会社で働いているのであれば、このような会話を聞いたことがあるのではないでしょうか。
部長
「こんな案件が来てるんだけど、どうかな?」
チームAのリーダー
「興味はあるんですが、今ちょっとリソースが不足していて…」
あなたはどのような印象を受けますか?
「チームAは、なんだか忙しそうだな」と状況は理解できるでしょう。
このように「リソース」という言葉は、会社内でよく聞く言葉であり、何となく意味が通じていることも確かです。
しかし、「リソース」がどんな内容を指すのか具体的に説明するとなると、やや言葉に詰まる方も多いのではないでしょうか?
本記事では、「リソース」について説明しつつ、社内におけるリソースの上手な使い方を解説していきます。
リソースとは?
この章では、リソースの意味を紹介します。
リソースとは、英語の「resource」が語源です。直訳を検索すると、資源、供給源、物資、財源などがヒットします。
実際に、「リソース」という言葉をビジネスの場に置き換えると、1つのプロジェクトを達成するために必要な、人材、時間、予算、道具などに当てはまります。
記事のはじめに見ていただいた会話で、チームAのリーダーが「リソース不足」と言っていました。
この意味を具体的に説明すると、部長から来た新しい案件を遂行、完了するために必要な「人材、時間、予算、道具…」が足りていない、このように読み解けます。
リソースとアセットとの違い
少し本題から逸れますが、リソースに似た言葉で、アセット(asset)があります。
意味の違いとしては、リソースは「資源」を、アセットは「資産」を指します。
会社が持つアセット(資産)としては、現金や預貯金、有価証券、不動産といった換金性の高い資産がこれに該当します。
実務に近い部分でアセットの具体例を見ると、データで管理されている文書ファイル、表計算ファイル、画像や動画などがアセットに該当します。
これらをデジタルアセットと呼んだりします。
このように、リソースとアセットには明確な違いがあります。ここで違いを理解しておきましょう。
一般的なリソースの種類
一言でリソースと言っても、それは複数の事柄を指して使うことが多いため、何となくぼやけた言葉という印象を持っている方がいるでしょう。
そこで、ビジネスシーンでよく使う「3つのリソース」を紹介します。
ヒューマンリソース
ヒューマンリソースとは、「人員、技能、働く人の時間」を指します。
私たちが職場で使うリソースは多くの場合、ニューマンリソースを意味することが多いでしょう。
企業のリソースにおいてとても大切な部分であり、人がいなければ事業を進めることはできません。
経営リソース
経営リソースは、ヒューマンリソースに加えて、「情報、予算、知的財産」など目に見えない資源も含みます。
会社の経営者や幹部、プロジェクトのリーダーになれば、より多くの項目を適切に管理していかなければなりません。
外部リソース
会社や組織の外側にあるリソースを、外部リソースと呼び、具体的にはアウトソーシング(業務委託)を指します。
社内の足りない部分を社外の人材やサービスで補うことは、一般的に行われていることです。
加えて、より専門性の高いリソースを得るために外部リソースを活用して、プロジェクトの価値を高めるという考え方もあります。
リソースの重要性|事業継続に甚大な影響も⁉
リソースが不足した状態を考えることで、リソースの重要性について理解を深めることができます。
ここでは、リソース不足が企業に与える3つの影響を説明します。
・従業員の離職率が上がる
・生産性の低下につながる
・市場競争力の低下を引き起こす
順番に見ていきましょう。
従業員の離職率が上がる
はじめに、ヒューマンリソースの不足について考えてみましょう。
人手不足をそのままにしておくと、結果としてさらなる従業員の離職につながります。
既存スタッフの負担が増えることで不満が募るからです。
また、人員不足が慢性化するとマネジメントが機能しずらくなります。
スタッフに辞めてほしくないという気持ちから適正な管理ができなくなるからです。
ヒューマンリソースの不足は、組織全体や経営自体にも影響が及ぶため、注意が必要です。
生産性の低下につながる
ヒューマンリソースが不足した結果、生産性の低下につながります。
人員が足りていないため、これは当然の結果です。
逆に人手が充実していたとしても、経営リソースが不足している職場環境においては、同様に生産性の低下がみられます。
具体的には、パソコンの性能が低かったり、ITツールが上手く活用できていなかったりする場合です。
業務が高度化している現代ビジネスでは、経営リソースを整えて従業員の負担を軽減することも重要です。
市場競争力の低下を引き起こす
社内における生産性の低下は、企業の市場競争力を低下させます。
リソース不足、生産性の低下によって、企業が本来するべき事業活動の継続に支障をきたす場合があるからです。
また、新規事業立ち上げなど、自社を発展させる活動はさらに困難でしょう。
このように、リソース不足は企業活動に大きな影響を与えます。
リソース管理のメリット
ここまで見てきたように、社内のリソースを適切に保つことはとても重要です。
リソース管理に力を入れることは、企業にとって大きなメリットがあります。
きちんとリソース管理ができていると、組織やチームへ快適な仕事環境を提供することができます。
例えば、どの部分で何が足りていないのか、プロジェクトの納期に間に合うかなど、リソース管理をする事で全体のバランスを整えることができるからです。
従業員やチームメンバーにとっても、リソース管理が行き届いている環境で仕事に集中することができます。
結果として、組織の生産性の向上へとつながります。
急なトラブルが起こったとしても、リソース管理ができているとトラブル対応もスムーズです。
全体を見て、余力のある部署から一時的にリソースを再配分します。
このように、リソース管理を適切に行うことで、組織全体がさまざまなメリットを享受できます。
リソース管理の方法
リソースを管理する方法を4つのステップに分けてご紹介します。
リソースを管理する方法
・リソースの把握
・必要リソースの特定
・リソースの配置
・実戦を通したトライ&エラー
ここでは、社内で結成された新規プロジェクトを進行する場合に絞って、リソース管理方法を見ていきましょう。
リソースの把握
リソースを管理するために、私たちが第一に行うことは、リソースの把握です。
社内でプロジェクトが立ち上がる際には、会社からリソースが配分されます。
目に見えるチームメンバーの数、予算、時間は特に重要です。プラスアルファとして、メンバーの技能や特徴までを知ることが大切になります。
必要リソースの特定
私たちが持つリソースが把握できたら、次は、プロジェクト遂行に必要なリソースを特定します。
新規プロジェクトでは、未知数な部分もあるかもしれません。現時点では、未知数な部分があることを特定できればいいでしょう。可能な限り、必要リソースを洗い出しておきます。
リソースの配置
現在持つリソースを、プロジェクトの計画に沿って配置していきます。
必要に応じて機材、ITツール、外部リソースを手配します。
また、会社から与えられるリソースは必ずしもプロジェクトの目標達成にちょうどいい状態とは限りません。
過不足を把握して、可能な範囲で対処していきます。
実戦を通したトライ&エラー
プロジェクトが進行していくと、計画とのずれやトラブル対応が発生します。
「なぜこの事象が発生したのか」というところまで分析して、初めて根本的な解決することが可能です。
トラブルの原因である制約を特定したら、今あるリソースを制約に集中させることでトラブルを解消を目指します。
リソースを増やすことは簡単なことではないため、今あるリソースを有効に活用して制約を解消しましょう。
リソース管理に成功した事例
リソース管理を徹底することで、プロジェクトはより加速していきます。
この章では、リソース管理によってビジネスを加速さることに成功した事例をご紹介します。
シャープ株式会社様へのTOC(*)導入により、AQUOSスマートフォン事業部門において、わずか6か月のコンサルティング実施で開発リードタイムを30%短縮しています。
全体を見てみると、プロジェクトマネジメントを利用した企業文化のイノベーション実現という大きなプロジェクトでした。
聞きなれない言葉も多いかもしれません。
しかし、弊社が実施した具体的な改善行動に注目すると、「リソース管理の重要性」がわかります。
例を挙げてみましょう。
【制約の特定と解決の方向性を決定】
制約①1年後の次機種先行検討時間が不足している
→マネジメントのあり方を変えるために「CCPM(クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント)」を導入。
ここでのポイントは「リソースの不足」です。
そして、弊社の提案から、CCPMという新しいプロジェクトマネジメント手法を導入することによって、制約➀を解決しています。
リソース管理の観点から、プロジェクトマネジメントを改革しました。
その結果、わずか6か月という短い期間で従来の開発リードタイムを30%短縮、プロジェクト全体の大きな成果へとつなげています。
ちなみに、本成功事例のノウハウはこちらの記事ですべて公開しています。
事例詳細:【シャープ株式会社様】わずか6ヶ月間で30%の開発リードタイム短縮
まとめ:ビジネスが加速!リソースについて理解を深めよう
本記事では、「リソース」という言葉の意味から、その重要性について理解を深めてきました。
弊社の事例をもとに、是非一度、あなたの環境に合った「リソース管理」について考えてみてください。
きっと新しい改善が見つかるはずです。
ちなみに、以下の資料では今回紹介した内のCCPMについてさらに詳しく説明しています。
プロジェクトマネジメントの導入を検討している方はぜひダウンロードしてみてください。