大和ハウス工業グループはプロジェクト管理手法CCPM導入により、なんと約9割のプロジェクトを納期内に完了できるようになりました。

「大和ハウス工業グループの事例は知っているが、CCPMが何かよく知らない」という方も、いらっしゃると思います。

今回の記事ではプロジェクト管理手法のCCPMと、CCPMの基礎理論となるTOCについて解説。

大和ハウス工業の事例ついても紹介します。

記事を参考に、CCPMについての知識を深めてください。

CCPMの基礎理論となるTOCとは?

CCPMの解説の前に、 CCPMの基礎理論となるTOCについて解説していきます。

経営手法であるTOCに基づいた管理手法が、CCPMです。

TOCは日本語で「制約条件の理論」と言い、制約に集中して改善をはかることで、全体のパフォーマンスを上げる経営手法です。

制約とは

TOCにおける「制約」とは、組織のパフォーマンスを決定づける特定の要素を言います。

制約とはどういったものか自動車生産ラインの例を用いて、解説していきます。

以下は、自動車の生産ラインにおける各工程の作業台数です。

  1. 第一工程:1時間あたりに20台の作業が可能
  2. 部品加工工程:1時間あたりに10台の作業が可能
  3. 組み立て工程:1時間あたりに15台の作業が可能
  4. 検査工程:1時間あたりに25台の作業が可能

上記の工程を踏む自動車生産ラインで、1時間あたりに生産できる自動車の台数はいくつでしょうか。

正解は10台です。

工程①③④の生産性を向上したとしても、工程②の1時間当たりの作業台数が変わらない限り、1時間当たりの自動車の生産量は上がりません。

上記のケースの場合、全体パフォーマンスを決定づける工程②が制約なのです。

従来の経営手法では、工程①から④まですべてに働きかけて、各工程をすべて最適化します。

それに対し、TOCでは全ての課題に手を打つのではなく、制約を徹底的に改善することでパフォーマンス向上をはかります。

制約条件の5ステップ

TOCでは「制約条件の5ステップ」のフレームワークに沿って、制約を改善していきます。

5ステップの流れは、以下の通りです。

  1. 制約を特定する
  2. 制約を最大活用する方針を決める
  3. 制約以外のすべてをステップ2の決定に従属させる
  4. 制約を強化する
  5. 制約が解消したら惰性に気を付けてステップ①に戻る

①~④の流れに従い制約を改善し、制約が改善したあとはまた新たな制約を発見します。

そして、フレームワークを何度も繰り返すことで、組織の継続的な成長を可能するのです。

CCPMとは?他のプロジェクトマネジメントと異なるポイント

TOCに基づいた管理手法CCPMとは、プロジェクトの納期を守るための効果的な管理手法です。

大和ハウス工業グループだけではなく、株式会社NTTデータなど多くの企業で導入されています。

CCPMは「クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント」の略であり、全工程の最短の工程であるクリティカルチェーンを定めてからマネジメントをおこないます。

CCPMは従来のプロジェクト管理方法とは異なっており、解決できなかった問題への効果的な解決策となりえるでしょう。

従来のプロジェクト管理手法と大きく異なる点を、3つ説明していきます。

バッファの管理

CCPMではバッファの消費率を可視化し、マネジメントが直感的に状況を把握できるようになっています。

バッファとはプロジェクト進行においてトラブル対応などに向けて設ける期間、つまり安全余裕のことです。

CCPMではバッファの消費率を、緑・黄色・赤の3色で表現。

緑は安全、黄色は注意、赤は危険を意味し、グラフ上で危険度が把握できるようになっています。

バッファ消費率の危険度を可視化することで、適切な時期に施策を打つことが可能です。

日々バッファの消費率を確認しながら、必要な施策を適切に実施することで、納期遅延を防止できます。

チェックリストの作成

CCPMではプロジェクトに着手する前に、事前に準備すべき項目を組織で決定。

決定した事項をチェックリストにしてメンバー内で共有し、抜け漏れがないか確認しながら、プロジェクト進行中も共通意識をつくっていきます。

行き当たりばったりで着手すると、手戻りや停滞の原因となるでしょう。

事前にチェックリストを作成し共有することで、プロジェクト完了のスピードアップも期待できます。

事前のシミュレーション

CCPMではプロジェクト投下前に、各プロジェクト投下のタイミングをシミュレーションします。

無計画にプロジェクトを詰め込むと、遅延や停滞の原因となるでしょう。

プロジェクト投下のタイミングをシミュレーションすることで、プロジェクトのスムーズな完了が実現可能です。

また、組織内のリソースも洗い出し、将来的なリソース計画も立てていきます。

以上のように、CCPMではより戦略的にプロジェクトを実行する点が特徴です。

CCPMの適用によって大和ハウス工業が達成した成果とは?

大和ハウス工業グループは、TOC/CCPMを導入し業績を大きく改善したこと、2014年に公表しました。

TOC/CCPM導入により、なんと全体の約9割のプロジェクトを、事前に見積もった期間内に完了できたそうです。

さらに、全体の約5割のプロジェクトにおいては、完了までの期間を25%達成したとのこと。

日本で組織の生産性の向上を実現した、実例のうちの1つです。

まとめ:大和ハウス工業の事例を参照にCCPM導入を検討しよう

CCPMの導入により、プロジェクトを納期内に完了させることができます。

遅延度の可視化や、プロジェクト投下のシミュレーションなどで各タスクの遅延を防ぎ、スムーズなプロジェクト進行を可能にするでしょう。

TOC/CCPMの導入をご検討の方は、下記より資料がダウンロードできます。

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