現在、世界中でDXへの理解は深まり、実際にDXを推進する企業も増えています。

しかし、まだまだ実際に取り組みを行っている企業は少なく、DX推進が進んでいるとは言えない現状です。

これは「具体的なやり方がわからない」「デジタル技術は自分の事業では使えないと思う」といった悩みや疑問があるからだと考えられます。

そこで今回は、DXについて軽く解説しながら、国内外問わずDX推進を進めて成功した10個の企業を紹介します。

それでは、早速見ていきましょう。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、企業がデジタル技術によってビジネスモデルや業務そのものの変革を実現することを意味します。

DXの推進は多くの企業にとって、ビジネス環境の激しい変化の中で企業の市場における競争率を高め、優位性を維持するための非常に重要な課題となっています。

元々は、スウェーデンのエリック・ストルターマン教授によって「進化し続けるテクノロジーが人間の生活を豊かにしていく」という概念として提唱された言葉です。

ビジネスに限った言葉ではなく、人々の生活をよくするための言葉として生まれました。

DXが必要とされる理由

現在、多くの企業がDXの推進を急いでいます。

DXを推し進める理由として、2つの大きな問題があるのです。

  • 2050年の崖の存在
  • 働き方改革の実現

それでは見ていきましょう。

2050年の崖

2050年の崖とは「既存のシステムを2050年までに刷新しなければ、日本企業全体で年間12兆円の経済損失が出るという予測」です。

この予測を受け、国をあげてデジタル技術の普及と、企業での努力が進められています。

また、この予測に現実味を持たせているのが、既存の古いITシステム、いわゆる「レガシーシステム」の現状です。

レガシーシステムでは現代のビジネスで対応できなくなってきており、ビジネスの機会を損失してしまう可能性が増加しています。

DX化を進めなければビジネスとして成り立たなくなる可能性がある、という状況から、DX推進はこれからの企業の成長に欠かせないものといえるでしょう。

働き方改革の実現

簡単にまとめると、働き方改革とは「企業における従業員のプライベートと仕事の両方を充実させ、生産性アップや業績アップにつなげる」といった取り組みです。

社員の定着率の増加に加え、職場環境の改善から優秀な人材が集まりやすくなり、人材不足という大きな問題を解決できます。

この働き方改革で最も必要とされているのが、DX化です。

DXを推進することで、業務の効率化をはじめ、リモートワークやフレックス制の導入、産休・育児休暇など、社員それぞれに合った働き方ができるようになります。

また、新型コロナの影響もあって、社員の働き方の変化は著しいといわざるを得ません。

急いでDXを推進しなければ、時代に取り残される可能性もあるのです。

国内の成功事例

ここからは、国内で実際にDXを推進している企業や団体の取り組みを見ていきます。

誰でも聞いたことのあるような名だたる企業が、DXを推進することで事業の拡大やサービスの向上に成功しているのです。

これから事業でDXを推進する際の、参考にしてみてください。

セブン&アイ・ホールディングス (小売り)

株式会社セブン&アイ・ホールディングスは、2020年に「グループDX戦略本部」といわれるDX推進組織を発足させ、事業及び、DX人材育成の両面からDXを推進しています。

事業では、グループ企業に置けるECビジネスの配送効率の最低帰化を図るために「ラストワンマイルDXプラットフォーム」を構築しています。

AI技術によって、車両やドライバーをはじめ、配送料・配送ルート、受け取り場所の最適化ができるようになりました。

人材面では、専門知識や経験を持つ人材の確保とAIの活用を推進する「AI人材育成プログラム」を実施し、社内の人材をDX人材へと成長させています。

大塚製薬 (製薬会社)

大塚製薬では、大手IT会社であるIBMと合同で「大塚デジタルヘルス」を設立し、「MENTAT」というデータ分析システムを販売しています。

「MENTAT」は、精神科をターゲットにIBMの人工知能技術を取り入れた電子分析システムです。

このシステムの導入により、電子カルテのデータを言語解析し、入退院を繰り返す患者の傾向や症状の変化パターンを把握できるようになりました。

その結果、医療関係者が簡単に患者の症状を把握したり、医療方針の立案や病院経営に役立てたりできるようになりました。

日本郵船株式会社 (運送)

世界でも最大手の海運会社である日本郵船は、DXを推進する施策として、短時間に数十万通りのシミュレーションをする運航スケジュール策定支援システムを開発しました。

元々、自動車専用船の運航スケジュール調整において、運行担当者の負担が酷く、人員も不足しているという状態がありました。

このスケジュール策定支援システムの導入によって、意思決定の迅速化に加え、負担軽減によって人員を失うことがなくなりました。

また、負担が減ったことで、後継の育成にも力を入れられるようになり、知識の蓄積・継承もスムーズになっています。

ソニー損害保険株式会社 (保険会社)

ソニー損保は、自動車保険にAIを活用してDXを図っています。

ソニー損保では、運転スキルや運転傾向などドライバーの情報を把握できずに事故リスクを算出できず、満足なサービスが提供できないことが課題となっていました。

そこで、「GOOD DRIVE」というスマホアプリを開発したのです。

このアプリは、スマホの機能をフルに活かし、アプリ経由で運転中のデータを収集・分析できます。

収集したデータと、ソニー損保が持つ豊富な過去の事故データを合わせることで、運転中の事故リスクを算出できるようになりました。

アプリに入っているAIが安全運転であると判断した運転手に対して、保険料をキャッシュバックする保険サービスを展開しています。

また、事故リスクを算出できるようになっただけでなく、運転手も自分の運転データをみかえせるようになったので、実際に起きる事故リスクを軽減することにも貢献しています。

長谷川コーポレーション(建設)

長谷川コーポレーションは、東京都港区に本社をかまえる国内最大手建築企業です。

マンションの設計・施工、管理・運営及び、リフォーム、修繕、建て替えを手がけています。

DX推進室を作り、積極的にDXを推し進めている企業であり、主な施策として「マンションFit」というLINEアプリを開発しています。

このアプリは、顧客の新築分譲マンション探しをサポートするために開発されました。

顧客がアプリ内で簡単な質問に回答すると、おすすめ物件が表示され、そのまま営業担当者の付かない非対面型のモデルルームの見学予約ができるような仕組みになっています。

顧客が自由に物件を見学できるだけでなく、営業担当が着かないことで、営業されているという意識をなくし、購買意欲を損なわずに見学してもらえるのです。

また、見学終了後のアフターサービスとして、アドバイザーによるカバーも充実しています。

ユニ・チャーム株式会社(工場)

ユニ・チャームは、紙おむつをはじめとした衛生用品の大手メーカーです。

ベビーおむつの市場の縮小と、新型コロナの影響で発生した保育園のウイルス対策の2つを課題として、DXに取り組んでいます。

行ったのは、「手ぶら登園」といわれる「紙おむつのサブスク」です。

具体的には、保育園で紙おむつの在庫がなくなってきた際に、園児と保育園のデータを元に、自動的に紙おむつを発注できるという仕組みです。

これにより、おむつの買い出しや管理など、おむつによる保育園の負担を最大限軽減することを可能にしました。

サービス発足から短時間で1.000施設に導入決定するほどの成果を出しています。

三井住友銀行(銀行)

三井住友銀行が行ったDXは、「お客様の声」を自動分析するシステムの導入です。

NEC(日本電気株式会社)が提供するビッグデータ分析技術を最大限に活用しています。

従来手作業でまとめていた内容の要約や見出し作成などを、自動で分類し仕分けられるようにしました。

内容の集計をグループに分けて行ったり、内容の時系列での変化を把握したりできるようになっています。

これにより、お客様対応の迅速化に加え、お客様の声から読み取れる要望の変化を反映した

サービスの創出、展開など、さまざまな用途で成果が出ています。

アスクル株式会社

アスクルは、オフィス用品を通信販売している企業です。

この企業のDX推進の例といえば、新型コロナの影響を受け、ECの仕組みを2週間で一新したことでしょう。

新型コロナウイルスのまん延によって、感染予防品が大量に購入され、医療や介護の現場など、本当に必要とされる場所に届かない問題が発生しました。

その際アスクルは、顧客データを基に医療関係者に優先的にマスクなどの感染予防品を販売できる仕組みを作り上げたのです。

営業でもすぐに非対面営業に切り替えたことからも、この企業の対応力が見て取れます。

現在は、エンジニアとデータサイエンティストの育成にも力を入れており、今後もDXによって業績を伸ばしていくこと可能性が高い企業といえるでしょう。

海外の事例

DXの推進は、国内だけではなく海外でも活発に行われています。

今回は、日本でもなじみ深い以下の3つの企業のDX推進例を紹介します。

  • Netflix
  • BMW
  • Amazon

それでは見ていきましょう。

Netflix

Netflixは、ストリーミングサービスを提供する企業として、最大手といっても良い規模を誇っています。

顧客ニーズの変化に対して迅速に対応できるように、DXによるビジネスモデルの変革をしたことで、現在の地位まで上り詰めたのです。

具体的には、順番に4つのDXを実行しました。

  • オンラインDVDレンタルサービス
  • サブスクの展開
  • DVDレンタルの廃止(ストリーミングサービスの導入)
  • オリジナルコンテンツの製作

まず、DVDレンタルを無店舗で展開できるような仕組みをつくりサブスクを展開、その後DVDレンタルという形を無くし、ストリーミングに変更します。

業界大手になった後、オリジナルコンテンツ作成によって新たなビジネスモデルを確立したのです。

BMW

高級自動車メーカーとして有名なBMWは、DXとして「BMW i Visualiser」というアプリを開発しました。

このアプリは、ARで実物大の車をさまざまな角度から眺めたり、色やパーツなどのカスタマイズができるというアプリです。

それだけではなく、ライトを点灯させたり、ラジオをつけたりできるなど、よりリアルな体験を実現しています。

特にカスタマイズにおいては、実物を見るよりも高い精度で検討できるため、実店舗での検討から購入までのスピードが増す、といった効果を得ているようです。

また、新たな顧客層にもアプローチできるようになるため、これからさらなる売り上げ拡大の可能性も十分に考えられます。

「自動車を購入する際には実物を見る必要がある」という考えを打ちこわし、あらたな顧客獲得によって事業の拡大に成功するという、DXの成功例ともいえるでしょう。

Amazon

世界最高峰のECサイトとして成功しているAmazonでは、AIによってユーザーの購入履歴を分析し、商品ごとの正確な発注数を算出できるシステムを構築しています。

これにより、適切な在庫管理が可能となり、ECサイトにありがちな「過剰在庫のリスク」や「在庫切れ」を回避することに成功しているのです。

また、在庫が安定して供給されることで、ユーザーにとってもよい購買体験につながり、顧客が定着するという好循環によって、いまもなお成長を続けています。

まとめ:DX推進成功のためには、他企業に学ぶべし

今回は、以下のことについて解説・紹介しました。

  • DXとは何か
  • DX推進が急がれる理由
  • 成功したDX推進の例

これからのビジネス社会に対応していくためには、DXを推進するのは不可欠です。

デジタル技術を取り入れ、顧客との関係性を強め、より効率的に事業を展開していくことが求められます。

そんな中、「自社の課題」「顧客のニーズ」「行うべき行動」を明確にして、DXを推した結果、成功を収めた企業が多数あります。

まずは、成功した企業が行ったビジネスモデルの変革を基に、DX推進の第一歩を踏み出しましょう。

 

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