突然ですが、
「この活動の目的は何ですか?」
皆様はこの質問にすぐに答えることができるでしょうか?
ちょっと10秒間だけ考えてみてください。
例えば
● 現在取り組んでいるプロジェクトの目的
● 現在取り組んでいる改善活動の目的
● 昨日の長い会議の目的
私は口癖のように一緒に活動させていただく方々にお聞きします。
「この活動の目的は何ですか?」
もちろん、お客様にも。たまに「しつこいなぁ」と思われているかもしれません。それくらいいつもお聞きするのには理由があります。
私の経験上、「目的=ゴール」が定まっていない場合、まったくと言い切れるほど“良いこと”がないからです。
◆上場企業での身近な実話
とある上場企業で「設計・開発期間の短縮」のコンサルティングを実施していた時の話。
活動の推進者の方々に、数ヶ月の活動で蓄積したノウハウを基に自社に最適な「プロジェクト管理のルール」をまとめていただきました。非常に整理され、挿絵も追加するなど見やすさも追求された素晴らしいものでした。
しかし・・・
いつの間にか「プロジェクト“管理”のルールを作ること」が目的となっていたのです。
一言で言うと“細かすぎる”。
箸の上げ下げまで記載されたような管理のための管理、所謂「ガチガチの管理」をするためのルールになっていました。一見、細かくする方が良さそうに思えますが、細かすぎると複雑になりすぎて実際の運用には耐えられなくなってしまいます。
この企業の場合、本当の目的=ゴールは、
「設計・開発期間を短縮することにより、多くの市場ニーズをギリギリまで反映させた製品を、競合企業よりも早く提供し、市場シェアを拡大する」
でした。
そのために、
「どのような役割の人でもわかりやすく、親しみがあり誰もが手に取りやすい、そのゴールに向けて運用され進化し続けるガイドライン」
を目指していたにもかかわらず、いつのまにかルール作り自体が主目的となり、ガチガチの管理を追求してしまったのです。
このような経験は私だけではないでしょう。
皆様も同じようなことを数多く経験されているのではないでしょうか?
では、どのようにすれば本来のゴールを見失わずに物事を進めることができるのでしょう。
◆たった30秒でできる決してゴールを見失わない方法
私が実践している「たった30秒でできる決してゴールを見失わない方法」があります。
はじめに、その活動自体の「中長期的なゴール=目的」を頭の中で文章化します。
つぎに、現在の作業の「短期的なゴール=目的」を頭のなかで文章化します。
以上です。
簡単すぎる?
簡単な方法が毎日いつでもできますし、長続きします。一見、複雑な方法の方が凄そうだし、良さそうに見えますが、長続きしません。シンプルなのが一番です。
そんなの当たり前?
「中長期的なゴール」と「短期的なゴール」が常に意識できているならば、それは非常に良いですね。まったく問題ないです、素晴らしい。
では、皆様の周りの方々はいかがでしょうか?上司は?部下は?同僚は?
10秒間、できてないなぁと思う方々を思い浮かべてみてください。
その当たり前のことができていないから、いつも悩まされるのです。
そのような方が思い浮かぶなら、この方法を教えてあげましょう。
本人が気づいてくれればラッキー。
もし、気づかなかったとしても実践してみせましょう。
そして、大切なことを気づいてもらいましょう。
「この活動の目的は何ですか?」
◆最後に
本ブログと同じタイトルの「ザ・ゴール」(ダイヤモンド社刊)という本があります。
ビジネス書としてベストセラーになり、著名な方々のバイブルにもなったイスラエルの物理学者であるゴールドラット博士の著書です。
永らく日本語版の出版が禁じられていたという逸話もある本で、最近では漫画にもなったことで再び注目が集まっています。
「危機的な状況からの大逆転」を実現するストーリーですが、本来の「ゴール=目的」がキーワードとなっており、私としてもお勧めです。
以上
シニア・コンサルタント
後藤 智博
この記事は、弊社サイトで過去に掲載していた内容を再掲載しております。