業務管理手法のひとつであるBPM(ビジネスプロセスマネジメント)は、実施することにより多くのメリットを得られます。

しかし、具体的なメリットや導入手順がわからず、導入に踏み切れないとお悩みの方も多いでしょうか。

この記事では、BPMの目的やメリット、導入手順などについて詳しく解説します。
導入時の注意点についても解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。

BPM(ビジネスプロセスマネジメント)とは

BPM(ビジネスプロセスマネジメント)は業務管理手法のひとつです。

「業務プロセスをモデル化した上で課題を抽出・分析して、解決するための新しいプロセスの創出する」というPDCAサイクルを実施し、継続的な改善をおこなうことで最適化をすすめます。

ここでは、BPMの目的やBPMを構成する3つの要素について解説します。

目的

BPMの目的は、以下の効果を得ることです。

  • 売上および利益率の向上
  • プロセスの最適化によるムダなコストの削減
  • 顧客満足度の向上

BPMの実施により「最適化されたプロセス」「モデル化されたプロセス」「継続的に改善する環境」を身につけられます。

その結果、迅速なビジネス展開や品質の底上げ、ノウハウ共有による属人化を排除した人材育成ができるようになり、それらが上記の目的へとつながるのです。

3つの構成要素

BPMは大きく分けて以下の3つから構成されています。

  • 業務プロセスの可視化・分析などの「手法」
  • 設計したプロセスを実行・管理するための「システム」
  • 上記を実施する組織・人の「活動体系」

上記はすべて重要な要素であり、ひとつでも欠けているとBPMは上手く実施できません。

BPM(ビジネスプロセスマネジメント)導入による6つのメリット

ここではBPM導入による具体的なメリットを6つ解説します。

業務効率を向上させる

BPMの最終的な目的はプロセスの最適化や、利益向上ですが、目的を実現するための手法は「改善を繰り返しおこなう」ことです。

そのため、短期的に見ても業務効率の向上の効果が見込めます。

業務の本質的な課題を改善できる

業務プロセスにおけるひとつの課題が、複数のプロセスに悪影響を与えていることは少なくありません。

しかし、プロセス全体を把握している人がいない状態では、本質的な課題を発見するのは非常に困難といえるでしょう。

BPMの導入により業務プロセスが可視化されれば、関係者全員が業務プロセスの内容を把握可能です。

他プロセスの状況や関連性も把握できるため、複数のプロセスに影響を与えている本質的な課題も発見しやすくなるでしょう。

業務プロセスを可視化できる

BPMでは業務プロセスのモデル化をおこなうため、業務プロセスが可視化できます。

その結果、業務プロセスの進捗状況も可視化が可能となります。
進捗状況の可視化により、正確な課題の把握ができるため、より適切な改善が可能です。

迅速に業務改善できる環境をつくれる

BPMでは業務をプロセス単位で管理できるため、環境の変化や会社方針の変更による業務改善に対して迅速な対応が可能です。

一方、BPMが実施されないと、プロセス単位での細かい管理がされていない場合が多くあります。
そのため、業務改善をしようにも変更による影響や、変更が必要な範囲の特定が困難です。

業務内容の変更を迅速・柔軟におこなえるのはBPM実施における大きなメリットといえるでしょう。

業務の属人化を防げる

BPMでは業務プロセスをモデル化し可視化します。
そのため、効率的な業務方法を全員が実施できるようになり、業務の属人化を防ぐことが可能です。

また、BPMでは個人が持つノウハウも共有・周知され継続的に最適化されていきます。

その結果、既存社員はもちろん新入社員も最適化された業務プロセスを容易に知ることができますので人材育成も効率的にすることが可能です。

継続的に業務改善をできる企業体質をつくれる

BPMの導入により、ビジネス環境の変化や業務課題に対し継続的に対応できる企業体質をつくることが可能です。

BPMの実施により、業務プロセスが可視化されます。
そのため、自身がやっている仕事が全体にどのような影響を及ぼすかを現場の社員全員が知ることになります。

また、改善されたプロセスは現場が実際にこなせてこそ意味があるため、プロセスの改善にあたり現場の意見が取り入れられることもあるでしょう。

現場に対し正しい評価や意見を取り入れることで、社員の責任感やモチベーションの向上につながります。

その結果、多くの社員が業務改善に対し前向きに取り組める企業体質に変わるのです。

BPM(ビジネスプロセスマネジメント)導入の基本手順

ここでは、BPM導入の基本手順を以下の流れで解説します。

  1. 業務プロセスの分析
  2. 改善プロセスの設計
  3. プロセスの実行・管理
  4. 業務プロセスの改善

詳しく見ていきましょう。

1.業務プロセスの分析

はじめに実施するのは改善すべき業務プロセスを把握し、問題点や課題を分析することです。

分析をする際には、業務プロセスの可視化が効果的です。
業務プロセスを可視化し、関係者全員の目線を合わせることにより、明確に問題点や課題が発見できるでしょう。

2.改善プロセスの設計

問題点・課題が明確になったら、次に改善するための業務プロセスを設計します。

設計の際は、問題に対し「人員を増やす」「設備を導入する」など最適な改善手段を検討しましょう。
最適な業務プロセスを設計するには、システムやツールの使用が効果的です。

3.プロセスの実行・管理

新たなプロセスが設計できたら、次におこなうのはプロセスの実行です。

実行の際は「工数や作業時間がどれほど削減できたのか」といった、実際の効果の確認も並行しておこないます。

ここでしっかりと情報を収集しておくことで今後の改善効率が大きく変わるため、さまざまな視点からできるだけ多くの情報を集めましょう。

4.業務プロセスの改善

プロセスの実行結果をもとに、さらなる業務プロセスの改善を実施します。

上記の手順を繰り返しおこなっていき、目標とする結果が得られた段階で完了となります。

BPM(ジネスプロセスマネジメント)導入時の注意点

多くのメリットが存在するBPMですが、導入時にはいくつか注意しなければならない点があります。

導入目的を明確にする

1つめは導入目的を明確にし、常に目的を意識して取り組むことです。

BPMを導入しても失敗する場合、考えられる理由のひとつは導入自体が目的となってしまっているケースです。

BPMは継続することで効果を発揮するので、導入しただけ満足してしまっていては失敗するのも当然といえるでしょう。

そのため、効果的にBPMを実践するためには定期的にミーティングや会議をして、導入した目的を常に意識させることが重要です。

運用体制を整える

2つめは運用体制をしっかりと整えることです。

BPMの実施により、今までの業務が大きく変わる可能性があります。

業務の変更は現場の社員にとっては大きなストレスです。
ましてや、体制が整っていない状態で強引に導入をすすめようとすると、大きな反発を受けかねません。

BPMをスムーズに導入するためにも、導入前にしっかりとおこなっておきましょう。

  • セミナーなどによる現場社員への教育
  • マニュアルの整備
  • 円滑に運用するためのツールなどの用意

BPMの導入にはツールの活用がおすすめ

BPMの管理には専用のBPMツールの利用をおすすめします。

BPMの管理は手書きや描画ツールでも可能ですが、多くの手間がかかり非効率です。

また、担当者によって描き方に違いがあったり、組織変更や改善プロセスが発生する度に最初から作成が必要であったりとさまざまな問題も発生します。

BPMツールであれば、BPMをスムーズにおこなう機能が多く備わっており、高い精度で各作業をおこなうことが可能です。

くわえて、フォーマットも統一されているため共有もしやすく、変更時の対応も楽に実施可能です。

ここからは、BPMツールが持つ主な機能を紹介します。

モデリング機能

モデリング機能は、業務プロセスを可視化する機能です。

BPMツールを使えば、ドラッグ&ドロップなどの簡単な作業でプロセスの設計ができます。

また、プロセスの組み換えや変更なども効率よくおこなえるので、作業の手間を大きく削減可能です。

シミュレーション機能

シミュレーション機能では、変更したプロセスが目標を達成できるかの予測をおこなえます。
そのため、実際に稼働させることなく精度の高い情報を手に入れることが可能です。

シミュレーション機能を活用すれば、複数のプロセスを同時に予測することもできるため、非常に効率的に作業ができます。

モニタリング機能

モニタリング機能は、実行したビジネスプロセスを監視する機能です。

期待した効果が実現されているか、他の問題が発生していないかなどの稼働状況を詳細に把握できます。

新たな課題や問題が発見されても詳細なデータがあるため、適切な改善行動をとることが可能です

まとめ:BPM(ビジネスプロセスマネジメント)で業務を最適化しよう

BPM(ビジネスプロセスマネジメント)の詳細やメリット、手順などについて解説しました。

BPMでは業務管理手法のひとつで「業務プロセスをモデル化した上で、課題を抽出・分析し新しいプロセスをつくる」というサイクルを繰り返すことで最適化をすすめる方法です。

実施により「業務プロセスの本質的な課題を解決できる」「業務の属人化を防ぐ」など多くのメリットを得られます。

しかし、BPMの導入は業務プロセスの変更をともなうことが多く、現場の社員の反発を受ける場合もあります。

BPM導入の際は事前の周知やマニュアルの整備、BPMツールの導入など、しっかりと準備を整えておきましょう。

 

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