「TOC」をご存知でしょうか?

マネジメントについて学んだことのある方なら、一度は耳にしたことがあるかもしれません。

TOCは様々な企業で大きな成果を上げる、注目のマネジメント手法。

今回はTOCに触れながら、その中でも特に重要な考え方である「全体最適」について分かりやすく解説していきます。

マネジメント手法「TOC」とは?

まずは、そもそもTOCとはいったい何なのか理解しておきましょう。

TOCはTheory of Constraintsの略語で、日本語では「制約条件の理論」と呼ばれています。

Constraints=制約条件とは、全体のパフォーマンスを決定づける部分を指します。

制約に集中して対策をとることで、結果的に全体に対して改善を行うマネジメント手法こそがTOCです。

また、TOCの考え方によって、会社や組織が抱えるシステム全体を改善につなげることを「全体最適」と呼びます。

今回はこの全体最適に注目し、使える知識としてTOCの理解を深めていきましょう。

伝説的小説から広まったマネジメント手法TOC

TOCはもともと、イスラエル人物理学者であるE.M.ゴールドラット博士によって開発された生産管理用ソフトの基となった方法論です。

ソフトの開発を経て、1984年にゴールドラット博士が出版した小説「The Goal」内でその理論の全貌が明らかになりました。

出版されてからというもの、TOCの有用性は小説の中の一手法ではなく、実際の企業で運用できる「使える」方法論として、世界中に広がっていきます。

40年近く前の理論であるものの、普遍性があり現代にも応用できるものとして、現在も多くの企業で導入され成果を上げ続けています。

TOCの特徴をわかりやすく解説

ではここで、TOCの特徴を掘り下げて解説していきます。

頭に置いておきたいキーワードは「制約」と「全体最適」です。

この2つの言葉は、TOCの根幹をなす考えであり、同時に他のマネジメントと大きく異なる部分です。

一般的なマネジメントと比較しながら、理解を深めていきましょう。

一般的なマネジメントとTOCの違い

TOCと一般的なマネジメント手法はどこが違うのか?

その答えのひとつが「TOCは全体最適によって改善を行う点」にあります。

従来のよくあるマネジメントでは、それぞれの部署ごとに弱点を発見し、個別に改善を行っていました。

この手法は全体最適と対比して「部分最適」と言います。

一見、部分最適でも充分改善できるように思えますが、手当たり次第の改善になりがちで、無駄な労力を要していることが多い手法です。

また、全体に対してどういう効果をもたらすのかを意識せずに改善を行ってしまい、効果がぼやけてしまうという問題をはらんでいます。

全体最適の考え方では、企業全体としての改善効果を最優先し、各部署の改善に執着しないことが求められます。

最初は受け入れられにくい考え方ですが、無駄なく最小限の労力で効果を上げられる手法と言えるでしょう。

企業規模を問わずTOCの「全体最適」は目指せる

TOCのことが徐々に分かってくると気になるのが「うちの会社でも使えるの?」という点でしょう。

シンプルな方法だからこそ、業種や組織規模を問わず全体最適を目指すことが可能です。

ここでは企業規模ごとに導入の方法がどう異なるのかを見ていきましょう。

大きな組織や企業の場合、まずはひとつの部署をひとつの組織と捉えて、部署に対し全体最適を行う必要があります。

ひとつのまとまりが改善したら、今度はそれをひとつの要素としてとらえ、より大きなまとまりを全体として捉え、改善を行っていきます。

だんだん視点を広くしながら、改善を行う対象を拡大することで、組織全体の改善を目指せるのです。

中小企業や小規模組織の場合は、組織全体をひとつと捉えて改善を行っていきます。

改善の手順は大きい組織と変わらないので、他社での事例が役立てやすいのもTOCが導入しやすいポイントです。

重要なのは、大きい組織でも小さい組織でも、改善したい対象全体を見て制約を探すというシンプルなルールを守ることです。

全体を意識しながら、対策を実行する範囲を適切に切り分けることがスタートラインとなっています。

希少リソースをやりくりし、無駄のない配置を行うためにも、まずは全体を見る癖をつけることから始めてみましょう。

TOCで全体最適を行うためのフレームワーク

ここでは、実際に全体最適を行っていくにあたり、何をしていけばいいのかご紹介します。

TOCでは、制約の発見から改善まで、どんなプロセスたどるべきかが既に用意されているので、迷わず改善を進められるのも大きなポイントです。

今回は全体最適を最速で叶えるための、2つのフレームワークを簡単にご紹介します。

フレームワーク:5段階集中プロセス

まずご紹介するフレームワークは「5段階集中プロセス」です。

TOCの基本とも呼べるフレームワークで、このステップを正しく辿ることで大きな改善効果が期待できます。

  1. 制約を見つける
  2. 制約を最大活用する方針を決める
  3. 制約以外のすべてをステップ2の決定に従属させる
  4. 制約を強化する
  5. 制約が解消したら惰性に気を付けてステップ①に戻る

この5つのプロセスは一度行って終わりではなく、さらに次の改善対象へと何周も繰り返して使っていくものです。

いずれは組織全体に対して全体最適を行えるようになります。

フレームワーク:思考プロセス

もうひとつのフレームワークが、「思考プロセス」です。

その中でも今回ご紹介する「抵抗の6階層」は、改善により生じる組織内からの抵抗を解消するためのもので、想定される抵抗それぞれに対策としてツールが存在します。

抵抗① 問題の存在に合意しない

  • 解決のためのツール:現状問題構造ツリー(悪循環のサイクル)
  • 目的:問題についての合意を得る

抵抗② 解決の方向性に同意しない

  • 解決のためのツール:対立解消図が用意されています。
  • 目的:対立を解消し、win-winの関係を作る

抵抗③ 解決策が問題を解決することに同意しない

抵抗④ 解決策を実行するとマイナスの影響が発生する

  • 解決のためのツール:未来問題構造ツリー
  • 目的:解決策による効果の証明

抵抗⑤ 解決策の実行を妨げる障害がある

抵抗⑥ その結果起こることへ恐怖と不安を感じる

  • 解決の為のツール:前提条件ツリー・移行ツリー
  • 目的:解決策に対する障害を克服するための合意を得る

このように、状況に合わせて細かくツールが用意されているのも、長い時間をかけて練り上げられたTOCならではと言えるでしょう。

まとめ:TOCで全体最適を追求し業績アップへ!

全体最適を目指すTOCの改善は、小さな手間で大きな変化をもたらすことができるため、多くの企業で導入されています。

ビーイングコンサルティングでは、過去に多くの企業でTOCの導入をサポート、確実に成果につなげてきました。

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