生産工程の管理に関する「ドラムバッファーロープ」という用語を聞いたことがありますか?
ドラムバッファーロープは、生産管理手法の名前です。

マネジメントをする立場の方なら必ず知っておきたいドラムバッファーロープについて、今回は丁寧に解説していきます。

生産スケジュールの最適化に必須のドラムバッファーロープとは?

 

生産管理手法のひとつである「ドラムバッファーロープ」。
これは特に繰り返し生産を行う生産ラインや工場に適用されます。

まずはその言葉の意味から解説していきましょう。

「ドラムバッファーロープ」の言葉の意味

略語の「DBR」として表記されることも多いドラムバッファーロープ。
まずは、D・B・Rのそれぞれの言葉の意味を理解しましょう。

  • ドラム(Drum):生産計画の指示を行うタイミング
  • バッファ(Buffer):ボトルネック(制約)となる工程に対して付与する余裕
  • ロープ(Rope):ボトルネックの前後の工程が必要以上に進まないための制限

ドラムバッファーロープのイメージとしてよく例えられるのが、ロープで離れないように繋がれた一列の行進です。

一人ひとり(工程)の歩み(進行スピード)には差があり、誰かが遅れても・誰かが早すぎても、全体は上手くスピーディに進めません。
この様子を工場などでの生産工程に当てはめて想像してもらうと、わかりやすいでしょう。

ドラムバッファーロープのポイントは、ボトルネックとなる工程に対して改善を行い、生産工程を最適化する点です。

工程全体の生産能力は、ボトルネックの工程より上がりません。

そのため、そのポイントを改善することが全体の能力向上に大きく寄与するというのが大筋の考え方です。
円滑な進行のためにはバッファーの設定が肝心で、長く持つことでボトルネックの遅れを吸収できるものの、リードタイムや仕掛り在庫の増加といったデメリットが発生します。

複雑に関係しあうドラム・バッファー・ロープを上手くコントロールすることが重要です。

ドラムバッファーロープにおけるブルウィップ効果とは?

また、ドラムバッファーロープについての話題でよく登場するのが「ブルウィップ効果」です。

これは、需要側の要求量が伝達されるうちに実際とは異なるものになり、発注する時点では必要数を大きく見誤ってしまうというもの。

ブルウィップとは、牛を追いたてるムチのことです。
小さく手を動かすだけで高速で大きなしなりを見せるムチに似た現象のため、この名前が付けられています。

ドラムバッファーロープは、このブルウィップ効果の対策として、抑制に大きな効果を持つ手法の一つです。

ドラムバッファーロープの基となる考え方「TOC」

ドラムバッファーロープを提唱したのは、物理学者エリヤフ・ゴールドラット。
彼は自著である「ザ・ゴール」という小説に登場する「TOC」というマネジメント手法を生み出したことでも知られています。

TOCはドラムバッファーロープの背景とも言える考え方で、マネジメントに関わる方は必ず押さえておきたい知識です。
ここではTOCについて詳しく解説をしていきます。

多くの企業で導入されているマネジメント手法

TOC(Theory of Constraints)は、日本語に訳すと「制約条件の理論」と呼ばれるマネジメント手法です。

画期的な特徴として挙げられるのが、パフォーマンスを妨げる「制約条件」に集中して改善を行う点。
この特徴によって、コストや労力を押さえながら企業全体の業績改善を図ることが可能になります。

TOCの根底には「どんなに複雑なシステムも、常にごく少数の要素=制約条件に支配されている」という仮定があります。
ドラムバッファーロープに通じる考え方であると実感していただけるでしょう。

生産管理の改善に有効なCCPM

TOCには、生産管理やプロジェクト管理に特化した「CCPM」と呼ばれる手法が別途用意されています。

「CCPM」はクリティカルチェーン・プロジェクトマネジメントの頭文字を取った言葉です。
クリティカルチェーンとは、プロジェクトの工程で最長の経路のことで、クリティカルチェーンに集中した改善を行っていくのが大きな特徴になっています。

CCPMの大きな目的は、工程の遅延に繋がるトラブルなどが生じた場合の納期遅延の防止です。
その実現のため適切なバッファの配置を重要視し、適当にではなくクリティカルチェーン全体を見て最適な位置にバッファを配置していきます。

企業規模を問わずに導入できることから、日本でも様々な企業が導入によるプロジェクト管理の改善を成し遂げています。

まとめ:ドラムバッファーロープを理解し、生産管理を改善しよう!

ここまで、ドラムバッファーロープ及び背景にあるTOCやCCPMの考え方について解説を行ってきました。

どの手法も共通して、最も制約となる箇所に対して改善を行うことで大きな効果を得ようとするものです。

私たちビーイングコンサルティングは、TOCを中心とした業務改善のプロフェッショナル。
多くの企業で改善を成功に導いてきました。

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