プロジェクトの際にTOC・CCPMを導入したり残業申請が必要なルール作りなどを実施したりすると、残業時間を減少させられます。
残業時間を減少させることは、プロジェクトの生産性向上や赤字プロジェクトの減少などのメリットがあるため、とても重要です。
しかし、プロジェクトの残業時間を減らそうにもどのような手法を取るべきなのか悩んでいる方も多いことでしょう。
本記事では、残業時間を減らすプロジェクト管理手法や残業が発生する理由、プロジェクトで残業時間を削減するメリットを解説します。
プロジェクトチームで残業が発生する理由
働き方改革により、月45時間・年360時間の残業時間の上限規制が行われます。
残業時間の上限規制により、従来までの働き方では残業時間の上限を超過してしまいます。
プロジェクトチームで残業が発生する理由は次の通りです。
- スケジュールの管理不足
- 業務の属人化
- プロジェクトマネージャーのスキル不足
- プロジェクトメンバーのコミュニケーション不足
- 残業ありきの働き方
残業が発生する理由を知ることで、実際にプロジェクトを実施する際に対策できるようになり、残業時間を抑えられます。
プロジェクトチームで残業が発生する理由を詳しく解説します。
スケジュールの管理不足
スケジュールの管理不足により、タスクがスムーズに進めず、プロジェクトチームで残業が発生してしまいます。
プロジェクトでは、与えられたタスクを決められた納期までに完了しなければなりません。
タスクは多岐にわたり、それぞれ難易度が異なるため、適切な納期を設定する必要があります。
しかし、スケジュール管理が不十分な状態では、タスクの納期に追われプロジェクトチームで残業が発生してしまいます。
プロジェクトの各タスクに適切な納期を設定するため、この後詳しく解説するプロジェクト管理ツールを活用し、対策しましょう。
業務の属人化
業務が属人化してしまうと、特定の従業員にしかできない業務が発生してしまいます。
それにより、プロジェクトチーム内の特定の従業員は残業を行い、その他の従業員は定時で帰れるといった、業務の不平等につながります。
特に、専門的な業務が多い職種や上司のサインや印鑑が必要な業務では、属人化が起こりやすくなるため、残業が発生しやすくなります。
対策として、業務のマニュアル化し、誰でも業務をこなせる平準化した環境構築を行いましょう。
また、業務ローテーションを導入し、プロジェクトチームの各メンバーの経験値を高めることで、属人化した働き方へとつながります。
プロジェクトマネージャーのスキル不足
プロジェクトチームで残業が発生してしまう理由として、プロジェクトマネージャーのスキル不足があげられます。
プロジェクトマネージャーは、プロジェクト全体を把握し、滞りなくスムーズに進行させるため、スケジュールや予算などさまざまなことを管理しなければなりません。
プロジェクトマネージャーのスキルがプロジェクトの進行具合に直接関わってくることから、スキルが足りないと適切な管理ができず、残業が増えます。
具体的に、プロジェクトマネージャーには、コミュニケーション能力や交渉力、マネジメント能力などさまざまなスキルが必要です。
このようなスキルを身に付けるため、「プロジェクトマネージャー試験」の受講や外部から質の高い講師を招くことをおすすめします。
プロジェクトメンバーのコミュニケーション不足
プロジェクトメンバーのコミュニケーション不足により、伝えるべきことやタスクの進捗状況などが共有できない場合、残業が発生してしまいます。
プロジェクトをスムーズに進めるためには、チーム内の状況を随時確認できるよう、コミュニケーションを円滑化しなければなりません。
特に、在宅ワークやフレックスタイム制などの柔軟な働き方を導入している企業では、直接的なコミュニケーションが少なくなるため、コミュニケーションの密度を高めるようにしましょう。
方法として、チャットツールやWeb会議ツールなどを導入することで、コミュニケーション不足を防ぎつつ密度を高められます。
また、決められた時間にプロジェクトメンバーでミーティングをすると、伝えるべきことやタスクの進捗状況などの共有が可能です。
残業ありきの働き方
日本では、いまだに残業ありきの働き方をしている企業があり、そのような働き方ではいつになっても残業を減らせません。
残業ありきの働き方が通常になっている企業の場合、プロジェクトのスケジュールを残業をして間に合うように組んでしまいます。
残業ありきの働き方を変えるためには、働き方改革の促進や就業規則の変更が必要です。
そのためには、企業全体が変わる意識を持たなければなりません。
まずは、プロジェクトチーム単位の小さい範囲で、働き方の意識を変えることにより、結果として企業全体が変わるきっかけを作れます。
プロジェクトで残業時間を削減するメリット
対策をしてプロジェクトで残業時間を削減するメリットは次の通りです。
- プロジェクトの生産性向上
- 赤字プロジェクトの減少
- プロジェクトメンバーのワークライフバランス向上
- プロジェクトメンバーのモチベーション向上
プロジェクトチームで残業が発生する理由は、前述したように、多岐にわたりますが、対応することで、さまざまなメリットが得られます。
また、メリットを知ることで、実際に対策をするときのゴールへのイメージが付きやすくなります。
プロジェクトで残業時間を削減するメリットを詳しく解説します。
プロジェクトの生産性向上
プロジェクトで残業時間を削減することの1つ目のメリットは、プロジェクトの生産性向上です。
生産性とは、投入するリソースと、それにより作り出される生産物の比率のことを意味します。
残業が少ないプロジェクトは、最小限の時間でタスクを進められるうえ、より高い品質の成果物が期待できます。
プロジェクトで残業を少なくするためには、プロジェクトマネージャーによる適切なスケジュール管理を行い、コミュニケーションを十分にとることが重要です。
このように、プロジェクトで残業時間を削減することで、より少ないリソースで多くの成果物を得られるため、生産性が高いプロジェクトが実現できます。
赤字プロジェクトの減少
赤字プロジェクトが減少することもメリットのひとつです。
赤字プロジェクトが発生する原因として、スケジュールやプロジェクトメンバーなどを適切に管理できていないことがあげられます。
そこで、後述する対策方法を用いることで、スケジュールやプロジェクトメンバーなどを適切に管理できるため、赤字プロジェクトの減少が見込めます。
赤字プロジェクトの減少により、利益率の改善につながるため、プロジェクトで残業を削減することはとても重要です。
プロジェクトメンバーのワークライフバランス向上
プロジェクトで残業時間を削減することにより、プロジェクトメンバーのワークライフバランス向上することもメリットだといえるでしょう。
残業時間が多い場合、長時間労働により、プロジェクトメンバーの心身の健康状態が悪化してしまいます。
プロジェクトメンバーの心身の健康状態が悪化することで、人手不足が起こりプロジェクトをスムーズに進められなくなります。
しかし、適切なスケジュール管理により残業時間を削減したプロジェクトでは、長時間労働が発生しずらくなっているため、プロジェクトメンバーのワークライフバランスが向上します。
プロジェクトメンバーのモチベーション向上
残業時間減少により、プロジェクトメンバーのモチベーションアップが見込めます。
毎回残業を強いられるような環境でプロジェクトを行っていると、プロジェクトメンバーは長時間労働による疲労でモチベーションが低下してしまいます。
プロジェクトメンバーのモチベーションは、スムーズにプロジェクトを進めるためにとても重要です。
なぜなら、モチベーションは人間が行動を起こす要因であるからです。
プロジェクトを適切な管理により、残業時間削減をすることで、プロジェクトメンバーは疲労がたまりにくく、モチベーション向上が見込めます。
結果的に、自社に対する従業員エンゲージメントの向上にも寄与します。
プロジェクト管理で残業時間を減らす手法5選
プロジェクトチームで残業が発生する理由は多岐にわたります。
しかし、どのような手法を取るべきなのか悩んでいる方は多いと思います。
プロジェクト管理で残業時間を減らす手法は次の5選です。
- TOC・CCPMを導入する
- 残業申請が必要なルール作り
- ガントチャートやWBSを用いて業務効率化を果たす
- プロジェクト管理ツールを活用する
- ロードマップを策定する
残業時間を減らす手法を知ることで、実際のプロジェクトで適切な管理ができ、効率的に進められます。
プロジェクト管理で残業時間を減らす手法を詳しく解説します。
TOC・CCPMを導入する
TOC・CCPMを導入すると、プロジェクトのボトルネック工程を改善できるようになり、生産性の高い残業時間を削減したプロジェクトを実現できます。
TOCとは、工程のなかで生産効率が悪い「ボトルネック」を発見・解消し、産出する成果物を増加させる手法、CCPMは、工程間のタスクの工数を可能な限り減少させることで、納期遵守率を高める手法です。
それぞれの手法を導入すると、プロジェクトにあるタスクを可能な限り減少させることで、納期遵守率を高め、生産効率が悪いボトルネックを改善できるため、その結果として残業時間の削減につながります。
具体的な方法として、30日のプロジェクトで5つのタスクがある場合、通常なら1つのタスクに6日の納期を設定しますが、4日にすることで10日の余裕が発生するようなイメージです。
ここで重要なのは、各工程の中で発生している問題や遅れをいかに的確に見つけられるかという点です。
TOC・CCPMについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:TOCと従来の経営手法との違い|管理手法CCPMについても解説
残業申請が必要なルール作り
残業を行う際、残業申請を必要としていない企業がいまだに多く存在しています。
残業の事前申告制度を導入すると、プロジェクトマネージャーがメンバーの長時間労働を把握しやすくなり、適切なタスク配分が可能です。
また、残業申告が必要なルール作りは、残業ありきではない雰囲気作りにもつながり、プロジェクトで残業が発生しにくくなります。
残業申告の内容として、残業する時間や残業する理由などを記載させることで、それを確認し、承認されなければ残業できないというルールです。
プロジェクトチームで残業時間が減る手法であるため、導入することをおすすめします。
ガントチャートやWBSを用いて業務効率化を果たす
ガントチャートやWBSを用いて業務効率化を果たすことで、プロジェクトで残業時間を減らせます。
いずれもプロジェクト管理や生産管理などで工程管理に用いられる表です。
それにより、作成したスケジュール管理表をチームで共有することで、タスクの進捗状況をタイムリーに把握でき、スケジュール管理不足やコミュニケーション不足などを防止できます。
また、ガントチャートやWBSを用いることで、プロジェクトの情報を可視化でき、よりスケジュール管理を行いやすくなるでしょう。
プロジェクト管理ツールを活用する
プロジェクト管理ツールを活用することで、残業時間を削減できます。
なぜなら、プロジェクト管理ツールには、プロジェクトを効率的に管理するタスク管理機能やファイル共有機能などが搭載されているからです。
プロジェクト管理ツールのタスク管理機能により、タスクの進捗状況をメンバー間でタイムリーに共有できます。
また、ファイル共有機能では、遠隔地にいるプロジェクトメンバーに共有したいファイルを簡単に送信可能です。
このような機能を活用することで、プロジェクト管理が効果的に行えるようになり、プロジェクトチームのコミュニケーション活性化が見込め、生産性の高いプロジェクトが実施できます。
オススメのツールは、TOCやCCPMをベースに制作されている『BeingManagement3』です。
全てのプロジェクトの開始日や納期・リソースの状況などを直感的に把握できる点が特徴です。
「実行中」や「納期検討中」など現在のステータスを一画面で確認できるため、プロジェクト進捗を報告する会議や報告書作成の手間や時間を削減できます。
プロジェクト内のタスクの関連性はもちろん、プロジェクトをまたいだタスクの依存関係、前後関係、リソースの管理を行うことができます。
ロードマップを策定する
ロードマップを策定することで、プロジェクトの目的達成までに必要なタスクや問題点などを抽出できるため、効率的にプロジェクト管理が行えます。
ロードマップの策定の際には次のことを意識しましょう。
- 目的を明確にする
- 計画を明確にする
- チームで情報を共有する
- 問題点を抽出する
このようなことを意識することで、プロジェクト管理で重要なポイントを分析でき、生産性の高いプロジェクトを実施できます。
方法としては、これらで分析した情報をもとにガントチャートや計画表、フローチャートなどを作成し、プロジェクトを管理していきます。
特に、ロードマップを作成する際には、細かすぎるタスクを作ると管理が難しくなるため、注意しましょう。
まとめ:残業時間を減らしてプロジェクトの生産性を高めよう
本記事では、残業時間を減らすプロジェクト管理手法や残業が発生する理由、プロジェクトで残業時間を削減するメリットを解説しました。
プロジェクトチームで残業が発生する理由として、プロジェクトマネージャーのスキル不足やプロジェクトメンバーのコミュニケーション不足などがあげられます。
その対策として、プロジェクト管理で残業時間を減らす次の手法がおすすめです。
- TOC・CCPMを導入する
- 残業申請が必要なルール作り
- ガントチャートやWBSを用いて業務効率化を果たす
- プロジェクト管理ツールを活用する
- ロードマップを策定する
これらを活用することで、プロジェクトを効率的に管理できるようになり、残業時間を削減できます。
また、残業時間を削減すると、プロジェクトの生産性向上やプロジェクトメンバーのワークライフバランス向上などといったさまざまなメリットがあります。
しかし、プロジェクトの残業時間を減らすための手法を適切に実施しなければ、かえって逆効果になり、残業時間が増加してしまいプロジェクトの生産性が低下してしまいます。
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