時間やお金をあるだけ使ってしまうことを意味する「パーキンソンの法則」。
この法則を知っている方の中には「自分もパーキンソンの法則に陥ってしまって困っている」と感じている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、パーキンソンの法則を構成する「第一の法則」「第二の法則」のそれぞれについての対策や、対策の実施によって得られる効果を詳しく解説します。
パーキンソンの法則とは
パーキンソンの法則は、1958年にイギリスの歴史・政治学者であるシリル・ノースコート・パーキンソンによって提唱された法則です。
当時の行政組織を研究する中で発見された法則で、これから解説する2つの法則から成り立っています。
第一の法則
第一の法則は「仕事の量は、完成のためにあたえられた時間をすべて満たすまで膨張する」というものです。
当時のイギリスの行政組織において、仕事の量とは関係なく役人が増え続けていることから導き出されました。
例をあげると、3人でおこなえば1時間で完了するAという作業があったとします。
Aの実施に対して、5人の人員と3時間が割り当てられた場合、本来であれば1時間以内で作業が完了しますが、現実としてはあたえられた時間すべてを使いきってしまうというものです。
その結果、どのような仕事であれ期限間近に完了することとなってしまいます。
第二の法則
第二の法則は「支出の額は輸入の額に達するまで膨張する」というものです。
こちらは税収が毎年増加しているにもかかわらず、毎年つねに全部の予算を使い切ってしまい、結果税金の負担が増えたという財政状況から導き出された法則です。
一言でいうと「人間はあればあるだけお金を使ってしまう」ということです。
この法則は個人でもよく見られ、ボーナスなどの臨時収入があっても、翌月にはなぜかお金が無くなっていたという経験がある方は、この法則が働いているためといえるでしょう。
パーキンソンの法則「第一の法則」への対策3選
パーキンソンの法則は自主的に管理することで、対策が可能です。
ここでは、パーキンソンの法則「第一の法則」への対策を3つ紹介します。
自身で期限を設定する
前述したとおり「第一の法則」によって、人はあたえられた時間をすべて使おうという心理が働きます。
これに対抗するためには、自身で期限を設定することが有効です。
作業がなかなか進まない原因として、「期限にはまだまだ余裕があるから大丈夫」という気持ちがあるからでしょう。
期限を守る意識自体はあるため、自身で期限を設定すれば早く作業を終わらせることも可能です。
注意点として、作業に対してあまりにも短い期限を設定しないようにしましょう。
現実的ではない期限を設定してしまうと、かえってやる気がなくなってしまいます。
期限を設定する際は、勢いで決めるのではなく必要な作業量をしっかり客観的に把握した上でおこないましょう。
各作業の必要時間を明確にする
期限の設定からさらに踏み込んだ方法を紹介します。
自身の作業における必要な時間をすべて洗い出して、スケジュールに落とし込む方法です。
作業の予定がすべて明確にして、自身のスケジュールを作成すれば、後はそれに沿って行動するだけで生産性を大きく高められます。
この作業を実施する際の注意点は「決めたスケジュールをやりきると自身に約束すること」「スケジュールを詰め込みすぎないこと」の2つです。
予想外の事態が発生しても対応できるよう、余裕を持ったスケジュールを組んだうえで、強い意志を持って決めたスケジュールをこなしていきましょう。
複数人での会議などではゴールを明確にする
会議やミーティングといった、自身以外の複数の人が関わる場合は「○○について結論をだす」「○○について合意を得る」などといった具体的なゴールを明確にしておくことが効果的です。
ゴールにたどり着いた時点で、予定時間より前でも終了するように徹底すれば、ムダな時間の削減になります。
また、他の参加者にも「時間を使い切る必要はない」という意識付けができるでしょう。
パーキンソンの法則「第一の法則」の対策番外編:集中力アップのコツ
リモートワークなど周りの目がない環境の場合、上記の対策をおこなっても集中力が続かずに失敗した経験のある方も多いのではないでしょうか。
ここではパーキンソンの法則「第一の法則」への対策番外編として、個人ですぐに実施できる集中力アップのコツを2つ紹介します。
作業環境を整える
作業に不必要なモノが一切ない環境を整えましょう。
作業に不必要なモノが周辺にあると、モノを見た際に「使うか?使わないか?」で悩んでしまいます。
極端な例ですが、PCの横に好きなマンガや本がある場合、作業中に高い頻度で目に入ってしまうでしょう。
この場合、マンガが視界に入るたびに「読むか?読まないか?」の選択を迫られることとなり、集中力を大きく削られてしまいます。
マンガに限らず、おこなっている作業に直接関係のないすべてのモノに対して発生する現象であり、作業をおこなう際は不必要なモノはできる限り排除しましょう。
シングルタスクを徹底する
タスクをおこなう際は1つの作業に集中し、2つ以上を同時におこなわないようにしましょう。
人はタスクが切り替わる度、集中力を消費します。
そのため、2つ以上のタスクを並行しておこなう、いわゆるマルチタスクは効率がいいように思われますが、トータルの生産性は低くなります。
特に、注意するべきはスマートフォンです。
仕事の通知や気になるニュースなど、スマートフォンを持っているだけで、気になってしまう点が多くあります。
「気にしなければ問題ない」と考える方も多いかもしれませんが「通知がきた」と認識した段階で、集中力は使われています。
スマートフォンは近くにあるだけで集中力を多く消費し、作業に使うべき集中力が足りなくなってしまいまう可能性が高いのです。
そのような事態を防ぐためにも、スマートフォンは「集中力を削る」という認識を持ち「電源を切る」「手の届かない場所に置く」などの対策を実施しましょう。
パーキンソンの法則「第二の法則」への対策3選
ここからは、パーキンソンの法則「第二の法則」への対策を3つ紹介します。
お金を使用する前に貯蓄する
「第二の法則」はお金を持っていれば持っているだけ使ってしまうというものであり、その法則から考えると「残った分だけ貯金する」というやり方は現実的ではありません。
そこで、対策として本当に必要な金額以外は先に貯金してしまいましょう。
事前に自身に必要な金額を計算しておき、不必要な金額を貯金しておけば、確実にお金を貯めていくことが可能です。
どうしても使ってしまうという方は「貯金専用の口座を用意して入金時以外は通帳やカードを持たない」「給料から天引きしてもらうように設定する」など、自身がすぐに手を出せない環境を作るのも効果的です。
支出管理をする
上記に加えて、自身の支出を把握することも非常に重要です。
「何に使っているかわからないけど、なぜかお金がない」という状況は、まさに「第二の法則」に乗っ取られているといえるでしょう。
こういった状況から抜け出すためには、まずは自身の支出を明確にする必要があります。
手軽に支出管理ができるアプリなども多くリリースされていますので、それらを活用するのもおすすめです。
支出が明らかになればムダな出費がわかるので、それだけでもお金を守れます。
さらに踏み込んで具体的な予算を組むことができれば、多くの金額を貯金することも不可能ではありません。
「価格」ではなく「価値」で判断する
支出を「価格」だけでなく「価値」で判断することも重要です。
「第二の法則」への対策をとることの目的は、自身の価値や生活の質を上げることです。
ムダな消費は抑えるべきですが、だからといってすべてを我慢すればいいということではありません。
むしろ自身にとって本当に必要で価値あるものにはどんどんお金を使うとよいでしょう。
本当に価値あるものにお金を使うためには「お金を費やす対象が本当に必要なものなのか、それとも単なる無駄使いなのか」を知り、支出の基準を決めることが重要です。
パーキンソンの法則を対策することによって得られる効果
パーキンソンの法則を対策することによって以下のような効果が得られます。
- 時間に余裕を持って行動ができるようになる
- 自身で時間管理ができるようになり、ムダな残業や休日出勤などを削減できる
- ムダな支出がおさえられ、自身にとって価値あるものにお金を使える
- 自身への投資が可能になり、将来的なキャリアアップや収入アップにつながる
パーキンソンの法則へ対策することにより、時間やお金に余裕ができるようになります。
余裕ができた分を、自己投資や本当に必要なものにあてることで、自身の価値や生活の質を大きく高めることが可能です。
まとめ:パーキンソンの法則へ対策して自身の価値を高めよう
パーキンソンの法則への具体的な対策や、対策の実施により得られる効果について解説しました。
パーキンソンの法則は人の本能ともいえる法則で、意識をしていなければいつの間にか法則に沿った行動をしてしまいます。
しかし、法則の意味を理解し対策を実施することにより、時間やお金に余裕を持つことが可能です。
生まれた時間やお金を活用し、自身の価値や生活の質を高めましょう。
ちなみに、プロジェクトの納期に影響を与えるパーキンソンの法則は、CCPMを導入することで解決できる場合があります。
マネジメント手法を導入してパーキンソンの法則による納期遅延を防止したいという方は、下記より資料をダウンロードしてください。