皆様は、プロジェクトベースラインをご存じでしょうか。
プロジェクトベースラインは、プロジェクトにおける計画書です。
しかし、プロジェクトベースラインについて具体的に知っている方は少ないと思います。
そこで本記事では、プロジェクトベースラインのメリットや設定手順について解説していくため、ぜひ参考にしてください。
プロジェクトにおけるベースラインとは
プロジェクトにおけるベースラインとは、プロジェクトの作業工程の進捗状況や予算などさまざまな要因をあらかじめ決めておく計画表です。
現在行っているプロジェクトをベースラインと比較することで、計画通り進んでいるのか確認できます。
また、あらかじめ何らかの変更に対応するためのプロセスを設定しているため、万が一のトラブルが発生した際にも迅速な対応が可能です。
このようなことから、プロジェクトをスムーズに行うためには、あらかじめプロジェクトベースラインを設定しておくことがとても重要になります。
プロジェクトベースラインの2つの定義とは
プロジェクトベースラインには、大きく分けると「ISO21500」と「PMBOK」の2つの定義が存在します。
この2つの定義は、プロジェクトベースラインを設定する際にとても重要になるノウハウです。
そのため、プロジェクトベースラインを設定する際に2つの定義について理解しておくことで、より正確なプロジェクトベースラインの設定が可能になります。
そこでここでは、プロジェクトベースラインの2つの定義「ISO21500」と「PMBOK」について解説していきます。
ISO21500
プロジェクトベースラインのISO21500は、プロジェクトマネジメントの国際標準のことです。
プロジェクトベースラインのISO21500が提唱された背景として、プロジェクト管理におけるパフォーマンスの向上が挙げられます。
そのため、ISO21500を活用し、プロジェクトベースラインを設定することで、プロジェクトのプロセスや正確な実装が目指せます。
また、ISO21500ではプロジェクトベースラインを「監視され、管理されるプロジェクト・パフォーマンスと照らして比較するための参照基準」と定義しています。
このようなことから、プロジェクトベースラインのISO21500を活用することで、プロジェクトの作業工程などのさまざまな要因を比較することが可能です。
PMBOK
プロジェクトベースラインのPMBOKは、「Project Management Body Of Knowledge」の略で、プロジェクトマネジメントに関する知識などのノウハウをまとめたものです。
現在PMBOKは、世界標準のプロジェクトマネジメントのノウハウとなっていますが、もとはアメリカの団体によって定義されたものでした。
このPMBOKは、プロジェクトベースラインを「作業プロダクトの承認済み版」と定義しており、プロジェクトマネジメントを体系化しています。
そのことにより、プロジェクトマネジメントを客観的に管理・整理することが可能になり、プロジェクトマネジメントの発展に大きく貢献しています。
また、PMBOKはプロセスをマネジメントすることを重点的に考えており、成果だけではなくその過程を管理することも重要であることが学べるものです。
プロジェクトベースラインの4つの要素とは
定義のノウハウを活用することでより良いプロジェクトベースラインを設定することが可能です。
しかし、ベースラインを効果的に活用するためには、プロジェクトベースラインを設定するための要素について理解する必要があります。
プロジェクトベースラインを設定するために必要な要素は「スコープ」「スケージュール」「コスト」「パフォーマンス測定」の4つです。
ここでは、プロジェクトベースラインを設定するために重要な4つの要素について解説していきます。
スコープ
プロジェクトベースラインの1つ目の要素のスコープは、プロジェクトの範囲を定義したものです。
スコープでは、プロジェクトを行う作業工程や成果物の内容が含まれます。
そのため、プロジェクトベースラインのスコープは、プロジェクトの範囲を明確に設定するためにとても重要なものです。
また、プロジェクトベースラインのスコープは、プロジェクトスコープ記述書やWBSなどの作成に使われています。
プロジェクトスコープ記述書はプロジェクトの計画書に作成するスコープを詳細にしたものであり、WBSはプロジェクトの作業を管理する手法です。
スケジュール
プロジェクトベースラインのスケジュールは、プロジェクトの進捗状況などの期間を定義したものです。
スケジュールでは、プロジェクトがどのくらいの期間で行われるかを考えます。
そのため、プロジェクトベースラインのスケジュールは、プロジェクトの進捗状況を管理する上でとても重要になります。
コスト
プロジェクトベースラインのコストは、プロジェクトの予算を定義したものです。
コストでは、プロジェクト自体にかかる予算も含まれますが、プロジェクトの進捗状況に応じたコストパフォーマンスも含まれます。
そのため、プロジェクトベースラインのコストは、プロジェクトにかかるさまざまなコストを明確にするとても重要なものです。
また、プロジェクトの全体像を把握してからコストを設定することで、より正確なベースラインの設定が行えます。
パフォーマンス測定
プロジェクトベースラインのパフォーマンス測定は、PMBと呼ばれ、先ほど解説した3つのベースラインの要素を統合したものです。
パフォーマンス測定では、3つのベースラインの要素が統合されているため、プロジェクトの全体像やさまざまな要因による影響を把握しやすくなります。
そのため、プロジェクトベースラインのパフォーマンス測定は、プロジェクト全体のパフォーマンスを効果的に監視、管理できるので、とても重要です。
プロジェクトベースラインの4つのメリット
プロジェクトベースラインの定義や要素について解説したことで、プロジェクトにおけるベースラインがとても重要なことを理解していただけたでしょう。
続いて、プロジェクトベースラインを設定するメリットについて解説していきます。
プロジェクトベースラインを設定するメリットは以下の4つです。
- プロジェクトにかかるコストを確認できる
- プロジェクトの進捗状況を確認できる
- プロジェクトにかかる作業工程が確認できる
- 今後のプロジェクトにノウハウを活かせる
プロジェクトにかかるコストを確認できる
プロジェクトベースラインを設定することで、プロジェクトの全体像を把握できるようになり、それぞれの作業工程にどのくらいのコストが必要か予測を立てることが可能になります。
しかし、プロジェクトベースラインを設定しない状態でプロジェクトを行うと、プロジェクトの全体像が把握できず無駄なコストを支払ってしまいます。
また、無駄なコストを支払うことで効率的にプロジェクトを進められなくなることも。
そのため、プロジェクトを行う際にはプロジェクトベースラインを設定し、全体像を把握することで、それぞれの作業工程にかかるコストを明確に設定しておくことがとても重要です。
特に、プロジェクトを進めている途中にプロジェクトベースラインとコストが合わない場合に、迅速な対応を取ることが可能になる点は大きなメリットになります。
プロジェクトの進捗状況を確認できる
プロジェクトベースラインを設定することで、プロジェクトに必要な作業工程が明確になります。
そして、それぞれの作業工程にどのくらいの期間がかかるかを予測し、管理することが可能です。
しかし、プロジェクトベースラインを設定していないと、プロジェクトにどのような作業工程があるかを把握できないため、非効率的にプロジェクトを行うことになります。
そのため、プロジェクトベースラインを設定し、作業工程を明確にすることでプロジェクトの進捗状況を確認することが可能です。
また、プロジェクトの進捗状況がプロジェクトベースラインより遅れている場合の対応もあらかじめ考えておくことで、より効率的にプロジェクトを行えます。
プロジェクトにかかる作業工程が確認できる
プロジェクトベースラインを設定することで、プロジェクトの全体像を把握し、作業工程を明確にすることが可能になります。
そのことにより、プロジェクトのそれぞれの作業工程でどのようなアプローチを行えば、効率的にプロジェクトが進められるか明らかにできます。
また、プロジェクトの作業工程を明確に確認することで、イレギュラーに対してのプロセスをあらかじめ設定しておくことも可能です。
今後のプロジェクトにノウハウを活かせる
プロジェクトベースラインを設定し、プロジェクトを完了することでプロジェクトマネジメントのノウハウを獲得できます。
そして、今後プロジェクトを行う際、今まで行ったプロジェクトベースラインを参考にすることで、より正確なものを設定可能です。
そのため、プロジェクトベースラインを設定し、プロジェクトを行うことで今後のプロジェクトをより効果的に行えるようになります。
また、プロジェクトを行っていくごとにノウハウはたまっていくため、積極的にプロジェクトベースラインを活用することがおすすめです。
プロジェクトベースラインを設定する手順
プロジェクトベースラインを設定することでさまざまなメリットがあるため、積極的に利用することがおすすめです。
しかし、どのようにしてプロジェクトベースラインを設定すればよいかわからないという方は多いと思います。
そこでここでは、プロジェクトベースラインを設定する手順について解説していきます。
プロジェクトベースラインを設定する手順は以下の通りです。
- スコープの設定を行う
- スケジュールの設定を行う
- プロジェクトの予算を決定する
- 何らかの変更に対応するためのプロセスを設定する
- プロジェクトのベースラインを関係者とすり合わせる
手順1.スコープの設定を行う
まず、プロジェクトベースラインのスコープを設定していきます。
スコープの設定では、プロジェクトの範囲を明確にする必要があるため、作業工程や成果を限定していきます。
作業工程や成果は、明確なほどプロジェクトをスムーズに進めることが可能であるため、複数ある場合はリストにして見やすくまとめましょう。
また、表やグラフなどによって視覚化することもおすすめです。
手順2.スケジュールの設定を行う
次に、プロジェクトベースラインのスケジュールの設定を行います。
具体的には、プロジェクトの作業工程や成果をどの期限までに完了するか明確に設定します。
また、プロジェクト管理ツールを利用することで、プロジェクト参加メンバー内でスケジュールや進捗状況をガントチャートなどで共有できるため、おすすめです。
手順3.プロジェクトの予算を決定する
続いて、プロジェクトの予算を決定します。
プロジェクトの予算決定の際には、プロジェクトベースラインによって洗い出された作業工程や成果にかかるコストをリストアップします。
また、予算がどのタイミングで利用されるものなのか時間軸を作っておくことも重要です。
手順4.何らかの変更に対応するためのプロセスを設定する
手順3まででプロジェクトベースラインがほとんど完成しました。
しかし、何らかのトラブルなどが発生した際に設定した内容を変更しなければならない場合があります。
そのため、あらかじめ何らかの変更に対応するためのプロセスを設定しておきます。
プロジェクトベースラインによって洗い出された、さまざまな情報をもとに変更プロセスを設定しましょう。
また、変更プロセスは、プロジェクトベースラインが制御できなくならないためにとても重要です。
手順5.プロジェクトのベースラインを関係者とすり合わせる
プロジェクトベースラインが完成したら、プロジェクトの関係者と内容をすり合わせます。
その際に相手側からの提案などがあった場合は聞き入れ、必要に応じてプロジェクトベースラインに組み込むようにしましょう。
関係者とのすり合わせが完了したら、プロジェクトベースラインの完成です。
まとめ:品質の高いプロジェクト管理にプロジェクトベースライン設定を!
本記事では、プロジェクトベースラインについて解説しました。
プロジェクトベースラインを設定することで、プロジェクトを効率的に進められます。
プロジェクトマネジメントを行う際には、プロジェクトベースラインを設定して行ってみてください。
また、当社ビーイングコンサルティングはプロジェクトマネジメントのサポートにおいて、業種・業界に関わらず数多くの実績を残してきました。
当社のノウハウのエッセンスを記載した資料を、無料でご覧いただけます。
プロジェクトマネジメントに課題感のある方は、