「パーキンソンの法則」をご存知ですか?
英国の歴史学者であり政治学者でもあるシリル・ノースコート・パーキンソンが自著の中で提唱した法則です。

彼がイギリスの行政組織を研究する中で導き出された法則は、現代のビジネスにも大いに通じる点があります。
知っておくことで、生産性向上や効率化にも大いに役立つ知識です。

今回はそのようなパーキンソンの法則についてわかりやすく解説していきます。

対策も併せて紹介しているため、プロジェクトの生産性を高めたいという方は参考にしてください。

パーキンソンの法則とは?

英国における行政組織の運営を分析する中で生み出されたのがパーキンソンの法則です。
心理学的な側面もあるこの法則は、現代の私たちにとっても心当たりのあるものばかりでしょう。

例えば、

  • 30分で終わる内容の会議を1時間の時間設定で行うと1時間まるまるかかってしまう
  • 収入が増えた分だけ支出が増えてしまう

こうした例はパーキンソンの法則に陥った典型的な例といえます。

パーキンソンの法則は大きく分けて二つの法則から成り立っています。
その第一法則と第二法則について、それぞれ詳しく見ていきましょう。

第一法則

パーキンソンの法則の第一法則は
「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」
というものです。

第一法則の背景になった当時の英国の行政組織では、仕事量とは関係なく、役人が年々増加しているという状況がありました。
人数が増えて作業量が減っているにも関わらず、労働時間が変わらずに作業時間が間延びする結果になっていたのです。

パーキンソンの法則の第一法則は、どれだけリソースを増やしても常態化する残業など、ビジネスシーンのいたるところに当てはまります。

生産性の向上を目指すときには、人間の本質的な性質であるパーキンソンの第一法則を理解してから臨むことで、効率的な改善が可能です。

第二法則

パーキンソンの法則の第二法則は
「支出の額は、収入の額に達するまで膨張する」
というものです。

当時の英国の国家財政は税収が毎年増えているにも関わらず、常に予算を使い切るという状態でした。
結果的に税負担が増大してしまう結果になっていたのです。

第二法則は「人はあればあるだけお金を使う」性質があるとも言い換えられます。

ビジネスで言えば、収益が増えたのにその分新規設備投資などに使い込んでしまい、結局その効果が分からないまま経費が増大しているという状況が当てはまります。
日常の家計管理でも収入が増えたのに、気付くとお金を使い込んでしまっていた、という方は少なくありません。

パーキンソンの法則は簡単に言うと、「人は何も対策しなければ持っているお金や時間をすべて使ってしまう」と言い換えることができます。
ビジネスに限らず、生きていく上で心当たりのある方も多いのではないでしょうか?

次の項目では、そんなパーキンソンの法則に陥らないための法則について解説をしていきます。

パーキンソンの法則に陥らないためには?

人の持つ性質上、何も対策をしないとパーキンソンの法則で示されるような状態に組織そのものがどんどん陥ってしまいます。

ここでは、それぞれの法則に対してどのような対策を取ればいいのかを解説していきます。

第一法則に対する対策

ビジネスでのパーキンソンの第一法則の対策としては、以下の取り組みが考えられます。

(1)プロセスや成果での人員評価
正しい評価制度を導入することで、大きな改善効果が見込めます。

評価制度がない場合、社員が長時間の労働をすることで賃金を向上させるという思考に陥る場合があるでしょう。
これは業務効率を大きく低下させるもので、仕事の時間を無駄に引き延ばす原因にもなります。

この状況を改善するためには、残業時間の削減化や効率化に一定の評価を設け、達成時には表彰や賞与の還元を行うなど、効率化に対する評価制度の導入が有効です。

(2)進捗管理の改善
締切やゴールの設定が曖昧なプロジェクトは、えてして遅延が発生しがちです。
進捗管理を徹底することで、プロジェクト進行は大幅に改善する見込みがあります。

各工程の期日および進捗を確認し、常にトラブルが発生していないかを共有しあう必要があります。
メンバー同士の共通認識の形成や進捗報告を定期的に行うことも非常に効果的です。

第二法則に対する対策

ビジネスでのパーキンソンの第二法則の対策としては、以下の取り組みが考えられます。

(1)予算と収益管理の徹底
初期に設定した予算に対して、案件やプロジェクトの完了後に赤字になっていたということは少なくありません。

予算の設定時には金額的なバッファを設定し、完了時には収支の原因を確かめる必要があります。
「なんとなく上手くいった」「なぜか赤字になった」を繰り返していると、いつまでも収支のコントロールはできません。

金額的な流れを把握し、改善点を洗い出すための管理の徹底を行うことで、無駄なコストの発生を抑えることが可能です。

(2)投資効果の測定
業務に必要と判断して投資を行ったとしても、投資の成果を測定しなければ意味がありません。
投資による効果を数値化することで、その投資が有効であったかどうかを可視化することができます。

これは、次からの浪費を抑えたり、投資の精度を高めたりする効果があります。
持続的に取り組むことで第二法則のループを抑えることも可能です。

パーキンソンの法則を克服するために知っておきたい「TOC」

パーキンソンの法則の克服や、業務効率の改善に取り組みたい!と思っても、なかなか難しく何から手を付けていいか分からないという方も多いでしょう。
そのような時におすすめしたいのが、マネジメント手法にのっとった改善です。

ここでは業務効率の改善から業績向上まで可能な「TOC」についてご紹介します。

業務効率も業績も改善できるTOC

TOCは日本語で「制約条件の理論」としても知られるマネジメント手法です。
その名の通り、パフォーマンスを妨げている特定の「制約条件」について、集中して改善を行うことを大きな特徴としています。

TOCの主な目的は「現在から将来にわたって繁栄し続ける」 という企業の目的を達成することです。
そのため、部分的な改善にとどまらず、企業全体の業績改善が期待できるため、日本でも多くの企業で導入されています。

また、TOCは「どんなに複雑なシステムでも、常にごく少数の要素に支配されている」という仮定からスタートしています。
「ごく少数の要素」はまさに「制約条件」のことであり、制約条件が組織のパフォーマンスを左右します。

課題の根本原因である限られた制約条件に対策を打つことで、最小の手間と時間で最大の改善効果を得られる点が大きなメリットです。

まとめ:適切な対策を取りながら、パーキンソンの法則を克服しよう!

パーキンソンの法則について、第一法則と第二法則それぞれについて解説を行ってきました。
人間の心理や特性として、何も対策をしなければパーキンソンの法則で挙げられるような非効率的な状態に陥ってしまいます。

TOCなどを用いた根本的な改善を行うことは、パーキンソンの法則を回避するためとても有効な施策です。

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