チケット管理とは、タスクをチケットとして詳細化することで問題点をあぶり出し、効果的にプロジェクト管理を行えるようにする手法です。
チケット管理を導入すると、プロジェクトマネージャーが各タスクの進捗状況や問題点を把握しやすくなります。
このようにプロジェクト管理に便利なチケット管理ですが、具体的なイメージがつかめず、実施方法や進め方がわからないと悩んでいる方も多いでしょう。
本記事では、チケット管理のメリットや注意点、実施する際のポイントを解説します。
プロジェクトマネジメントの効率を高めたい、プロジェクトマネージャーの方におすすめです。
チケット管理とは
チケット管理とは、プロジェクトや各部門のワークフローで行われるタスクを、担当者やステータス、期日、優先度などの情報に分け、1枚のチケットにまとめて管理する手法です。
以前までは開発現場で活用されていた手法ですが、効果的に管理が行えることから、現在では企業内のさまざまなプロジェクトで活用されています。
具体的には、一つひとつタスクをチケットとして管理することで、タスクの進捗状況が明らかになり、プロジェクトマネージャーや各部門の管理者が現在の進捗状況と問題点を把握しやすくなります。
さらに、各チケットの履歴を参考にすれば個別のタスクの課題を抽出でき、次回プロジェクトの改善へとつなげられます。
このように、チケット管理は現状の把握と先々の改善に役立つため、プロジェクト管理において重要な存在だといえるでしょう。
チケット管理を実施するメリット
チケット管理を実施するメリットは次の通りです。
- 情報確認が行いやすくなる
- 業務の改善点がわかりやすくなる
- 工程間の時間やコストを試算しやすくなる
情報確認が行いやすくなる
タスクごとにチケットを発行することで、情報確認が行いやすくなります。
チケット管理を実行することで、タスクを完了するために必要な情報がチケットとして発行されるため、納期や作業が明確になります。
発行したチケットをチームに分配し、進捗状況に対応した情報を記入することで、効果的なプロジェクト管理が実現します。
具体的に、チケットには次のような情報が含まれます。
- 担当者
- 優先度
- ステータス
- 開始日
- 期日
- 予定工数
- 進捗状況
- 親チケット
マネージャーは、未処理のチケットや作業中のチケットを確認するだけでタスクの進捗状況をを一目で把握できます。
例えば、ステータスが「未処理」になっているチケットを優先的に処理すると、納期遅延のリスクを和らげられるでしょう。
タスクを詳細化することで、必要な情報を集約できます。
その結果、チケットとタスクを紐づけやすくなり、よりスムーズなタスク管理が実現します。
業務の改善点がわかりやすくなる
チケット管理の記録をさかのぼることで、改善点がわかりやすくなることもメリットです。
チケットを処理するタイミングで、作業内容や発生したトラブルについて記録しておくことで、同じシーンでの改善策を考案できます。
例えば、タスクを納期までに完了できなかった場合、目標未達となった理由を記録しておくことで、次回以降のトラブルやミスの対策が可能になります。
ただし、エクセルやローカルフォルダにチケットを保存して管理する場合、目的の情報を検索しづらい問題が発生します。
エクセルの解決策としては、タスクのジャンル別にシートを分けて検索しやすくすると良いでしょう。
ローカルフォルダの場合は、検索にヒットしやすい表記ルールを設けるのが一案です。
工程間の時間やコストを試算しやすくなる
チケット管理では、工程間の時間やコストを試算しやすくなります。
各チケットにはタスクの所要時間や目標達成率、予算などが記録されているからです。
工程間の時間やコストを試算しやすくなると、タスクごとに必要な時間やコストがわかり、適切なリソースを分配できるようになります。
特に、チケットごとの作業時間を集計することで、タスク管理で活用されるガントチャートを詳細に作成できることでしょう。
ガントチャートには、タスクを完了するために必要な時間やコストが詳細に設定されているため、プロジェクト管理の精度を高められます。
チケット管理を実施する際の注意点
チケット管理を実施する際の注意点は次の通りです。
- プロジェクトの全体像を把握しにくくなる
- 有効に機能しない場合がある
- コミュニケーション不足に陥る可能性がある
こうした注意点を理解しておくと、あらかじめ対策を立てておけます。
ここでは、上記の3つの注意点を詳しく解説します。
プロジェクトの全体像を把握しにくくなる
チケット管理では、タスクの作業をチケットとして詳細に扱えるため、必要な作業が明確になり、スムーズにタスクをこなせるようになります。
しかし、細分化されたチケットのみを把握してしまうことで、プロジェクトの全体像を把握しにくくなるため注意しましょう。
特に、全体像を共有しておけば回避できる簡単なトラブルやミスが発生しやすくなります。
全体像を把握するための対策として、ガントチャートやPERT図を活用すると良いでしょう。
また、比較的簡単に完了できるチケットを先に行い、重要で難易度の高いチケットが残ることで、プロジェクト全体の進捗に遅れが生じる可能性があります。
各チケットには必ず優先順位を付け、優先度の高いものから順に取り組むことが大切です。
有効に機能しない場合がある
チケット管理を細分化しすぎると、必要な作業が増えるだけになるため、有効に機能しません。
また、処理したチケットの情報を具体的に入力しなければ、有効な記録を残せません。
細分化しすぎないよう、プロジェクトの全体像を把握しつつ、チケット管理を実行すると良いでしょう。
チケットの情報を具体的に入力するためには、「作業にかかった時間」や「人的リソース」などを記入するテンプレートを作成することで対応できます。
完了後、チームに改善案を出してもらい、それをもとにマネージャーが分析することで、効果的なチケット管理を実行できるようになります。
コミュニケーション不足に陥る可能性がある
プロジェクトマネージャーとメンバーがコミュニケーション不足に陥る可能性がある点も、チケット管理を実行する際の注意点です。
例えば、チケット管理ツールを利用している場合、画面上に表示されるステータスの情報を確認するだけで、タスクの現状をある程度把握できます。
その結果、プロジェクトマネージャーの負担は減るものの、口頭で報告する機会がほとんどなくなるとともに、コミュニケーションの機会も減少してしまう可能性があります。
このような状況では、プロジェクトマネージャーとメンバーの間でのコミュニケーション不足が発生してしまい、適切な報連相が行われないチームへと変貌する可能性があります。
上記のような問題に対処するには、チームで毎日短時間のミーティングを実施すると、コミュニケーションが円滑になり、トラブルやミスを防止できるでしょう。
特に、進捗状況の確認や追加された情報の共有を行うことが重要です。
このように、チケット管理を実行する際に注意するべきことは多岐にわたるため、プロジェクトマネージャーが責任を持ち、適切な情報共有を行いましょう。
また、疑問点を気軽に質問できる環境整備も大切です。
チケット管理を実施する際のポイント
チケット管理を実施する際のポイントは次の通りです。
- コミュニケーションを取る時間を設ける
- ガントチャートを作成する
チケット管理を実施する際のポイントを詳しく解説します。
コミュニケーションを取る時間を設ける
チケット管理は、プロジェクトマネージャーとメンバーで見え方が異なります。
プロジェクトマネージャーは客観的に全体像を把握していますが、メンバーは全体像ではなく、チケットを完了するという部分的な把握のみに終始するケースも珍しくありません。
このままでは、見え方の違いによるコミュニケーション不足が発生してしまい、細かい相違点がトラブルやミスへとつながりやすくなります。
プロジェクトマネージャーとメンバー間のコミュニケーションを密にするため、業務開始前に軽いミーティングを行い、情報を共有しておくことが大切です。
また、チケットの発行・処理を行うタイミングで、チーム間で情報共有を行うことにより、相違点によるトラブルやミスを減らせます。
チケット管理は、あくまでもコミュケーション手段であることをチーム全体で把握したうえで、実行することが重要です。
ガントチャートを作成する
ガントチャートとは、進捗状況がひと目で把握できるスケジュール表のことです。
エクセルやスプレッドシートなどの表計算ソフトを利用することで、自ら作成できます。
横軸に時間を、縦軸にプロジェクトで必要なタスクや開始日・完了日・納期・担当者を記入します。
タスクの進捗状況をガントバーで表すことで、プロジェクト全体の状況をタイムリーに捉えられます。
ガントチャートに含まれる各タスクを一つひとつのチケットとして管理することで、プロジェクト全体を俯瞰的に把握できると同時に、タスク個別の進捗状況や目標達成率を確認できるようになります。
チケット管理を実施する手順
チケット管理は次の手順で実施します。
- プロジェクトからタスクを抽出する
- 抽出したタスクをチケットに割り振る
- チケットを実行する
- 完了したら管理表に反映させる
- チケット管理の結果を分析・評価する
チケット管理を実施する手順を詳しく解説します。
1.プロジェクトからタスクを抽出する
まず、プロジェクトから必要なタスクを洗い出します。
プロジェクトを客観的に分析し、必要な作業を箇条書きにするとまとめやすくなります。
このタイミングで、チケット管理表やガントチャートなどを作成しておきましょう。
抽出したタスクに重要度と緊急度を基準に優先度を付け、管理表に記入していきます。
2.抽出したタスクをチケットに割り振る
次に、抽出した各タスクごとにチケットに割り振ります。
タスクを完了するために必要な作業を洗い出し、チケットとして発行します。
チケットを発行する際には、メンバーのクリエイティビティとアイデンティティを重視して分配しましょう。
ただし、チケットを処理することが主体になると、作業をただ行うだけとなり高い効果は望めません。
チケット管理は、プロジェクトを効果的に行うためのサポートであることを共有しておきましょう。
3.チケットを実行する
割り振られたチケットをメンバーに分配し、実行します。
各チームメンバーの仕事量が均一になるよう分配することが重要です。
プロジェクトマネージャーは、仕事が一人に集中しないよう、平等に分配しましょう。
4.完了したら管理表に反映させる
チケットを完了したら管理表に処理したことを反映させます。
管理表には、「作業中」や「完了」、「確認済み」などのステータスを設けることで、チーム内で情報共有しやすくなります。
また、チケットを完了する際に、工程間の時間やコストを記入することをルール化しておくと、今後のプロジェクトをより効果的なものに改善できることでしょう。
5.チケット管理の結果を分析・評価する
チケットがすべて完了したら、結果を分析し、評価を行います。
分析や評価を実施する理由は、チケット管理をより良いものへと改善させるためです。
工程間の時間やコストの記録からメンバーの能力や時間がかかる作業を分析し、次回以降のプロジェクトで改善します。
まとめ:ポイントを意識した効果的なチケット管理を実施しよう
チケット管理は、プロジェクトを効果的に進めるためにタスクを詳細化し、チケットとして発行・処理するマネジメントの手法です。
ただし、チケットの管理ばかりに囚われてしまわないよう注意が必要です。
常にプロジェクトの全体像を把握して、タスクの優先度を都度調整していきます。
その際、CCPMを導入するとタスクの優先度を明確にでき、チケット管理をうまく運用することが可能です。
CCPMで運用する、ネットワーク図・ガントチャートと紐づけることで、どこでどんなチケットが発生したのかを把握できるようになるため、
CCPMとチケット管理を融合することでとても効果的に管理できます。
CCPMについての詳細は、下記記事で紹介しています。
組織パフォーマンスの最大化を実現するプロジェクト管理手法のCCPMとは?
また、さらに詳細を知りたい方は、下記ボタンより無料で資料ダウンロードが可能です。
CCPMの基礎概念や、組織に定着させるポイントを記載しています。