「頑張っているのに利益が出ない」「なぜかパフォーマンスが上がらない…」と悩んではいませんか。

制約に集中することで、結果的に全体のパフォーマンスを改善できるTOC。

気になってはいるものの、あまり詳しく知らないという方もいるでしょう。

そこで、本記事ではTOCを用いた問題解決の方法を紹介します。

また、問題解決の手順や問題解決で使用するフレームワークも紹介するため、TOCの導入で現場の問題を解決したいと考えている方はぜひ参考にしてください。

TOCとは?

TOCは、イスラエルの物理学者であるゴールドラット博士が唱えた理論で、会社などの組織で生産管理に応用されています。

日本語で「制約条件の理論」と訳され、大野耐一さんが考案したトヨタ生産方式を参考にして作られた理論です。

一般的なマネジメントでは、個々の問題は別のものとして、それぞれの問題に対し施策を実行します。

対してTOCでは、問題が起きている根本的な原因である制約(Constraints)にフォーカス。

結果として、根本的な問題一つを解決するだけで他の問題も軒並み解決されます。

TOCは古い考え方なのか

TOCは今から約35年前に提唱された理論ですが、日本に入ってきたのは2001年です。

普遍的な考え方なので現在の組織にも有用な考え方です。

現に今でもTOCに関する研修事業の提供やセミナーの公開が行われており、導入事例も更新され続けています。

例えば、弊社では2016~2017年にかけてシャープ株式会社様に対して、TOCコンサルティングを施行致しました。

以下は、実際の導入事例です。

【シャープ株式会社様】わずか6ヶ月間で30%の開発リードタイム短縮

TOCの導入を支援する企業は他にも多々存在し、学ぶ価値は大いにあります。

TOCを利用した問題解決手法

TOCでは問題解決を図る際に5つのステップを経ます。

問題解決のステップは、以下の通りです。

  1. 制約を見つける
  2. 制約を最大活用する方針を決める
  3. 制約以外のすべてをステップ2の決定に従属させる
  4. 制約を強化する
  5. 制約が解消したら慢性に気を付けてステップ1に戻る

ステップ① 制約を見つける

組織を俯瞰的に見渡して、パフォーマンス向上の障害が何なのかを見つけます。

制約とは、目的達成に向かううえで存在する数々の”好ましくない事実”を引き起こしている根本的な原因です。

例えば、組織で「無理」や「無駄」とみなされている工程が無いかメンバーにヒアリングしてみましょう。

そうすることで、”好ましくない事実”を引き起こしている根本的な原因が見つかります。

ステップ② 制約を最大活用する方針を決める

このステップで、見つかった制約部分の工程にあるリソースを最大限活用します。

制約となっている工程のパフォーマンスが業務全体のパフォーマンスを決めており、仕事の運用や作業方針を改善すれば、業務全体のパフォーマンスが向上が見込めます。

例えば、出荷作業での労働力に制約があった場合、より物の梱包や積み下ろしを素早くできる方法を考えます。

ここでは、新しい投資はせずに制約条件を最大限活用する方向で考えます。

ステップ③ 制約以外のすべてをステップ2の決定に従属させる

制約となっている工程以外も、制約部分のパフォーマンスに合わせて処理します。

なぜなら、制約以外の部分は過剰に成果物を生産していることがほとんどであるからです。

例えば、出荷作業で捌ける商品数以上に出荷予定の商品を調達してきても、社内に商品が余分に増えていきます。

過剰な成果物を減らすことで、コスト削減が実現可能です。

ステップ④ 制約を強化する

次に、無駄をそぎ落とすことで発生したリソースを使って、制約部分の工程にある処理能力を最大化させます。

その後、制約部分の処理能力が向上した分だけ全体の処理能力も強化させます。

結果として、業務全体のパフォーマンスが飛躍的に改善します。

ステップ⑤ 制約が解消したら惰性に気を付けてステップ①に戻る

引き続き新しい制約を見つけるため、ステップ①から④で紹介した制約の特定から強化までの流れを再度繰り返します。

この時、惰性があると今まで進めてきた改善が崩壊するので注意が必要です。

TOCで利用される問題解決のためのフレームワーク

TOCで問題解決する際には思考プロセスを用います。

思考プロセスには問題解決のためのフレームワークが5つあります。

  • 現状問題構造ツリー
  • 対立解消図
  • 未来構造ツリー
  • 前提条件ツリー
  • 移行ツリー

これより順番に説明します。

現状問題構造ツリー

現状問題構造ツリーは、問題の根本原因を見つけ出すためのフレームワークで、英語で『Current Reality Tree』と呼ばれます。

原因と結果もしくは目的と手段の関係で構造化することで、今起きている問題を整理します。

問題の7~8割を占める中核問題が見つかれば、その問題の解消を目指すことで最小の努力で最大の結果が得られるでしょう。

対立解消図

対立解消図は、今対立している問題を両立させるために利用します。

対立が生じる背景にある誤った前提を見つけ、対立を根本から解消します。

例えば、品質向上と開発に時間を掛けることで対立が生じている場合、要望を両立できる解決策を模索すると高品質な技術開発や基礎検討ができる環境を整えると言った解決策を導けるでしょう。

正しい前提条件を明確にすることで、対立だと思っている状況が、実は対立ではないというケースは少なくありません。

未来構造ツリー

未来構造ツリーは、解決策を実行することで本当に問題が解消されるのかを検証します。

そのため、前もって解決策は明確にしておく必要があります。

例えば、『生産に機械を導入する』という解決策の好ましい結果として『ミスが減る』というものがある場合、本当に『生産に機械を導入する』ことで『ミスが減る』を検討しましょう。

未来の明るい結果を考えていくので、比較的楽しい気持ちでツリーの作成に取り組めます。

前提条件ツリー

前提条件ツリーは、解決策実行の障害を検証します。

これにより、解決策の実行成功確率を上げることが可能です。

例えば、「人材不足から採用をかけてもなかなか人が集まらない」という障害に対して、「採用のプロを雇う」や「外部の採用コンサルティング会社に委託する」という手段が考えられます。

移行ツリー

思考プロセスの最終段階で利用される移行ツリーでは、浮上した施策の順序を整理します。

その際、前提条件ツリーで浮上した障害を無効化するため、更に詳細に障害を克服するための行動の精度を高めます。

まとめ:制約条件にフォーカスし、問題解決を図ろう!

今回の記事の内容をまとめたものが以下の通りです。

  • TOCは今でも通用する考え方
  • TOCは5ステップで問題を解決する
  • 思考プロセスには5つの問題解決のためのフレームワークが存在する

TOCは問題解決するための手順が明確で、そのためのフレームワークも作られています。

そのため、初心者の方でも扱うことが可能です。

もし心配な方は、研修やセミナーも開かれてみるので、一度受けてみると良いでしょう。

また、今でも十分有用な考え方なので、組織の課題解決に悩む方は一度学んで実行してみる価値はあります。

TOCに関してさらに詳しい内容を、以下資料にて公開しております。

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こちらも併せてご覧いただくことで、よりTOCの重要性を知ることができますので、是非ご活用ください。