プロジェクト管理において、CCBはなくてはならない組織です。

ただ、その役割や意義がわからず、運用に悩むこともあるでしょう。

CCBとは、プロジェクトの内容を変更する際、客観的視点から変更内容を判断する組織のことです。

本記事では、CCBの役割やメリット、運用上の注意点を解説します。

プロジェクトにおける目標達成率をさらに高めたい方は、この記事を参考にCCBを導入・運用を検討してください。

CCB(変更管理委員会)とは

CCBは「Change Control Board」の略称で、日本語では「変更管理委員会」と呼ばれることもあります。

プロジェクト内容を変更する際に、組織が正しい方向へと進めるよう、変更内容を客観的に判断するのがCCBの目的です。

ここでは、CCBの役割とその重要性を解説します。

プロジェクトの変更を分析・決定する組織

CCBはプロジェクトに変更があった際、内容を分析し、その可否を判断する組織です。

プロジェクトは予定通り進まない場合も多く、計画が変更になるケースも珍しくありません。

とはいえ、あらかじめ設定した計画に対して変更を繰り返すと、本来のゴールや目標を見失い、方向性がズレてしまう可能性があります。

そこで、CCBが綿密に分析や審議を行い、変更内容を承認するか棄却するかを判断します。

変更が承認された場合は提案者へ回答とともに改善案が出され、その改善案をもとにプロジェクトの変更が行われるという流れです。

CCBを設置することで、より適切な形でプロジェクト内容を変更できるようになるでしょう。

プロジェクトにおけるCCBの重要性

プロジェクト内容の変更について権限を持つCCBのような組織は、プロジェクトの成功には欠かせません。

変更の判断から意思決定まで、通常は全てプロジェクトマネージャーが行います。

しかし、プロジェクト進行中に発生する変更の種類はさまざまで、プロジェクトマネージャーだけで判断しようとすると負担が増加するほか、属人的な判断になってしまう恐れがあります。

仮にプロジェクト進行中に大がかりな変更があれば、その対処に労力を割かねばならず、プロジェクト内の業務が手につかないこともあるでしょう。

変更の意思決定や判断を専門とするCCBを設置することで、マネージャーの負担を最小限に抑えつつ、業務の属人化も避けられます。

プロジェクト内容の変更に関して、業務の効率化と客観的な視点に基づく冷静な判断を下すため、CCBの設置は不可欠といえるでしょう。

CCBによる変更管理のプロセス

一般的なプロジェクト形態では、変更の際に第三者組織を通すことはありません。

それがCCBが関わるようになると、変更提案のプロセスは次のように変化します。

  1. 変更発生
  2. 変更提案書をCCBへ提出
  3. 内容の分析と評価
  4. CCB組織内で内容の確認後、変更提案者への回答
  5. プロジェクトマネージャーが変更を実施
  6. 変更後、CCBへの連絡を行って完了

ここからは、プロセス全体を2つの項目に分けて解説します。

変更提案の受理・内容確認

変更が発生した際、まず提案書を作成してCCBに提出する必要があります。

プロジェクトの担当者は変更点を文書にまとめ、CCBに対して打診します。

提案書に記載する内容は次の通りです。

  • 変更による起こる影響
  • 機能や技術の変更
  • 新しいツール
  • 変更後の予算
  • 予想される計画のズレ
  • 新しいサプライヤー

変更内容はプロジェクトによって異なりますが、たとえ軽い変更だとしても、提案書の作成は徹底して行うことが大切です。

CCBが変更提案を受理した後に、実際に変更内容の評価と回答に移ります。

変更内容の評価・回答

CCBは変更提案を受理した後、その変更に対して承認か棄却かの判断を下します。

内容変更の提案は数が多くなる場合もあるため、CCBの所属メンバーの中から担当者が決められ、個別で対応するのが一般的です。

担当者は、その変更が及ぼす影響とその範囲、あるいは予算や計画を関連付けて分析を進めます。

分析結果が出た後、CCBで内容に誤りや問題が無いか組織全体で確認し、その回答結果がプロジェクトマネージャーに通知されます。

プロジェクトマネージャーが変更内容を確認後、メンバーへ通達し、クライアントへの情報共有が行われます。

最後にCCBが変更の処理にミスが無いか確認すれば、変更管理のプロセスは完了です。

CCBを組織するメリット

 

CCBを設置することで、得られるメリットは以下の2点です。

  • プロジェクトの変更を客観的な視点で分析・評価できる
  • プロジェクトの成功率が上がる

本章では、CCBが設置されることによって得られるメリットを深掘りしていきます。

プロジェクトの変更を客観的な視点で分析・評価できる

プロジェクト内容に変更を加える場合、マネージャーだけで判断するのは避けたほうが賢明でしょう。

提案された変更についてマネージャーだけで判断してしまうと、クライアントと直接関わりがある分、客観性を欠いた判断をしてしまう可能性があるためです。

「関わりの深いクライアントだから特別扱いした」という理由で無理な要求を聞いてしまい、プロジェクトが頓挫してしまえば大きな損失となります。

CCBが設置されていれば、変更について第三者組織に分析・判断を任せる機会が生まれます。

CCBのような、プロジェクトとは利害関係を持たない第三者組織の意見を参考にすることで、誤った判断に基づく意思決定を防ぎ、トラブルを未然に防ぐことが可能です。

CCBを設置することで、多角的な視点で変更内容を捉え、より客観的で正確な判断や意思決定を行えます。

プロジェクトの成功率が上がる

プロジェクトの変更は、利害関係者や業務全体に影響してしまう場合が多く、現場の人員だけで判断するのは困難です。

CCBを設置できれば、効率性や客観性を保ちながら、変更に対して適切な対処ができるようになります。

結果的に方向性がブレにくくなり、目標をスムーズに達成できるようになるため、プロジェクトの成功率が高まるでしょう。

CCB運用の注意点

 

設置する利点の多いCCBですが、運用する際の注意点を把握することで、さらにその効果を高められます。

本章では、CCBの運用時に気を付けるべき注意点について解説します。

プロジェクトの中心人物を参加させない

CCBは、プロジェクトの中心人物やメンバー以外で構成したほうが、客観的で適切な判断を下せます。

プロジェクトの中心人物であるマネージャーにとって、プロジェクトの結果は自分の評価に直結する事柄です。

だからこそ、クライアントから無理な要求・要望を提案された際に、「この提案を断るとプロジェクトが頓挫してしまうかもしれない」と考え、無下に断れなくなることがあります。

そして無理な要求を吞んだ結果、現場へ過剰な業務を強いることになり、全体の士気が下がる、あるいは納期に間に合わないといったトラブルが発生してしまいます。

これを避けるためにCCBを設置し、実現可能性の低い変更内容を客観的に評価してもらうことが大切です。

受け付けた変更申請を文章として残しておく

CCBへの変更申請は、文書化してまとめてもらうよう徹底が必要です。

申請書には変更原因、変更にかかる時間やコスト、実施された場合の効果などを記載し、提出してもらいます。

文書化すれば、どのような変更があったか履歴が残せることに加え、変更内容を複数人で確認できるようになります。

CCBでは、多数の変更に対して処理をしなければならないため、ひとつの変更ごとに担当を決めて審査しますが、最終的には組織全体で判断するのが一般的です。

変更内容が文書でまとまっていれば、提案をCCB全員が共有し内容を把握できるため、より適正な判断へとつながるでしょう。

まとめ:CCBを設置してプロジェクトの成功率を高めよう

 

CCBはプロジェクトマネジメントにおいて、変更に関する判断を下すためには必要不可欠な組織です。

プロジェクト内容を変更する際にCCBを設置していれば、より適切な判断ができるようになり、プロジェクトの成功率が上がります。

また、急な変更による失敗を未然に防ぐ効果もあるため、従業員の負担も減り、より効率的な業務進行が行えるでしょう。

プロジェクト全体とCCBの連携を強め、より良い結果に結びつくように意識して運用しましょう。

プロジェクトを成功に導くためにCCBを設置することも重要ですが、そもそもスムーズなプロジェクト運営を行うには、CCPMをはじめとする基本的なマネジメント手法を押さえておく必要があります。

また、私たちビーイングコンサルティングは、数々の企業でプロジェクトマネジメントを成功に導いてきたプロフェッショナルで、CCPMに関するコンサルティングサービスを提供しています。

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