商品・サービスを効率的に顧客の元に届けるためには、リードタイムの短縮について考えると良いでしょう。

ただし、リードタイムには生産や配送などさまざまな工程が含まれているため、工程別にリードタイムの短縮方法を考える必要があります。

本記事では工程別のリードタイム短縮方法について詳しく解説します。

実際の事例も紹介するので、ぜひお役立てください。

そもそもリードタイムとは

リードタイムとは、主に物流業や製造業で使われる言葉で、スタートからゴールまでの期間を指します。
「受注から納品までの期間」とも言い換えられます。

一口にリードタイムと言っても、調達・生産・配送など工程はさまざまです。
そのため、リードタイムを「調達リードタイム」「生産リードタイム」など細分化する場合もあります。

ちなみに、リードタイムと混同されやすい言葉に「納期」があります。
リードタイムは期間を指すことに対し、納期とは具体的な日時であることが異なる点です。

  • リードタイムの例:注文から10日間で納品
  • 納期の例:○月〇日に納品

このように、リードタイムと納期は似ていますが、異なる意味を持つので、使い分けに注意しましょう。

リードタイムの短縮とは

リードタイムが短いほど、商品・サービスが顧客の元に届くのも早くなります。
また、滞留在庫も削減され、在庫の適正数を維持できます。

よって、リードタイムの短縮に取り組む企業が多く存在しているのです。

ただし、「リードタイムの短縮」とは受注から納品までの期間を短縮することなので、一つの過程のみを短縮しても成果を得られません。
各工程における所要期間を短縮することで全体のリードタイム短縮につながるため、各工程の管理が重要となります。

リードタイムを短縮するメリット

リードタイムを短縮することで、商品・サービスが顧客の元に早く届きます
そのため、顧客満足度の向上や競合他社との差別化につながり、ファンを獲得しやすくなるでしょう。

また、リードタイムを短縮すると、より多くの注文を受けられるようになります。
例えば、リードタイムが10日間から5日間に短縮されると、単純計算で2倍の受注が可能になり、売上にも大きな影響が出てきます。

さらに、リードタイムの短縮により、今までよりも早いサイクルで商品が出荷されるため、倉庫内に滞留する在庫も削減されます。
在庫保管にかかるスペースや人手も削減され、リソースを適切に有効活用できるのです。

このように、リードタイムの短縮は企業にとってさまざまなメリットが期待できます。

リードタイムを短縮する危険性

リードタイムの短縮は多くのメリットが見込めますが、場合によってはリスクがあります。

大きな問題として挙げられる点は、品質面でしょう。

単にリードタイムを短縮することだけを意識しすぎると、どこかの工程でムリが起きやすくなります。
たとえば「開発を急ぐあまりミスが多くなった」「より早く配送してくれる業者を選んだら、荷物の扱いが雑で中身の製品が壊れてしまった」などのリスクがあります。

リードタイムの短縮の際には、品質を維持できるようムリのない範囲で進めることが重要です。

リードタイム短縮のメリット・デメリット(危険性)については下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひご参考ください。

リードタイムの意味|在庫削減とキャッシュフロー改善につながる考え方

【工程別】リードタイムを短縮する方法

リードタイムの短縮と言っても、各工程において方法が異なります。

そこで工程別にリードタイムの短縮方法を解説します。

開発リードタイムを短縮する方法

開発リードタイムとは、製品の企画立案から設計、実際の開発、そして完成までのリードタイムです。

消費者のニーズは移り変わりが激しいので、開発リードタイムが長引くと、完成時点でニーズがなくなってしまい、消費者にとって不要なものになる可能性があります。
ニーズが高いときに市場に出すためにも、開発リードタイムの短縮が必要です。

できるだけ早く開発するためには、既存商品と共通の部品を使ったり、既存サービスの仕組みやノウハウを取り入れたりする方法が有効です。
また、既存の機材を活用する方法も良いでしょう。

新たに部品や機材を導入する必要がないため、開発リードタイムの短縮につながります。

生産リードタイムを短縮する方法

生産リードタイムとは、製品の生産にかかる期間です。
生産には複数の工程が含まれ、それぞれの工程に「待ち時間」「段取時間」「実作業時間」「後処理時間」が発生します。

これらのリードタイムの短縮には、具体的に以下の方法が考えられます。

  • 人員の増加と配置見直し
  • 各人員のスキルアップ
  • タスク管理やスケジュール管理により、次の担当者への引継ぎを円滑化
  • 機材の新調・更新
  • 自社でリソースが不足している作業の外注

これらの取組みにより、全体の生産リードタイム短縮が見込めます。

調達リードタイムを短縮する方法

生産のために原材料が必要な場合、調達リードタイムが発生します。

外部企業に発注して調達している場合は、発注先企業の納品計画を確認して短縮できるポイントを指摘し、取り組んでもらう必要があります。

一方、自社で調達している場合は調達計画の見直しを行いましょう。

調達のプロセスをフローチャートに落とし込んで分析し、課題を洗い出して改善します。

配送・出荷リードタイムを短縮する方法

商品が完成して顧客の手元に届くまでの時間を短縮するため、配送や出荷に関するリードタイムについても考えなければいけません。

まずは出荷しやすいよう、倉庫管理の見直しが求められます。
商品を見つけやすくするために保管場所を整理したり、ピッキングや積み込みの人員を増やしたりする方法があります。

配送に関しては、配送業者の見直しを行いましょう。
業者によって「ずっと陸路を使う」「場合によっては空路や海路を使う」と配送方法が異なるので、配送期間とコストの兼ね合いを見ながら検討します。

リードタイムを短縮した事例

企業規模に関わらず、リードタイムの短縮に取り組むことで大きな成果を得られます。

実際に当社・ビーイングコンサルティングがお手伝いし、リードタイムの短縮を実現した企業は多く存在します。

そこでシャープ株式会社のスマートフォン開発におけるプロジェクト管理に取り組んだ事例を紹介します。

スマートフォンは需要の高い製品ですが、次々と新製品が開発されている市場のためシャープ様は苦戦を強いられていました

そこで当社が得意としているTOCの概念を活用し、事業課題の根本原因の特定に乗り出したのです。

その結果、プロジェクトの上流工程である初期検討が遅延していることで、プロジェクト全体のリードタイムが長引いていることが判明しました。

そこで、プロジェクトマネジメントにCCPMを取り入れ、各工程を最短工数でスケジューリングし、重要度の高いタスクを優先して取り組むよう設計しました。

結果として、タスクの滞留時間が短縮されスピーディにプロジェクトが進み、6カ月間で開発リードタイム約30%短縮を実現することとなりました。

【シャープ株式会社様】わずか6ヶ月間で30%の開発リードタイム短縮

まとめ:工程別のリードタイム短縮方法を理解しよう

リードタイムの短縮によりさまざまなメリットが得られ、売上にも好影響を及ぼすでしょう。

ただし、リードタイムの短縮は、一つの工程を短縮しても全体の短縮にはつながりません。
各工程のリードタイム短縮についての施策を講じ、工程別に対応することがポイントです。

リードタイムの短縮には、TOCやCCPMが活用できます。

当社・ビーイングコンサルティングは、TOCを得意とするコンサルティング会社です。
今まで多くの企業のリードタイム短縮を実現してきました。

TOCの導入を検討している方は、まずは下記資料にて詳しい内容をご確認ください。

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