「人は変化に抵抗する」と言われています。

新しいことにチャレンジする時に本当に大丈夫だろうかと不安に感じたり、新たなものを取り入れようとする時に周囲から抵抗を受けたり、皆さんもそういった経験はありませんでしょうか?

 

変化に抵抗するのには何かしら理由があるはずです。「チェンジマトリクス」という考え方に当てはめてその理由を知ることができれば、抵抗を解消するためのヒントを得られるかもしれません。

 

チェンジマトリクスとは、下図のように「変わるor変わらない」×「プラスorマイナス」という観点で4つにカテゴリー分けを行って抵抗の理由を探っていくアプローチです。

ここからは身近な例を交えてお伝え致します。

 

携帯電話の主流がいわゆる“ガラケー”からスマートフォンになって久しいですが、私の父親はほんの数年前まで、ずっとガラケーを使い続けていました。スマートフォンに変えることに対してずっと難色を示していたのですが、数年前に考えが変わり、スマートフォンに機種変更するに至りました。

なぜスマートフォンに変えることについて抵抗していたのか、なぜスマートフォンに変える決心が着いたのか考察してみたいと思います。

 

まず、当時の父親の発言から振り返っていきたいと思います。

A:プッシュボタンが無いので操作方法を覚えるのが大変そう

B:ガラケーのほうが月々の費用が¥4,000以上安い

 

こちらをそれぞれチェンジマトリクスに当てはめて考えてみます。

Aからは、スマートフォンに変わることによるマイナス、つまり、松葉杖の意識が強いことが伺えます。Bからは、ガラケーから変わらないことによるプラス、つまり、マーメイドの意識が強いことが伺えます。松葉杖やマーメイドの意識が強く、変わることに強い抵抗感があったのです。

 

続いて、変わる決心がついた理由を考えていきたいと思います。

私は、スマートフォンへの機種変更に二の足を踏んでいた父親に対して次のようなことを話しました。

C:SNSを使えば孫たちと無料でビデオ通話ができる

D:古い機種だと修理が難しかったり、時間が掛かったりする場合がある

E:ボタン付きのスマートフォンもある

F:低価格プランであればガラケーと比較して¥1,000前後の追加費用で抑えられる

 

Cによって、スマートフォンに変わることによるプラス、つまり、金の壺の意識が強まりました。Dによって、ガラケーから変わらないことによるマイナス、つまり、アリゲーターの意識が強まりました。Eによって、松葉杖の意識が弱まり、Fによって、マーメイドの意識が弱まりました。

金の壺やアリゲーターへの意識が強まり、松葉杖やマーメイドへの意識を弱まったことで変化を受け入れ、変わる決心がついたのです。

 

新しいチャレンジをする際、関わるメンバー全員がポジティブであるということは非常に稀であり、多かれ少なかれ、ネガティブな姿勢の方がいる場合のほうが多いです。

松葉杖やマーメイドの意識が強く、変化に抵抗を示す人がいたら、いかにして金の壺やアリゲーターへの意識を強めていくかを考えてみてください。

 

チェンジマトリクスの考え方が、皆様の新しいチャレンジの成功の一助となれば幸いです。

コンサルタント
在原 匠