プロジェクトを適切にマネジメントするためには、多様なスキルが求められます。

初めてプロジェクトマネージャーになった人や、プロジェクトマネジメントに課題を感じている人は、不足しているスキルを強化することで円滑にプロジェクトを遂行できるでしょう。

そこで、本記事ではプロジェクトマネジメントに必要な10のスキルと、スキルアップの方法について紹介します。

プロジェクトマネジメントに必要な10のスキル

プロジェクトを円滑に進めるために必要なスキルは複数ありますが、特に重要な10のスキルを紹介します。
プロジェクトマネージャーは自分に不足しているスキルを理解し、強化できるよう取り組みましょう。

マネジメントスキル

プロジェクトマネジメントでは、複数のマネジメントスキル、つまり管理能力が求められます。
プロジェクトマネジメントで必要となるマネジメントスキルは、大きく以下の4つが挙げられます。

予算管理

割り当てられた予算内でプロジェクトを遂行することが、プロジェクトマネージャーの責務です。

予算をオーバーすると自社の利益が出ずに赤字になってしまうため、予算内でいかに成果を出せるかがポイントとなります。
そのため、どこにどれだけの予算をかけるかを管理できる能力が必要です。

ときには、さらにコストを削減して自社の利益を増やす工夫が要求される場面もあります。

人材管理

プロジェクトに必要な人材を集め、適材適所に配置する人材管理能力も求められます。
また各メンバーの教育・育成やフォローも含まれます。

たとえば各メンバーに適切な目標を設定したり、定期的に1on1ミーティングを実施したりすることも、プロジェクトマネージャーの重要な業務です。
その結果、メンバーのモチベーションを高めてパフォーマンスを最大化し、プロジェクトを円滑に進めます。

品質管理

できあがる成果物の品質管理も、重要なスキルの1つです。

クライアントの求めている品質よりも成果物の品質が低いと、クレームやトラブルを招きかねません。
また、メンバーによって成果物の品質にバラつきが生じてしまうことも問題です。

その一方で、クライアントのニーズ以上の品質を納品できれば、顧客満足度が向上して次なる受注にもつながります。
また、品質が一定化すると、クライアントも安心して発注してくれるでしょう

そのためにプロジェクトマネージャーは品質管理能力が必要です。

スケジュール管理

プロジェクトを納期までに完了できるよう、スケジュール管理能力も求められます

誰が、いつからいつまで、どの業務を行うかといった細かいスケジュールを立て、実際の進捗を管理します。
予期せぬトラブルが起きる可能性も考慮し、余裕をもってスケジュールを立てましょう。

リーダーシップ

プロジェクトマネジメントに必要な能力として、プロジェクトに関わるメンバーを統率するリーダーシップも挙げられます。

プロジェクトの規模が大きくなるほど、多くのメンバーが関わります。
時には親会社・子会社や協力会社などが関わる場合もあるでしょう。

リーダーとしてプロジェクトを円滑に完了するため、メンバーの意思を統率してゴールまで推し進めていくスキルが求められます。

技術的なスキル

プロジェクトマネージャーには技術的なスキルも必要です。

プロジェクトマネージャーは、クライアントや実際に業務を行う技術者たちと話す機会が多々あります。
そのようなときに技術的な提案やアドバイスができないと、クライアントやメンバーは不安になり信頼関係が崩れかねません。

また、技術的な知識や経験がなければ、実際にどのくらいの予算やスケジュールが必要なのか算出できずに、適切な管理ができないでしょう。

技術的なスキルを持ち合わせていることで、円滑なプロジェクトマネジメントが実現します。

コミュニケーション能力

クライアントや多くのメンバーと関わる機会の多いプロジェクトマネージャーには、コミュニケーション能力も不可欠です。

一口にコミュニケーション能力と言っても、自分の意見を伝える能力、クライアントのニーズをヒアリングする能力、メンバーの意見をまとめる能力など、多くのスキルが求められます。

プロジェクトを円滑に遂行するためにはコミュニケーションが欠かせないので、コミュニケーション能力を高めましょう。

提案力

プロジェクトマネージャーはクライアントへ提案することも珍しくありません。
そのため提案力が身についているとスムーズに提案を通すことができ、プロジェクトを円滑に進められるでしょう。

クライアントが納得できるよう、データや分析結果などを用いて説得力のある提案をすることがポイントです。
またクライアントは専門知識を持っていない場合もあるため、わかりやすいよう噛み砕いて説明する柔軟性も必要でしょう。

交渉力・折衝力

プロジェクトマネジメントでは、交渉や折衝の場面も多くあります。
たとえばクライアントとコストの折り合いがつかないときや、無理な要求をされたときなどです。
また、プロジェクトメンバーの不満や不安などをくみ取り、スムーズに業務を行えるように調整しなければいけない場面もあります。

このようなときにプロジェクトを適切にマネジメントするためには、お互いが納得できるように交渉や折衝ができる能力が必要です。

課題発見能力・問題解決能力

プロジェクトマネージャーには、課題発見能力と問題解決能力も必要なスキルです。

クライアントの課題を見つけ出し、どのようにしたら解決できるか見極めたうえで、自社がどのようにサポートできるか提案しなければいけません。

また、プロジェクトを進めている中で、思わぬトラブルが起きる可能性もあります。
そのときにトラブルの要因を発見し、適切に問題を解決していく必要があります。

そのためにも課題発見能力と問題解決能力は欠かせません。

ロジカルシンキング

円滑なプロジェクトマネジメントでは、ロジカルシンキングも必要な能力です。

ロジカルシンキングが身についていると、物事を順序立てて考えたり、物事の関連性を紐解いて考えたりできるようになります。

物事を論理的に捉えられるため問題の本質を見極めることができ、トラブルが起きた際にも冷静に対処できます
また相手に対して論理的に説明でき、説得力が増すでしょう。

情報収集・分析スキル

プロジェクトマネジメントに必要なスキルとして、情報を収集して分析するスキルも挙げられます。

品質の高い成果物を完成させるため、業界の最新技術や専門知識などの情報を収集し、プロジェクトのどの部分に落とし込むか分析します。
また、プロジェクトに問題が起きたときにも、さまざまなデータや履歴を収集・分析して、問題解決につなげます。

柔軟な対応力

プロジェクトを進めていると、予期せぬ事態が起こるものです。
そのような場合にも焦らずに、柔軟に対応できる能力が求められます。

必要があれば柔軟に軌道修正を行い、プロジェクトの円滑に遂行します。

プロジェクトマネジメントのためのスキルアップ方法

円滑なプロジェクト遂行のため、スキルアップしたいと思っている人も多いのではないでしょうか。
プロジェクトマネジメントに必要な能力をスキルアップするためには、以下の方法がおすすめです。

自身のスキルマップを作成して不足部分を把握する

自分に足りないスキルを把握するため、スキルマップを作成しましょう。

スキルマップとは、身についているスキルレベルを表にして可視化したものです。
スキルマップの作成により自分が強化すべきスキルを把握できます

書籍でプロジェクトマネジメントを学ぶ

プロジェクトマネジメントについての書籍で知識を身につける方法もあります。

専門家が執筆した書籍では、プロジェクトマネジメントについて体系的に学ぶことができます

初心者向けや実践向けなどレベルに応じたさまざまな書籍があるので、学びたい内容に合わせて選びましょう。

プロジェクトマネジメントの研修やセミナーに参加する

プロジェクトマネジメントの専門家による研修やセミナーへの参加も効果的です。

講師から直接話を聞くことができるうえに質問もできるため、不明点を解決でき理解度が深まるでしょう。

プロジェクトマネジメントに関する資格3選

プロジェクトマネジメントの能力を有していることを証明するために、資格の取得もおすすめです。
資格取得のための学習を通して、プロジェクトマネジメントについての知識が身につきます。

PMP

PMPとは「プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル」の略で、プロジェクトマネジメントに関する国際資格です。
アメリカに本拠地をもつプロジェクトマネジメント協会(PMI)が実施しています。

受験するためにはプロジェクトマネジメントの実務経験や研修の受講が必要となります。

法的な資格ではありませんが、プロジェクトマネジメントのスキルを有していることを裏付けになるでしょう。

プロジェクトマネージャ試験

IPA(情報処理推進機構)が実施しているプロジェクトマネージャ試験は、国に認められた国家資格です。

例年発表される合格率は15%以下で、難易度が高めと言われています。

記述式や論述式の問題もあり、プロジェクトマネジメントに関する高度な知識が求められます。

P2M資格試験

P2M資格試験は日本プロジェクトマネジメント協会が実施する資格です。

プロジェクトマネジメントに関する体系的知識を有していることを証明する「PMC(プロジェクトマネジメント・コーディネータ)」と「PMS(プロジェクトマネジメント・スペシャリスト)」、プロジェクトマネジメントの実践力を証明する「PMR(プログラムマネジャー・レジスタード)」と「PMA(プログラムマネジメント・アーキテクト)」の4種類の資格があります。
目的やレベルに応じて、取得する資格を選択しましょう。

必要スキルを磨いてプロジェクトマネジメントを円滑に!

円滑なプロジェクトの遂行には、さまざまなスキルが必要です。
1つのスキルに特化すると良いわけではなく、それぞれのスキルをバランスよく複合的に身につけることが重要なポイントとなります。

本記事で紹介した内容を参考に、ぜひスキルアップをしてプロジェクトマネジメントに役立てましょう。

またプロジェクトマネジメントではTOCの考え方が有効です。

業務が滞ったり思わぬトラブルが起きたりした際にも、TOCの考え方を用いてスムーズに問題を解決できます。

以下でTOCに関する詳しい資料をダウンロードできるので、ぜひお役立てください。