皆様はP2M資格試験をご存じでしょうか。
P2M資格試験とは、プログラムマネジメントやプログラムマネジメントの知識やスキルを証明できる資格試験です。
そのため、プロジェクトマネジメントやプログラムマネジメントを行う方は取得することがおすすめです。
しかし、どのように受験すればよいかなど悩みがあると思います、
そこで本記事では、P2M資格試験について解説していくため、ぜひ参考にしてください。
P2Mとは
P2Mとは、エンジニアリング振興協会が経済産業省の委託事業として2001年に発行した、プロジェクトマネジメントやプログラムマネジメントの民間資格です。
P2Mは、2002年以来からは日本プロジェクトマネジメント協会が全国各地に普及させています。
プロジェクトマネジメントやプログラムマネジメントの業務を行っている方への認知度は高くなっています。
P2Mの資格を取得していることでプロジェクトマネジメントやプログラムマネジメントについての知識やスキルがあることを証明できます。
プロジェクトとプロジェクトマネジメント
P2Mの資格の重要性を理解するためには、プロジェクトとプロジェクトマネジメントについて理解する必要があります。
プロジェクトとは、何かの生産や販売などを行う際に日々繰り返し行う業務ではなく、特定の期限までに目的を達成することをいいます。
プロジェクトは、同じ業務を繰り返し行わないことであることから、毎回目的が異なることがほとんどです。
そのため、期限までに目的を達成する際にイレギュラー等が発生すること多く、それを予測するためにはプロジェクトに対しての知識やスキル、実績がある方が対応することがとても重要になります。
そこで、プロジェクトを無事完遂するためにプロジェクトマネジメントが必要になります。
このようなことから、プロジェクトとプロジェクトマネジメントは切り離せない関係性です。
プロジェクトマネジメントを十分におこなっていなければプロジェクトを完遂できないことがほとんどですので、プロジェクトマネジメントはとても重要となっています。
プログラムとプログラムマネジメント
プログラムとプログラムマネジメントについても理解する必要があります。
プログラムとは、複数のプロジェクトを組み合わせたものをいい、プログラムを無事完遂するためにはプログラムマネジメントが重要です。
プログラムは、複数のプロジェクトから成っているものであるため、プロジェクトマネジメントへの知識やスキルがより深くなければ完遂できなくなる可能性が高くなります。
プログラムを完遂するためには、プロジェクト単体の場合以上のプロジェクトマネジメント能力が必要不可欠であり、高度な知識やスキルを要します。
このようなことから、プログラムを完遂し、企業の価値向上を行うためにはP2Mといったプロジェクトマネジメントの資格を取得していることがとても重要です。
プログラムの2つの類型
プログラムは基本的には、先ほど解説した複数のプロジェクトを組み合わせた物のことですが、実際にはその他にも多くの種類のプログラムが存在します。
P2Mでは、その他の種類のプログラムを「オペレーション型プログラム」と「戦略型プログラム」の2つの類型として扱います。
オペレーション型プログラムとは、目的は明確になっているが、規模が大きいため細かくプロジェクトとして扱う必要があるもののことです。
一方で、戦略型プログラムとは、オペレーション型プログラムには含まれない新しい事業の立ち上げや事業の体制を改革するなどの重要度の高いプログラムのことを言います。
オペレーション型プログラムは、規模が大きいが目的が明確であるため、扱いやすいことが多いですが、戦略型プログラムは、一つのことで企業の体制などが変わってしまうため、扱う難易度は高くなることが多いです。
P2Mの特徴
プロジェクトマネジメントの民間資格であるP2Mの特徴は以下の通りです。
- 予測ができないビジネスや社会問題の解決にフォーカスしている
- 第二世代と第三世代のプロジェクトマネジメントの特性を持っている
- 必要なプロセスについて分析的にアプローチを取る
- 統合的観点から理解することで価値創造を目指す
- 日本型組織に適合しやすい
それぞれ解説していきます。
予測ができないビジネスや社会問題の解決にフォーカスしている
P2Mの1つ目の特徴は、予測ができないビジネスや社会問題の解決にフォーカスしていることです。
P2Mでは、プロジェクトやプログラムの概念から価値創造までのプロセスをカバーできるプロジェクトマネジメントやプログラムマネジメントについての知識やスキルを習得できます。
そのため、予測ができないビジネスや社会問題の解決にフォーカスし、複雑な課題の解決に取り組めるようになります。
第二世代と第三世代のプロジェクトマネジメントの特性を持っている
P2Mの2つ目の特徴は、第二世代と第三世代のプロジェクトマネジメントの特性を持っていることです。
ここでいう世代とは、第一世代が目的が正確な形でスタートするプロジェクトであり、第二世代が大規模で複雑な工業的プロジェクトのことです。
また、第三世代は高度で複雑、多様な目的があるプロジェクトのことを言います。
P2Mのオペレーション型プログラムは、第二世代のプロジェクトを完遂するために必要であり、戦略型プログラムは、第三世代のプロジェクトを完遂するために必要になります。
このようなことから、P2Mは第二世代と第三世代のプロジェクトマネジメントの特性を持っているため、幅広い分野のプロジェクトに対して有効です。
必要なプロセスについて分析的にアプローチを取る
P2Mの3つ目の特徴は、必要なプロセスについて分析的にアプローチを取ることです。
P2Mは、プロセスに対して分析的にアプローチを取るため、規模が大きく複雑なプログラムには不向きと思われがちですが、そのようなプログラムに対しては全体としての評価を行います。
そのため、さまざまな規模のプロジェクトマネジメントやプログラムマネジメントを行えます。
統合的観点から理解することで価値創造を目指す
P2Mの4つ目の特徴は、統合的観点から理解することで価値創造を目指すことです。
統合的観点から理解することで価値創造を目指すと言われるとわかりにくいと思いますが、「全体を把握し、目的を完遂する」と言い換えるとわかりやすいでしょう。
プロジェクトやプログラムの全体を把握する必要があるため、P2Mは標準的なプロジェクトマネジメントやプログラムマネジメントに比べ、実践的な知識やスキルを身につけられます。
日本型組織に適合しやすい
P2Mの5つ目の特徴は、日本型組織に適合しやすいことです。
日本型組織の特徴として、能力のある人材の流動性が低いこと、つまり転職が少ないことがあげられます。
そのため、流動性がないことから企業の全体を把握しやすくなるので、日本型組織とP2Mは相性が良く、適合しやすいです。
このような特徴があるP2Mは、プロジェクトプロフェッショナルのためのグローバルアライアンス「GAPPS」のプログラムマネジメント標準に対応する編集範囲で高評価を受けています。
P2Mツリーについて
P2Mには、「P2Mツリー」というものが存在します。
P2Mツリーは、P2Mを理解するうえでとても重要であり、P2Mを学習する際には、P2Mツリーの下から学習しなければなりません。
P2Mツリーの構成は、下に「事業経営基盤」「知識基盤」「人材能力基盤」があり、その上に「プロジェクトマネジメント」があります。
さらに、プロジェクトマネジメントの上には「プログラムマネジメント」があり、最後に「ミッション」があります。
P2Mを利用したプロジェクトマネジメントやプログラムマネジメントを行う際に目的を完遂するためには、基盤をしっかりと設定しなければなりません。
P2Mは、企業の価値などを生み出すために活用されることが目的で構築されているため、さまざまな分野で活用することが可能です。
現在は産業分野や公共サービス分野など多岐にわたっています。
P2M資格の種類と概要
P2Mの試験には、「PMC」「PMS」「PMR」「PMA」の4種類があり、それぞれに特徴があります。
PMC資格試験
受験資格 |
学歴、年齢、性別、実務経験等は問わない 基礎知識習得のため24時間以上の講習会(日本プロジェクトマネジメント協会またはPMCeラーニング実施機関)の受講が義務付けられている |
出題形式 |
筆記試験(50問の問題を四肢一択方式で解答) |
出題範囲等 |
「改訂3版 プログラム&プロジェクトマネジメント標準ガイドブック:(略称P2M)」 第1部:概要(第3部と合わせて70%出題) 第3部:プロジェクトマネジメント(第1部と合わせて70%出題) 第4部第3章:プロジェクト組織マネジメント(12%出題) 第4部第5章:情報マネジメントと情報インフラストラクチャー(6%出題) 第6部:人材能力基盤(12%出題) |
資格登録・認定 |
資格登録料:税込9,438円(登録・認定の有効期間は5年) |
受験費用 |
税込17,000円(事務手数料500円を含む) |
※2022年8月時点の情報です。
PMC資格試験は、P2M資格試験の中でも最も難易度が低い試験になっています。
受験資格の制限は、基礎知識習得のための24時間以上の講習会参加のみであり、日本プロジェクトマネジメント協会またはPMCeラーニング実施期間から講習を受けられます。
出題形式は、50問の問題を四肢一択方式で解答していく筆記試験です。
出題範囲等は、日本プロジェクトマネジメント協会の公式ページが提示しているため、受験前に勉強しておきましょう。
また、資格試験に合格した際に資格登録を行う場合には、税込9,438円が必要であり、登録・認定の有効期限は5年になります。
資格登録を行うことで「PMSプログラム試験」を受験できるようになります。
受験費用は、税込17,000円です。
PMS資格試験
受験資格 |
学歴、年齢、性別、実務経験等は問わない |
出題形式 |
筆記試験(100問の問題を四肢一択方式で解答) |
出題範囲等 |
第1部:概要(第2部と合わせて23%出題) 第2部:プログラムマネジメント(第1部と合わせて23%出題) 第3部:プロジェクトマネジメント(34%出題) 第4部:事業経営基盤(22%出題) 第5部:知識基盤(15%出題) 第6部:人材能力基盤(6%出題) |
資格登録・認定 |
資格登録料:6,160円(有効期間は3年/3年毎に更新のためCPUを行う必要あり) |
受験費用 |
税込39,200円(事務手数料700円を含む) |
※2022年8月時点の情報です。
PMS資格試験は、PMC資格の次に難易度が低い試験になっています。
受験資格の制限は、特にありません。
出題形式は、100問の問題を四肢一択方式で解答していく筆記試験です。
出題範囲等は、日本プロジェクトマネジメント協会の公式ページが提示しているため、受験前に勉強しておきましょう。
また、資格試験に合格した際に資格登録を行う場合には、税込6,160円が必要であり、有効期間は3年です。
そのため、3年毎に更新が必要であり、更新の際にはCPU(Continuing Professional Development Unit)という継続学習基準のポイントの申請を行わなければなりません。
受験費用は、税込39,200円です。
PMSプログラム試験
受験資格 |
PMC資格登録者または以下の資格保有者
|
出題形式 |
筆記試験(50問の問題を四肢一択方式で解答) |
出題範囲等 |
第2部:プログラムマネジメント(44%出題) 第4部序章:戦略とその策定(他第4部合わせて26%出題) 第4部1章:事業とプログラム(他第4部合わせて26%出題) 第4部2章:プログラム戦略手法(他第4部合わせて26%出題) 第4部4章:会計とファイナンス(他第4部合わせて26%出題) 第5部:知識基盤(30%出題) |
資格登録・認定 |
資格登録料:6,160円(有効期間は3年/3年毎に更新のためCPUを行う必要あり) |
受験費用 |
税込22,500円(事務手数料500円を含む) |
※2022年8月時点の情報です。
PMSプログラム試験は、PMS資格の応用のような難易度の試験になっています。
受験資格の制限は、PMC資格登録者または「情報処理技術者」、「技術士」、「ITC」、「CM」、「中小企業診断士」、「PMP」いずれかの資格保有者です。
出題形式は、50問の問題を四肢一択方式で解答していく筆記試験です。
出題範囲等は、日本プロジェクトマネジメント協会の公式ページが提示しているため、受験前に勉強しておきましょう。
また、資格試験に合格した際に資格登録を行う場合には、税込6,160円が必要であり、有効期間は3年です。
そのため、PMS資格と同様に3年毎に更新が必要であり、更新の際にはCPU(Continuing Professional Development Unit)という継続学習基準のポイントの申請を行わなければなりません。
受験費用は、税込22,500円です。
PMR資格試験
PMR資格試験は、P2M資格試験の中では現在最も難しい試験になっています。
PMR資格試験は、他の試験と異なり2回の試験を実施します。
一次試験では、論述試験と面談審査が行われ、二次試験では、モジュール試験と面談試験が行われます。
出題範囲等は、日本プロジェクトマネジメント協会の公式ページが提示しているため、受験前に勉強しておきましょう。
また、日本プロジェクトマネジメント協会の公式ページから受験対策講座を受講できます。
PMA資格試験
PMA資格試験は2022年現在、未実施の試験であり、実施されるとするとPMR資格試験以上の難易度であることが予想できます。
まとめ:P2M資格試験はプロジェクトマネジメントやプログラムマネジメントを行う方におすすめの資格
本記事では、P2M資格試験について解説しました。
P2M資格試験には、「予測ができないビジネスや社会問題の解決にフォーカスしている」、「第二世代と第三世代のプロジェクトマネジメントの特性を持っている」、「必要なプロセスについて分析的にアプローチを取る」、「統合的観点から理解することで価値創造を目指す」、「日本型組織に適合しやすい」という特徴があります。
また、「PMC」「PMS」「PMR」「PMA」の4種類が存在します。
プロジェクトマネジメントやプログラムマネジメントを行う方はぜひP2M資格試験を受験してみてください。
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