組織のパフォーマンス向上に欠かせない「戦略」と「戦術」ですが、階層間で認識のずれを感じたことはありませんか?
認識のずれや伝達不足による階層間の分断で、運営に悪影響が及ぶことは避けたい事態です。

今回の記事では、従来の戦略と戦術をTOCの考え方を取り入れ、新たな方法で捉えなおす方法「S&Tツリー」について解説。
TOCの考え方を取り入れることにより、戦略と戦術がより組織運営の改善に貢献するでしょう。

S&Tツリーにおける戦略・戦術とは

S&Tツリーは、「戦略(Strategy)」と「戦術(Tactics)」のアルファベット頭文字をとったものです。
つまり、和名では「戦術と戦略のツリー(Strategy&Tactics Tree)」と言います。

「戦略(Strategy)」と「戦術(tactics)」はビジネスには欠かせないものですが、人により認識が曖昧になってしまっているケースがあるのも事実です。

まずは「戦略(Strategy)」と「戦術(tactics)」の定義ついて、説明をしていきます。

戦略(Strategy)とは

戦略(Strategy)とは、企業が「何をするのか」「何を捨てるのか」など、「進むべき方向」「進む方法」のシナリオを描くことです。

組織が進むためには何をするべきかを考え、長期的な視野と複合的な思考で策定していきます。

現状の調査・分析から基本方針を固め、基本方針から実現するための方法まで具体的に落とし込んでいくのが戦略です。

戦略構築を怠ると、組織の停滞・混乱を招く恐れがあります。

戦術(Tactics)は

戦術(Tactics)とは、戦略を実現するために利用する手段や、オペレーションのことです。

目的を達成するために、リソースを効果的に配置。
成果を実現するための過程であり、戦略より具体性を伴います。

戦略はゴールへの大まかのフローで、戦術によって実務化するといったイメージです。

S&Tツリーとは

TOCのS&Tツリーでは、階級間での戦略と戦術のつながりを見える化します。

各ボックスに戦略と戦術を配置することで、戦略と戦術を常に一体化させます。

またボックスごとにレベル分けがされており、レベルごとに設定される戦略と戦術が異なるのも特徴。

レベル1 組織や企業、事業部門ごとの目標
レベル2 他社が簡単に真似できない決定的な競争力
レベル3 決定的な競争力の構築、収益化、持続の方法
レベル4 それぞれの具体策とアクション
レベル5以下 より詳細な具体策とアクション

階層ごとに、メンバーが何に取り組むべきかを可視化します。

企業の成長にS&Tツリーが必要な理由

従来の戦略と戦術の構築方法では、経営層が立案し、方針に従い下層の現場層が実際に実務を行っていきます。

しかし階級層の間で十分な意思疎通が行われず、認識のずれが組織の停滞や混乱を招くことも少なくありません。

組織の停滞や混乱は階層間の分断につながり、更に多くの問題を起こす可能性があります。

階級間での戦略と戦術のつながりを見える化したS&Tツリーを用いることで、各階層メンバーのやるべきことを可視化し、上記のような混乱を防ぎます。

S&Tツリーで戦略と戦術を見える化するメリット

S&Tツリーで戦略と戦術を見える化することで、全てのメンバーにとって戦略と戦術が明確になるメリットがあります。

戦略と戦術が明確化することで、以下のような効果も期待できます。

  • 階級ごとに強みやチームがやるべきことが可視化されるため、行動や意思のバラつきを防止することが可能。
  • 「下層が戦略・戦術を勝手に変えてしまう」という事態を防ぐ。
  • 方針の浸透・伝達をスムーズになる

一つのツリーに多くの機能を与えることで、メンバー全員がやるべきことを把握し、行動に移すことが可能です。

S&Tツリーで3つの「なぜ」を記載する理由

S&Tツリーでは各ボックス内に、戦略と戦術に加え、3つの「なぜ」を記載しているのも特徴の一つです。

「なぜ」を記載することで、戦略と戦術に対する理解が更に明確化し、より円滑な組織運営を可能にすることができます。

以下が、3つの「なぜ」です。

  1. なぜこの変化が必要か?
  2. なぜこの戦略をとるのか?
  3. なぜより詳細な具体策とアクションが必要なのか?

それぞれ記載する理由を解説していきます。

①とるべき行動の必要性が把握できるから

「なぜこの変化が必要か?」を記載することで、上位のレベルを達成する必要性を理解することが可能です。
とるべき行動をより明確にすることが可能で、メンバーの行動を同じ目標に向かって促すことができます。

②戦術が戦略を達成するつながりを理解するため

「なぜこの戦略をとるのか?」では、戦略を達成するために戦術を行う具体的根拠を理解することができます。

選んだ戦術がどう戦略の達成につながるか、理解が可能です。

③正しい行動をとるため

「なぜより詳細な具体策とアクションが必要なのか?」では、詳細なステップをとる根拠を記載します。

正しい行動をとるために、アクションを行う根拠について理解が可能です。

まとめ:S&Tツリーで企業の継続的な成長を

今回の記事では、従来の戦略と戦術をTOCの考え方を取り入れた「S&Tツリー」について解説しました。

S&Tツリーでは、階級間での戦略と戦術のつながりを可視化し、組織のメンバー全員が「何をするべきかを」明確に把握することが可能です。

従来の戦略と戦術で頻発していた、組織内の分断や停滞を防ぎ、継続的な成長へと導けます。

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