今回のテーマは「マルチタスク」です。またマルチタスク? と感じられたみなさま、いつも私たちのブログをお読みいただきありがとうございます。
はい、今回も…「マルチタスク」はそれだけ大事なトピックなのです。ただし、今回は少し違った角度から。
まず、マルチタスクは良くないと言われますがなぜでしょうか?
それは、マルチタスクは我々からスピードを奪い、プロジェクトの納期を危険にさらすからです。
もう少し書くと、マルチタスクでスピードが奪われ、タスクが遅れ、時間に追われ、つい多くのことに手を付けて、さらにスピードを失う…という悪循環に陥る、だから良くないのです。
時間に追われると品質まで低下します。品質が落ちると後戻り作業が増えて余計に時間に追われます。そして、プロジェクトが危うくなるだけでなく、商品やサービスに対するお客様の信頼まで失うことにもなりかねません。だから、本当に、良くないのです。
しかし、そもそも、なぜ我々はマルチタスクをうまくやれないのでしょうか?
ある研究によると、2つの事を同時にやろうとすると、脳内のあるリソースが一度にどっと消費され、そのリソースには限りがあるため、それぞれが干渉、抑制し合ってエラーが増えたり応答時間が遅くなったりするそうです。つまり、マルチタスクによって「脳力」が奪われる、だから我々はうまく「マルチタスク」できないのです。
我々は知っています。だからマルチタスクは良くないし、逆に、マルチタスクをやめることでスピードが取り戻せ、タスクの完了ペースが上がり、時間に追われるプレッシャーから解放され、一つのことにもっと集中できてスピードがさらに加速する、という好循環が生まれることを。
しかし、ここまで分かっていてもやめられないのがマルチタスクのやっかいなところ。
どうして我々はマルチタスクしてしまうのでしょうか?
マルチタスクは以下からくるプレッシャーで生まれます。
1. 目の前にタスクがたくさん並んでいる
2. どれも大事で優先度を決めきれない
逆に、以下ができればマルチタスクはやめられます。
1. 目の前にタスクを並べない
2. タスクの優先度を決める
もし「目の前にタスクを並べない」が可能なら、すぐにでもやりましょう(みなさんが誰かの上司なら、部下の目の前にタスクを並べないのは、みなさんにしかできない大事な役目です)。しかし、そうはいかない場合もよくあります。だからこそ、「タスクの優先度を決める」がより重要になります。
「タスクの優先度を決める」、どうすればできるでしょうか?
こう聞かれてすぐ、「どうすれば “正しい優先度” を決められるのか…」、と考えたなら少し待ってください。大事なのは、タスクの優先度を決めて一つずつ順番にやること、つまり「マ ル チ タ ス ク を し な い」こと、です。もちろん優先度の「正しさ」も大事です。しかし、マルチタスクで奪われているスピードはとても大きいので、タスクを一つずつ順番にやるだけでもスピードが上がり、これまでよりもずっと早くタスクが完了していきます。ですから、まずは、優先度の「正しさ」は少し横に置いておきましょう。
ではどうすればいいか、一番シンプルな方法はサイコロを振ることです。「そんなええかげんな…」と思われたかもしれません。しかし、サイコロで決めた優先度でも、とにかく一つずつ順番に実行しさえすればスピードが上がり、タスクは確実に早く完了していきます。本当です。そして、スピードが上がれば順序はどうでもよくなります…究極的には。
繰り返します。マルチタスクで奪われているスピードはとても大きいのです。マルチタスクをやめてスピードを取り戻すための第一歩は、とにかく「タ ス ク の 優 先 度 を 決 め る」ことです。
しかし、実際のプロジェクトでサイコロを振るわけにはいきません(もし、私がサイコロでタスクを決めていたら、誰も私を信用してくれないでしょう)。もう少し信頼できる、誰でも、いつでも、きちんとやれるシンプルな方法が必要です。
どうすれば、サイコロより信頼できて、しかも、サイコロくらいシンプルに、タスクの優先度を決めることができるのでしょうか?
その答えはCCPM(クリティカル・チェーン・プロジェクト・マネジメント)にあります。CCPMは、「そもそも、ものごとはシンプルである」という信念に基づいて、マルチタスクを撲滅すること、信頼できるタスクの優先度をシンプルに直感的に決めることを、トコトン追求して生まれたプロジェクト管理の手法です。
今回のまとめ:
プロジェクト成功のカギは、「マルチタスク」の撲滅とそれを可能にしてくれるCCPMである。
CCPMに可能性を感じていただけましたでしょうか?
次回も「マルチタスク」について、また少し違った角度から書く予定ですのでご期待ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
以上
株式会社ビーイング
取締役 開発部長
宇治川 浩一
この記事は、弊社サイトで過去に掲載していた内容を再掲載しております。