「働き方改革ですべき施策がわからない」

「働き方を良くするためにどんな施策があるのか知りたい」

このような悩みは組織ではよく見受けられます。

今は政府も積極的に働き方改革に取り組んでおり、2018年6月には「働き方改革法案」が成立しています。

以上に伴って、日本企業は従業員が働きやすい環境を整備していくことが求められています。

ここでは、具体的な働き方改革の施策や事例を紹介します。

組織の働き方改善に悩む経営層の方は、ぜひ最後までご覧ください。

具体的な働き方改革の施策

ここでは、具体的な働き方改革の施策を3つ紹介します。

テレワーク

テレワークとは、Tel(離れて)とWork(仕事)を組み合わせた造語で、ITを活用してオフィスから離れた場所で仕事をすることを指します。

テレワークが進めば、通勤に時間が取られる必要がなくなるため生産性の向上が期待できます。

たとえば自宅でテレワークする場合は在宅勤務、移動中の交通機関や顧客先でテレワークをする場合はモバイル勤務と呼ばれます。

東京都や神奈川、大阪府などの大都市圏での利用率が高く、地方との利用率の差が大きく見られます。

育児休暇

育児休暇は、事業主が独自に設置する育児のために休暇を取ることのできる制度です。

近年、男性の取得率増加で話題となることも多く、耳にする機会も増えているのではないでしょうか。

育児休業とよく混同されますが、育児休業は国が定めた休業制度であるのに対し、育児休暇は企業が独自に定めた制度であるという点で異なります。

育児休業では原則子どもが1歳になるまで休めますが、十分な休みとは言えません。

社員がより安心して働くためにも、育児休暇を整備することが企業に求められています。

フレックスタイム制

フレックスタイム制とは、決められた総労働時間の間で、働く時間を労働者自身が自由に決められる制度です。

フレックスタイム制により、従業員の都合に合わせて早く帰ることも、遅くまで残って仕事を終わらせることもできます。

たとえば1ヶ月に働く時間が150時間と決められていた場合、合計が150時間になれば一日10時間働く日や4時間で切り上げる日があっても構いません。

企業によっては、コアタイムという必ず出勤していなければならない時間帯を設けている場合もあります。

労働者が仕事とプライベートのバランスを取りながら充実感を持って働くためにも、フレックスタイム制は重要な制度です。

テレワークの施策事例4選

ここでは、テレワークの施策事例を4つ紹介します。

コネクシオ株式会社

コネクシオ株式会社は、コンシューマ向けに家電量販店へのスマーフォンの販売や保険ショップの運営をしている企業です。

法人向けにはモバイルソリューションやIoTソリューションなどを提供しています。

同社は、「ES(従業員満足)なくしてCS(顧客満足)なし」との考えのもと、従業員のワークライフバランスの向上に取り組みました。

法人営業部門では2015年からテレワーク導入を進めています。

果外出先や出張中にも事務的な仕事は処理できるようになり、生産性の向上につながっています。

2012年には合併を契機に従業員のモチベーション向上を目的として働き方・休み方の見直しも実施され、各種業務手順の標準化が進みました。

キャリア認定ショップには変形労働時間制が導入され、1日の所定労働時間は最長で12時間、最短で4時間が設定されました。

これにより、来客数の多い日や時間帯に対応できるようになる一方、従業員視点ではプライベートを有効活用できると好評を得ています。

参考:コネクシオ株式会社:働き方・休み方改善取組事例 | 働き方・休み方改善ポータルサイト

日産自動車株式会社

日産自動車株式会社では、ダイバーシティディベロップメントオフィスを中心にテレワークを推し進めています。

2014年1月より、生産工程以外の全従業員の在宅勤務制度の利用上限を月5日(40時間)まで利用できるよう拡充しました。

従業員のワークライフバランス向上が目的であり、結果として育児・介護期の従業員の利用が倍増しています。

単に在宅勤務を認めるだけでなくきちんとガイドラインを決めることで、管理が粗末になり逆に生産性が下がることを防いでいます。

例えば、業務の開始時と終了時に上司にメールで報告するようにルールを定めています。

従業員からは、時間をより有効に活用できるとテレワークに対し肯定的な意見が上がっています。

参考:テレワーク活用の好事例集 | 厚生労働省

株式会社SiM24

株式会社SiM24は、電子機器やバイオ分野までのさまざまな受託解析を請け負う会社です。

シミュレーションをベースとしたCAE技術を活用して、設計・製造現場の技術革新やコスト削減を支援しています。

同社は、2005年の創業時からと比較的早い時期からテレワークを取り入れています。

同社は当時から優秀な女性技術者が出産や育児で退職していくのを問題視していました。

解析業務は待機時間も発生するため育児や家事と相性が良いことから、完全在宅勤務制度を導入しています。

在宅勤務時の条件として勤務終了後に労働時間の報告を行うほか、報告とお客様へのアウトプットの管理を綿密に実施しています。

結果として従業員は、仕事と育児を両立させながら働けるようになりました。

企業側も優秀な人材を失わずに済むので、コストパフォーマンスの高い仕組みを確立できています。

参考:テレワーク活用の好事例集 | 厚生労働省

イオンスーパーセンター株式会社

イオンスーパーセンター株式会社は、2015年9月より障がいを持つ従業員を対象としたテレワークを実施しました。

店舗の作業効率の改善と障がい者雇用の推進を実現するのが目的です。

小売業はテレワークが難しく、現場に出てきて仕事をするのが一般的です。

同社では月間480時間の労働時間の中で計460時間の業務を「場所を選ばない作業」として店舗から切り出し、テレワークを可能にしました。

結果として仕事を任される充足感が発生し、一人の発達障害を抱える社員からコミュニケーションが好きになってきたという声も上がってきています。

出典:イオンスーパーセンター株式会社:働き方・休み方改善取組事例 | 働き方・休み方改善ポータルサイト

育児休暇の施策事例4選

ここでは、育児休暇の施策事例を4つ紹介します。

株式会社丸井グループ

株式会社丸井グループは両立支援制度を設けており、育児休職や看護休暇など積極的に育児のサポートに取り組んでいます。

また女性だけでなく男性の育休取得にも積極的で、2016年度の男性の育児休暇取得率は94%と高水準です。

たとえば出産までのサポートとして産前休暇を妊娠直後より取得できます。

他にも、育児のサポートとして育児休職は子どもが3歳になるまで取得可能です。

「短期の男性育休は当たり前」という風土があり、男性の育児休暇取得率を高めたい企業にとっては、大いに参考になる事例だといえるでしょう。

参考:「多様性」を活かす組織づくり | 重点テーマ2 | サステナビリティ | 丸井グループ-maruigroup website-

日本生命保険相互会社

日本生命保険相互会社は、2013年から「男性の育児休業取得率100%」を目標に掲げています。

同社は従業員の9割が女性なので、会社が継続して成長するには女性の活躍が欠かせません。

男性が育児に積極的に参加することで、女性の働き方を理解することで職場の風土を変えていく狙いがあります。

具体的な取組みとしては、経営層からの継続的なメッセージ発信や人事部による取得計画の徹底フォローが実施されています。

結果男性の育児休暇取得率が4年連続で100%、そして取得者は男性従業員の約16%にあたる累計1200名を超え、他の企業を圧倒する勢いで育児休暇が取得されています。

参考:働き方改革事例集 | 経団連

旭川信用金庫

旭川信用金庫では、女性活躍推進に向けた育児休業の取得をすすめています。

配偶者の出産時には人事部が当該職員に特別休暇の取得を推奨し、父親の育児参加を促しています。

他にも、子育て支援ガイドブックを作成の上説明会を開催し、育児に関する制度の周知と休暇を取得しやすい職場風土の構築に努めています。

このように、女性活躍推進のためには男性の育児参加を進める方法もあります。

参考:旭川信用金庫:働き方・休み方改善取組事例 | 働き方・休み方改善ポータルサイト

双日株式会社

双日株式会社では、育休取得率を100%を目標に育休に積極的に取り組んでいます。

女性のみならず男性にも育児に参加してもらうため、男女共通の育児休暇制度を2022年4月から整備しました。

男女共取得できる「産後育児休暇」を新設し、子どもが生まれてから1歳になるまでの間、40日間を限度に取得回数の制限なく分割ができる有給休暇が与えられます。

この制度は、2022年10月1日から「育児休業制度」が拡充されることを見据えての試みです。

社員から、柔軟に休暇を取得したい、配偶者の都合に合わせて時期を調整したいなどの意見もあり制度の整備が進みました。

会社側としては、女性活躍を加速させたい思いやジェンダーに関わらず活躍してほしいという思い、結果として会社全体の生産性向上につなげたいという思いがあります。

参考:双日、新しい育児休暇制度導入 | 双日株式会社

フレックスタイムの施策事例4選

ここでは、フレックスタイムの施策事例を4つ紹介します。

株式会社東邦銀行

株式会社東邦銀行で「人を大事にする経営」を基本理念に、2016年にフレックスタイム制を導入しました。

11時~16時をコアタイムとして、それ以外の時間帯は従業員が個々の事情で出退勤を決められます。

営業店・本部全体を対象としており、地域金融機関においては比較的先進的な取組みです。

これまで営業店の窓口業務で支障が生じたことはなく、もし人員不足が発生した場合でも近隣から応援人員を充てる対応策をとっています。

いまでは、営業店の約8割の従業員がフレックスタイム制を活用しています。

参考:働き方改革事例集 | 経団連

アサヒビール株式会社

アサヒビール株式会社では、「全社員が安全で健康に働ける環境をつくること」という使命の元、フレックスタイム制を導入しています。

コアタイムのないスーパーフレックス制のため、従業員は自由に出社・退社時間を決めることが可能です。

ほかにもテレワークの導入やモバイルワークの推進による外勤者(営業担当者)の直行直帰の奨励、リフレッシュ休暇制度なども実施しています。

これらの取組みは外部からの評価も高く、育児を高い水準で支援している会社へ厚生労働省から授与される「プラチナくるみん」認定を受けています。

社員の働きやすさを追求しつつも、生産性を落とさず結果を出し続けている企業です。

出典:フレックスタイム制度で生産性の向上を!3つの企業の成功事例をご紹介 | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

野村不動産株式会社

野村不動産株式会社は、役職や等級に限らずすべての人がフレックス制を利用できます。

もともと等級で制限をかけていましたが、不要との声が大きく制限が撤廃されました。

フレックス制度をさらに活用するため、朝食を無料提供したり、勤務途中でのリラクゼーションサロンの利用を認めたりと、幅広い施策を実施しています。

取り組み外部からも評価されており、2016年には「新・ダイバーシティ経営企業 100 選」に従業員数301人以上の大企業部門で不動産会社として初めて受賞しています。

また同年、女性活躍推進法に基づく認定マーク「えるぼし」において最高評価の3段階目を取得しています。

出典:野村不動産HDの働き方改革事例|社員のウェルネスと会社の成長 – 働き方改革事例集

YKK株式会社

YKK株式会社は、2020年度にフレックス勤務制度を推進し利用人数を増やしています。

YKK株式会社は経営課題の一つにダイバーシティ経営を掲げており、年齢や性別、学歴などにかかわらず、すべての社員が仕事において能力を十分に発揮し、長期的なキャリア形成ができるような公正な制度設計を努めています。

その中でフレックス制度を設計し、社員各々が自律的にワークライフバランスを管理することで育児や介護で就業時間に制約のある方でも就業継続を可能にしています。

同社は他にも育児休業制度を性別にかかわらず取得できるように制度を整えており、テレワークや時短勤務も取り入れています。

YKK株式会社の取り組みは、平成29年度に経済産業省が主催した「新・ダイバーシティ経営企業100選」に選ばれるなど外部からも高い評価を受けています。

出典:YKK株式会社:働き方・休み方改善取組事例 | 働き方・休み方改善ポータルサイト

まとめ:働き方改革に取り組むための自社に合った施策を講じよう!

さまざまな企業が多種多様な施策を実施していることがわかりました。

他社の事例を参考にして、自社に合った施策を模索していきましょう。

働き方改革が成功すれば生産性も上がるため、プロジェクトが円滑に進み会社の売上や利益の増加が期待できます。

しかし企業によっては働き方改革以前に社内におけるプロジェクトの進め方に問題があり、売上や利益が思うように伸ばせないというケースもあります。

当社ビーイングコンサルティングは、数々の企業でプロジェクトマネジメントを成功に導いてきたプロフェッショナルです。

社内の管理やプロジェクトの管理にお悩みの方は、ぜひ一度下記資料をご覧ください。

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