「社内のDX化を推進したいが、予算が限られているので躊躇している」

昨今、DX(デジタルトランスフォーメーション)化の進展により、このように悩む方も多いでしょう。

社内のDX化を進めるためには、さまざまなITシステムの導入が必要となり、多額の費用が求められるからです。

しかし、助成金をうまく活用できれば、その負担を大幅に和らげられます。

本記事では、DXに関する基礎知識とDX関連の助成金について解説します。

DX推進のために必要な費用の捻出に悩んでいる企業経営者や担当者の方は、ぜひ最後までご覧ください。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

DXとは、「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略語で、日本では「デジタル革新」などと呼ばれます。

DXの目的は、優れたIT基盤やツールを導入して、革新的なサービスやビジネスを創出することです。

経済産業省はDXを以下のように定義しています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること
引用元:D X 推進指標(サマリー)|経済産業省

DXが推進されることで、顧客ニーズへの早急な対応や企業の成長が期待できます。

IT化との違いは?

一見すると同じように見えるDX化とIT化には明確な違いがあります。

IT化は、情報技術を導入することで社内の生産性を上げることが目的です。

一方のDXは、IT化を実施したうえで、さらに顧客のニーズに沿った革新的なサービスの創出を目指します。

例えば、「IT基盤を仮想化した」だけではIT化にしか過ぎませんが、「仮想化したことで拡張的なバックアップ機能をお客さまに提供できた」というところまで進めば、DX化だと言えるでしょう。

DX化を推進するために必要な4つの要素

DXに必要な要素は概ね以下の4点だと言われています。

  • IT化
  • 社内の協力体制
  • 業務プロセスの刷新
  • DX人材の育成・採用

DXはデジタル技術を駆使するため、社内のIT化が進んでいなければなりません。

また、DX化を推進するためには、社内の協力体制も必須です。

社内で協力を得られなければ、持続的なDX推進計画が立てられず、DXのスムーズな導入が難しくなるからです。

DXが進むと既存のシステムが大きく変化し、今までの業務プロセスでは通用しなくなります。

そのため、業務プロセスを新しく考え直し、社内に広く告知することも必要となります。

DXを導入するために必要な費用

ここでは、DX化に掛かる費用を紹介します。

IT投資

組織にIT基盤やツールを導入していない場合は、購入費用が発生します。

一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会によると、2021年度のIT予算を増加させると答えた企業は、全体の38.5%を占めており、増加傾向を維持しています。

その後もIT投資は増加・維持の傾向は続き、堅調に推移すると予想されています。

このようにIT投資に企業が意欲的なのは、IT投資へいかにお金をかけるかが企業の競争力を決める傾向にあるからです。

IT基盤やツールは定期的に見直す必要があり、リプレースの時期にも多額の費用がかかります。

出典:一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会

DX人材採用費

DX人材とは、DXの推進を進めるうえで必要な人材です。

DX人材を確保するには、企業による直接採用やDXに特化したコンサルティングの利用などの方法があり、それぞれに費用がかかります。

また、DX人材を育成する場合も、事業遂行のための教育訓練費が必須です。

このようなコストを念頭に置いたうえで、予算を考える必要があります。

DX推進のための助成金を活用すべき理由

DX推進は国をあげて取り組まれており、さまざまなタイプの助成金が用意されています。

ここでは、助成金を活用すべき理由を説明します。

返済の必要がないため

助成金を国からもらうためには、厳しい審査をくぐり抜ける必要があります。

助成金を貰えたということは、それだけ意義のあるDX推進を進めていることと同じで、外部からの信頼アップにつながります。

例えば、金融機関から高く評価されると、銀行からの融資を優先的に受けられる可能性があります。

顧客からも信頼できる会社だと認識してもらえ、受注が入りやすくなるかもしれません。

返済の必要がないから

助成金は返済する必要がありません。

融資などの借金は返金の義務を負うため、自社で保有している資金と同じように使えるわけではなく、その用途には制限があります。

万一DX化に失敗したとしても、借金を抱え込み、資金繰りが悪化して倒産するリスクを最小限に抑えられます。

国からのお墨付きが得られるから

助成金を国からもらうためには、厳しい審査をくぐり抜ける必要があります。

助成金を貰えたということは、それだけ意義のあるDX推進を進めていることと同じで、外部からの信頼アップにつながります。

例えば、金融機関から高く評価されると、銀行からの融資を優先的に受けられる可能性があります。

顧客からも信頼できる会社だと認識してもらえ、受注が入りやすくなるかもしれません。

助成金の導入方法

ここでは、助成金の導入方法を紹介します。

助成金申請の対象を調べる

まずは、自社が助成金の対象に入るのかどうか、情報を集めましょう。

企業規模や事業内容によっては採択されないケースもあるので、細かい条件にまで目を通すようにしましょう。

申請書を提出して審査、採択される

条件に合致してれば、申請書を提出します。

申請書には支援機関の推薦や納税証明が必要な場合もあり、時間がかかるケースもあります。

そのため、ある程度期間に余裕をもって申請するのが大切です。

事業を実施して報告書を提出する

審査に通過すると、実際に計画書に沿って施策を進めます。。

施策を実施した後に事後報告書を提出することで、助成金が受け取れます。

場合によっては数年にわたって報告書を提出する必要があるため、過去の実施記録はしっかりと残すようにしましょう。

助成金申請の前に準備しておくべきこと

ここでは、助成金の申請前に準備しておくべきことを説明します。

申請マニュアルをきちんと確認する

申請マニュアルはしっかりと確認しましょう。

マニュアルの確認を怠ると、手戻りが発生し無駄なコストや時間がかかってしまいます。

特に、期限と要件の部分が重要となるため、よく読み込んでおきましょう。

DX関連のレポートを確認する

DX関連の社内にあるレポートを確認しましょう。

もし助成金が採択されたとしても、DX推進計画に問題があれば、あまり意味のある成果が得られません。

また、助成金が本当に自社が考えているDX推進計画に沿ったものなのかも考えてみましょう。

助成金の意図と事業があまりにもずれていると、必要のない設備投資が後から増えるほか、お金をかけて導入したITツールを経営に活かせないようなケースも起こり得ます。

資金がもらえるからという理由だけでなく、きちんと事業内容も踏まえた理由付けが重要です。

自己資金を用意する

助成金がなくてもDX推進事業が進められるよう、自己資金を用意しておきましょう。

助成金が採択されたとしても事業完了後であり、事業経費は全額先払いなので資金がないと続きません。

また、助成金申請の段階では、評価対象の一つに資金力が含まれているため、自己資金があったほうが審査に通りやすくなります。

助成金がなくてもDXを推進できるような、見積もりと計画を立てておくことが大切です。

DXに役立つ助成金の種類

ここでは、DXに役立つ具体的な助成金を紹介します。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」は、小規模事業者から中小企業向けの助成金です。

革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセス改善のための設備投資を支援する目的で発足されました。

一般枠で最大1,250万円の補助額が設けられており、海外事業をメインとしたグローバル展開型であれば、最大3,000万円の補助が受けられます。

新型コロナウイルスの感染拡大という事情から、ウイルスの感染を乗り越えるために前向きな投資をする事業者には、通常枠とは別に補助率が引き上げられます。

参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金|令和3年補正予算|株式会社MIS

IT導入補助金

「IT導入補助金」は中小企業や小規模事業者向けの助成金で、IT基盤やITツールの導入にかかる費用を一部負担してくれます。

今までIT投資を実施したことのない事業者でも、問題なく活用できます。

最大450万円までの通常枠のほか、デジタル化基盤導入枠やセキュリティ推進対策枠などが用意されています。

「IT導入補助金」を利用すれば、より少額の負担で適切なセキュリティ対策を講じられます。

参考:IT導入補助金について | IT導入補助金

戦略的基盤技術高度化支援事業

「戦略的基盤技術高度化支援事業」は、中小企業向けに精密加工、表面処理、立体造形などのものづくり基盤技術の向上を図ることを目的として発足されました。

補助金額が比較的大きく、単年度あたり4,500万円以下、そして3年間の合計で9,750万円以下となっています。

半導体事業や精密機器メーカーなど、製造に高度な技術が必要な製品を作成しているメーカーが主な対象です。

条件はやや厳しめに設定されていますが、令和3年度では60件の事業が採択された実績があります。

参考:戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン) | 研究開発 | J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]

小規模事業者持続化補助金

「小規模事業者活性化助成金」は、日本商工会議所が提供する小規模事業者向けの助成金です。

新型コロナウイルスの蔓延や、円安による原料価格高騰などの厳しい外部環境に向き合うため、自己変革を目指す企業を支援します。

採択された事業者も比較的多く、規模の小さい事業者にとってもハードルの低い助成金と言えるでしょう。

参考:令和元年度補正予算 日本商工会議所 小規模事業者持続化補助金 :: 採択者一覧

サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金

国内のサプライチェーンの強化を図るため、「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」が提供されています。

サプライチェーンの途絶による、リスクが大きい重要な物資の生産拠点を国内に整備することが目的です。

半導体関連やPCR検査試薬、高原検査キット、焼結鉱用石炭原料関連の事業などが対象となります。

現在は公募を終了していますが、3次公募では85件の事業を採択しました。

参考:サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金(3次公募)の採択事業が決定されました (METI/経済産業省)

事業再構築補助金

「事業再構築補助金」は、中小企業などの事業再構築を支援するための助成金です。

従業員数によって受けられる補助金の金額が以下のように変わります。

  • 従業員数20人以下:100万円~2,000万円
  • 従業員数21~50人:100万円~4,000万円
  • 従業員数51~100人:100万円~6,000万円
  • 従業員数101人以上:100万円~8,000万円
    ※上記はすべて通常枠の場合

小規模事業への助成金が多いなか、中堅規模の企業も対象に入っています。

思い切った事業再構築案を考えている会社は、一度検討してみましょう。

参考:事業再構築補助金

助成金を活用してDX化を進めよう!

今回の記事の内容を以下にまとめました。

  • DXを推し進めることで革新的なサービスやビジネスが創出される
  • DX推進には多額の費用が発生する
  • DXを推進するために役立つさまざまな助成金が存在する
  • 助成金を活用することで、周囲からの信頼も得られる
  • 助成金申請のために、前もってDX関連のレポートを確認しよう

DXは日本政府も力を入れている分野であり、これからの企業成長を見据えるのであれば、早めに取り組んでおきたい経営課題です。

しかし、費用対効果が悪いと判断し、なかなか着手に踏み切れない組織も多いのではないでしょうか。

そのような場合は助成金を活用することで、費用面の負担を減らしつつDXを推進できるかもしれません。

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