Interview 1: どのようにして組織の文化を変革していったのか?(3/4)

* AQUOS R で撮影

セクショナリズム:
どの会社にもある壁を砕くには?

後 藤:TOCを導入して大きく変わった点は、全体の流れを俯瞰して全体最適の視点で思考する人が増えたことだと思います。導入前も、担当するプロジェクトや部下のマネジメントはしっかりされていた印象ですが。

宮内様:昔は所帯も小さく、1つの組織にソフトウェア開発担当もハードウェア開発担当も所属していたこともありました。その時の情報の流通はとてもタイムリーでした。しかし、プロジェクトの規模が大きくなり、業務内容も増え、それに伴い人も増えて、組織が大きくなるにつれて…。

後 藤:当初はそれで良かった、そのように組織を変えることで成功していたはずです。しかし、組織が大きくなり、組織の役割分担が細分化されるにつれて、そのことが情報の流通の壁になっていったのではないでしょうか?

宮内様:そうですね。どこの会社もそうでしょうが、どうしてもセクショナリズムというものがあります。部門ごとに与えられたミッションが異なるので、それが足かせになりがちです。

後 藤:そのセクショナリズムの壁を砕くために、2016年3月に「制約特定セッション」を実施しました。関係する全部門を跨る組織のパフォーマンスを妨げている制約をいくつか特定しました。その中で直ぐに解決の方向性を実行できる2つの制約に注目しました。

* マネジメントイノベーション2017 シャープ様発表資料より抜粋

宮内様:事業部全体を巻き込む転機となったのが、そのセッションですね。2番目の制約である「階層間の戦略・戦術のつながりが足りない」については、自分たちがしっかりできている事項と思っていました。しかし、後藤さんは本部経営幹部に、現場までの(戦略・戦術の)繋がりが不足している点を指摘されました。そのことが大きなきっかけになったと思います。

後 藤:刺さるものがあったと思います。

宮内様:その後、何度か幹部と「Vプロジェクト*1」のメンバーで、この制約について話し合った所、やはり(戦略と戦術が)繋がっていないという結論に達しました。

後 藤:私が非常に嬉しかったのは、「S&Tツリー(戦略・戦術ツリー*2)」構築の中心となる「Vプロジェクト」のメンバーとして様々な部門の方に参加していただけたこと、そして、メンバー達の検討結果を副本部長の中野様にお伝えしたところ、副本部長ご自身が「よし、やってみよう」と解決の方向性に賛同してくださったことです。初めは抵抗がおありだったのではないかと思います。事業部のトップとしてしっかりと伝えているはずの戦略や戦術が現場に伝わっていないのは、部長やマネージャーの問題だと思われていたかもしれません。しかし、個人の問題ではなく組織の問題とご理解されたからこそ、「よし、やってみよう」とおっしゃってくださったのではないかと思います。

宮内様:今の状況を作った一因が、マネジメント全体にもあると思われたのかもしれません。

後 藤:中野様が推進してくださったことは、事業部全体のマネジメント変革を進めるために非常に大きな意味がありました。どの会社にも当てはまることだと思いますが、自分事ではなく他人事と思われてしまうと、変革が滞留してしまったり、組織全体の同意が得られなかったりするものです。その結果、一つの部門に限られた活動で終わってしまうケースもあります。御社の場合、中野様の強いリーダーシップがあったからこそ、企画部門やソフトウェア開発部門へも変革を拡げることができたと思います。

宮内様:トップが腹を決めて指示しないと難しいですね。

後 藤:その結果、今はS&Tツリーの構築と運用が継続しておられます。皆さまが苦労しながらPDCAを回して継続的にS&Tツリーを運用されているのは、本当に凄い事です。「一度S&Tツリーを構築したら、もう終わり」ではない。環境の変化に合わせ、S&Tツリーの中身を変えていく。このスピード感が違います。中々できることではありません。


*1. Vプロジェクト:パーソナル通信事業部のマネジメントイノベーションを実現するために、各部門の代表者から構成された
  クロスファンクショナルチームの総称。

*2. 階層間の戦略と戦術のつながりを表現するツリー。組織全体を計画的に変革するために必要なプロセスを導き出す階層的フレームワーク。


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