上流プロセスマネジメント
上流プロセスマネジメントのポイント
上流プロセスは、プロジェクトの中でも特に不確実性が高く、マネジメントが非常に難しい領域です。
そのため、マネジメント対象から除外し、メンバー任せにしている組織も多いです。
しかし、上流プロセスにおけるマネジメント機能が不足していると、上流プロセスが長期化して下流プロセスのスケジュールを圧迫したり、上流プロセスの検討不足に起因して下流プロセスで大きな手戻りが発生したり、下流プロセスに大きな悪影響を与えます。
上流プロセスにおける機能的なマネジメント体制を確立することができれば、プロジェクト全体の成功可能性を飛躍的に高めることができます。
上流プロセスとは
システム開発における要求分析/要件定義、製品開発における研究開発/要素開発/製品企画などのプロジェクトの上流プロセスでは、高い創造性/独創性、潜在的なニーズ/要求の言語化、実現可能性の探索などが求められます。
上流プロセスでは、試行錯誤を重ねていく中でしか判断できないことが多く、不確実性が非常に高くなる傾向があります。
よくある問題点
「計画を立てづらい」「頻繁に変更が発生する」といった上流プロセス特有の問題にはそれぞれ因果関係があり、以下のような悪循環のサイクルに陥ってしまっている場合が多いです。
解決の方向性
悪循環のサイクルから抜け出すために、「意思決定しなければいけないことが多すぎる」「上流プロセスは詳細な計画を立てられない」という2つの根本問題の解決を図ります。
段階的フルキット
段階的フルキットによって、すぐに決めなくても良いことを決めて、今やるべきことだけに集中して取り組める環境を作ります。
上流プロセスのゴールやマイルストーンごとに、“いつまでに/誰が/何を決めておかなければならないか”を予め明確にしておくことで、すぐに決めなくても良いことにまで着手してしまうことを防ぎます。
これによって、然るべきタイミングで、然るべき意思決定者が、決めなければならないことを確実に決めることが可能となります。
ベロシティベースバッファマネジメント
ベロシティベースバッファマネジメントによって、タスクの総規模だけを見積もった大まかな計画とタスクの進捗ペース(ベロシティ)から残日数やプロジェクトの進捗状況を予測/見える化し、状況に応じた的確なマネジメントが実現可能となります。
タスク規模の見積もりは 、“「●●を実行する」は10ポイント”といった要領で行い、総量を算出します。
ベロシティは、直近までのタスク完了実績やリソース数量などから、一定期間内でどれほどのポイント数分のタスクを完了させることができるかという観点で算出します。