアは、業務の排除や統合などすぐに取り組めるものから、アウトソーシングやシステム導入など多岐にわたります。

1つだけ取り入れるだけでなく、さまざまなアイデアを取り入れることで相乗効果が生まれて、より成果につなげられるでしょう。

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