2012-2013日本カー・オブ・ザ・イヤーに輝いた、マツダCX-5。CX-5には、「走る歓び」「優れた環境・安全性能」を実現した、革新的技術『SKYACTIV TECHNOLOGY』が搭載されています。
『SKYACTIV TECHNOLOGY』の技術を用いた新車の開発計画において、現場が経営層から求められたのは、開発期間を一般的な開発期間の半分にすることでした。この計画に、悪戦苦闘しながらCCPM導入を推進した元マツダ/田中義道氏。 田中氏に、CCPMを展開する為の秘訣を伺いました。
CCPMは大企業、大きな組織でも適用可能ですか?
適用可能です。ただしフォローに工夫が必要です。
プロジェクト全体の進捗状況を必要な時に瞬時に把握し、ゴールを守るために必要な対応をすることが、CCPMを管理ツールとして使う狙いですから、現場のアクションが全体の進捗に即反映できるようにする必要があります。ですから必要に応じてタスクの階層化をすることが重要になります。
そして定期的な全体の進捗フォローに対応して現場の状況が反映される仕組みとルールが必要です。仕組みやルールといっても簡単なものです。例えば、毎週水曜日にプロジェクト全体のフォローすると決めれば、フォロー会議の直前か早くても一日前に、一番下の階層から順次上の階層のタスクの進捗をフォローし、最後はプロジェクト全体をフォロー会議で行うというようなモノです。
CCPMは中小企業でも適用可能ですか?
同様に適用可能です。
あくまでもプロジェクトのマネジメントですから、企業の大きさではなく、プロジェクトの大きさで必要に応じて階層化の工夫をすることで、上手く運用できます。
CCPMを実践する際、サプライヤーや下請企業を巻き込んだ方がより効果があると思いますが、どのようにして協力体制を築かれましたか?
プロジェクトのスケジュール管理をCCPMという考えで行っていることを、社内外の関係者全員にオープンにするのがいいと思います。勿論、スケジュール自体を実際に見せて説明することを薦めます。
ただし、CCPMを使うことを社外の人に強制するのはいいこととは思いません。ですが会社(本部)としてはゴール(期限)を守るためにCCPMを使っている訳ですから、CCPMの考え方を説明し協力してもらうことは必須と思います。
その気で協力してもらうには実際のスケジュールを見せ、各自がプロジェクトを成功させるためにどのように関係しているかを見せることです。担当するタスクが遅れるとどのような影響がでるのか、シュミレーションで見てもらうことで、自分の位置づけが明確に理解でき、モチベーションを高めることに繋がります。ですから、関係者全員にCCPMのスケジュール自体を見せることを基本としました。
例えば、担当している部品の納入が遅れるとプロジェクトに「これだけの影響」が出ますと目の前で見せられて、なんとかしようと思わない人はいないと思います。
また、ゴールに辿り着くには、これだけの評価をする必要がありますが、これだけの試作では足りませんとスケジュールを見せられて、費用を工面しない上司はいないと思います。協力しなければ、また工面しなければゴールは守れません。それでも「守れ!」では、手抜きになってしまいます。
CCPMを社内で展開する際、トップダウンとボトムアップはどちらが良いと思われますか?
組織の風土体質に左右されると思います。
多くの組織が今までに様々な改善施策を実行されていると思います。それらの施策が従業員に受け入れられ成果をあげているならば、トップダウンで上手くいくと思います。
が、「また新しい施策か」という雰囲気がある組織ではトップダウンは向かないでしょう。
ボトムアップでは気長な取り組みとなることも理解しておくことがいいと思います。
物事を上手く動かすには「啐啄同時(そったくどうじ)」的なボトムアップとトップダウンの絶妙な呼吸が必要ですが、CCPMの展開もその基本は変わるものではありません。