「働き方改革が上手く進まない」

「働き方改革が進まない原因を特定し対策をしたい」

このような悩みを持つ方も多いのではないでしょうか。

2018年6月に「働き方改革法案」が成立して以降、テレワークや短時間勤務、育児休業などの制度の導入に取り組む日本企業が増えています。

しかし、制度を導入したものの「利用者がだれもいない」「ルールを設定しても守らない人が多い」などの理由で定着せず、働き方改革の推進が滞っている企業も少なくありません。

ここでは、働き方改革が進まない原因や改善策について解説します。

働き方改革が進まない原因を知ることで、今抱えている課題に加え、これから実施する施策の定着もスムーズになりますので、ぜひ最後までご覧ください。

働き方改革が進まない4つの原因

働き方改革が進まない原因は次の4点です。

  1. 危機感が足りない
  2. 企業風土に問題がある
  3. 管理者の意識が低い
  4. 現場と経営層の意識に差がある

1.危機感が足りない

働き方改革が進まない原因の1つに危機感の欠如があげられます。

本来、人間は身近に感じられない危険に対して危機感を持つのは苦手です。

そのため「今組織を変えないと企業が存続できない」と頭ではわかっていても、現状特に問題なく業務ができている場合、重要性が実感できない人も少なくありません。

その結果、「周りがやっているからとりあえず制度を導入しよう」といって組織の背景を考慮せず、現実に即していない形だけの導入となってしまいます。

組織に適していない制度を導入しても、定着させるのは困難です。

2.企業風土に問題がある

特に歴史を持つ企業に多いのが、日本特有の企業文化や企業風土が原因となっているケースです。

例として最もわかりやすいのは「ハンコ文化」でしょう。

例えば、ある企業では承認をもらうには必ず印鑑が必要というルールがあり、承認をもらうために従業員は出社する必要がありました。

この企業が仮にテレワークの導入を検討していた場合、このような古い制度のままであれば足かせとなっていまうでしょう。

他にも「目的が曖昧な会議」や「特に誰も見ない報告書の作成」など、組織内で行っている業務プロセスに無駄が多いと働き方改革は進みません。

また、部署ごとの風土の違いにも注意が必要です。

営業部や総務部、経理部など部門ごとに企業風土が異なるため、ある部署は積極的に取り組んでいるが、それ以外の部署が消極的だったため、制度そのものが風化してしまうケースもあります。

3.管理者の意識が低い

3つ目は、管理者の働き方に対する意識の低さが原因になるケースです。

いくら企業に適した制度を導入しても、上司や経営陣などの管理者が相反する考えを持っていては、制度の定着は困難と言わざるを得ません。

よくあるケースは長時間労働です。

過去においては、残業や休日出勤などで勤務時間が長い社員ほど、評価されやすい傾向にありました。

そのような背景の中、長時間労働で結果を出してきた人が、古い価値観のまま管理者になってしまうケースも少なくありません。

企業が残業を減らす制度を打ち出していても、上記のような古い価値観を持つ管理者が「定時なのに帰りづらい」「在宅勤務がやりにくい」などの雰囲気を作り、制度が定着しない場合もあります。

4.現場と経営層の意識に差がある

現場と経営層の意識に差がある点も、働き方改革が進まない原因の1つです。

現場で働く社員には、働き方改革の推進に否定的な考えを持つ人も存在します。

例えば、長時間労働に対しても「残業を無くしてできるだけ早く帰りたい」と考える人がいる一方、「残業代が欲しいので可能な限り長く働きたい」という人もいます。

また本来の業務が忙しく、新しい取り組みそのものを面倒と感じる人もいるでしょう。

制度に対し、否定的な考え方を持つ現場社員がいる中で、経営層が一方的に働き方改革を導入しても定着は難しくなります。

働き方改革成功のカギは「意識改革」にあり

上記で働き方改革が進まない原因について解説しましたが、まとめてみると「危機感の欠如」「意識の低さ」など、そのほとんどが組織内で働く人の意識の問題によるものです。

つまり、働き方改革が上手く進まないケースにおいて、ほとんどの場合、社員の意識改革をすることで解決できるということになります。

例えば、テレワークを導入したとしても経営者の意識が低く、「承認するには紙の書類と印鑑が必要」という考えを持っていれば、結局は出社しなければなりません。

テレワークなのに出社頻度が多ければ、従業員が「通勤の負担軽減」や「育児や介護の両立」などのメリットを実感しにくくなります。

その結果、テレワークの定着が思うように進まず、最悪の場合は制度そのものがなくなってしまう可能性もあります。

働き方改革を推進しようという意識が低ければ、働きやすい環境を構築するのは不可能です。

働き方改革を導入し定着させるためには、意識改革は必要不可欠といえるでしょう。

意識改革を成功に必要な6つのポイント

ここでは、意識改革の成功させるためのポイントを以下の6つ紹介します。

  1. 自身を変えなければならないことを認識する
  2. 意識改革の必要性を周知する
  3. 従業員に「やってみたい」と思わせる内容にする
  4. スモールスタートで始める
  5. 会社が一体となって取り組む
  6. 長期的な視点で取り組む

1.自身を変えなければならないことを認識する

働き方改革を成功させるためには、自身の意識を変える必要があります。

例えば、周りには残業をせずに早く帰るように言っておきながら、自身は残業を繰り返す上司がいたらどうでしょうか。

「上司が帰っていないのだから自分も帰らなくていい」と考える人が出てきてもおかしくありません。

社員が変わってくれない、部下が変わってくれないなど、他責思考で相手に期待するだけでは改革は成功しません。

働き方改革の成功を自身の問題として捉え、率先して行動を起こすことが成功への一歩です。

2.意識改革の必要性を周知する

意識改革において重要なのは、必要性を根拠も含め説明し、納得してもらうことです。

仮に、トップダウンで強引に制度を導入しても、社員は「やらされてる」と感じて積極的に行動を起こそうとは思いません。

そのため、周囲に積極的に動いてもらうためには、根拠を交えて重要性やメリットを周知する必要があります。

また、企業としての根拠だけではなく、「残業を減らさないと、社員定着率が低下しさらに残業が増える」や「生産性を向上させコストが削減できれば、賞与として還元できる」など、社員が自分事として受け取れる根拠を説明することで、より理解を得やすくなるでしょう。

3.社員に「やってみたい」と思わせる内容にする

従業員に「やってみたい」と思わせる内容でなければ意識改革は進みません。

本来の業務が忙しい中で、新しい取り組みや制度の導入されることに対して否定的に感じる人も少なくないからです。

制度が従業員にとって、メリットのあるものであれば問題ありません。

しかし、社員個人にとってメリットの感じにくい制度の場合は、積極的に取り組んだ社員は表彰するといった社員の動機につながる工夫が必要です。

社員が「やってみたい」と思える内容であれば意識改革は進み、多くの社員が取り組みに積極的になるでしょう。

4.スモールスタートで始める

意識改革を成功させるためには、小さな目標から始めるのがおすすめです。

小さな目標を段階的にクリアさせることで、従業員は自信がつきモチベーションを保つことができるからです。

反対に、最初から大きな目標を掲げると、ゴールが遠すぎて結果が出る前に多くの人が諦めてしまいます。

また目標が大きすぎる場合、ゴールに近づいているにもかかわらず、まったく前と変わっていないと従業員に思わせてしまいます。

例えば、今までより10分早く帰る目標を達成した後、今度は20分にするなど、目標を段階的に引き上げていく方法が効果的です。

小さな目標達成を繰り返すことで、当初は無理に思えた内容も現実的な目標として認識できるようになります。

5.会社が一体となって取り組む

経営層と他の従業員の意識に温度差があると意識改革は成功しません。

反対に、経営層だけが張り切っていると思われ、従業員の意欲を削ることになります。

そのため、意識改革を成功させるには経営層が現場社員を上手く巻き込んで、会社全体で一体となって取り組む必要があります。

現場社員を巻き込むためには、取り組みによってどのような未来が手に入るのかを、全員がイメージできるよう伝えることが重要です。

例えば、単に残業時間の指示を出すのではなく、「1人1日10分の残業を減らせれば、新しい設備を導入して皆の負担を削減できる」といった、社員個人に直接伝える方法が使えます。

6.長期的な視点で取り組む

意識改革を成功させるためには、長期的な視点で取り組む必要があります。

今ある風土や文化は、その企業が様々な経緯を経て培ってきたものであり、意識改革はある意味でその歴史を否定することにもなりかねません。

そのため、時間がかかるのは当然のことと認識して長期的に取り組む必要があります。

意識改革を成功へ導くには制度改革も重要

意識改革を成功させるためには、制度改革の実施も重要です。

意識改革に成功し社員が一体となって働き方改革に取り組んだとしても、話し合うだけで何も決まらなかったり、組織の現状に適していない制度ばかり作っていては、高まった意識も低くなります。

場合によっては、意欲の低下や会社への不信感につながってしまいます。

そのため意識改革を本当の意味で成功させるためには、全員の意識を高めるとともに、その組織に適した制度改革も並行して進め、実感できるように形にしていく必要があります。

働き方改革成功のために見直すべきポイント

プロジェクトを円滑に進めるための作業工程表の作り方とは?重要性を解説

ここでは今までの内容を踏まえて、働き方改革成功のために見直すべき4つのポイントについて解説します。

事業の仕組み

見直すべきポイントの1つめは事業の仕組みです。

テレワークの導入や長時間労働削減が定着しない背景には原因が存在します。

そのため、原因を解決せずに一部の業務だけを変更しても業務プロセスの歪みが生じ問題が出てきます。

働き方改革を成功させるためにはビジネスモデルや、共通ルールといった仕組みそのものを見直す必要があります。

社員の意識・組織風土

次に見直すべきポイントは社員の意識や組織風土です。

ここでは、これまで解説したように、全社員が改革の必要性を自分事として捉えることができるよう働きかけを行います。

必要性を伝える際にも、「働き方改革が実現することによりあなたにはこのようなメリットが発生する」という内容で一人ひとりに焦点を当てて伝えることが重要です。

経営層が危機感を持ち率先して改革を行うとともに、必要性をしっかりと全社員に伝えることで、全社員が改革に向け、一体感のある雰囲気を醸成することがポイントです。

社内制度

仕組みを見直しを行い問題点の洗い出しが完了したら、具体的な制度や取り組みを設定し実施します。

この段階で「テレワーク」や「残業時間の削減」といった具体的な取り組みを打ち出しましょう。

ポイントとしては、大きな目標を掲げすぎないことです。

前述した通り、大きすぎる目標は社員のモチベーションを下げてしまいます。

まずは現実的に達成可能な目標を設定し、達成するごとに少しずつ目標を高くしていくことで、社員が成功体験を積み重ねることができます。

成功体験の積み重ねが、全社員の自身にもつながり最終的には無理だと思われていた目標にも手が届くようになるでしょう。

職場単位

最後は、部署や職場単位の改善です。

職場ごとに存在する固有の問題を洗い出し、解決へと取り組むことで、組織が実施する働き方改革を全員が実行できるようにします。

例えば、「経理部が経理をするためには必ず出社しなければならず、テレワークができない」といった課題を抱えていた場合は、クラウド型の経理ソフトを導入するといった内容です。

まとめ|全社員の意識改革を進め働き方改革を成功させよう

働き方改革が進まない原因について解説しました。

働き方が上手く進まない原因は、全社員の危機感が低かったり、経営層と現場社員の温度差があったりなど、「意識」の有無やズレによるものがほとんどです。

そのため、働き方改革を成功させるためには組織に属する全員の意識改革が必要不可欠です。

しかし、意識改革が成功し全員が積極的に働き方改革に取り組む姿勢でも、実際に作られた制度が組織に適したものでなかったり、実現が不可能なものであったりすれば、逆に企業に対する不信感へとつながります。

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