Interview 1: どのようにして組織の文化を変革していったのか?(1/4)

* AQUOS R で撮影

シャープ株式会社 通信事業本部 パーソナル通信事業部は、わずか6ヶ月間で30%の開発リードタイム短縮を成し遂げ、次機種検討時間を確保するなど、TOCを導入することで組織的なマネジメントの変革を実現されました。

その変革活動の中心となったのが、イノベーションリーダーである通信事業本部 パーソナル通信事業部 回路開発部長の宮内様です。

今回、TOC導入プロジェクトのディレクターである弊社シニアコンサルタント 後藤 智博 が、宮内様にインタビューを実施。いかにして組織のマネジメントにイノベーションを起こしたかを語っていただきました。


業態や企業が違っていても、本質的な課題は同じ。
なぜTOCを導入したのか?

後 藤:TOCをお知りになったきっかけは、2015年の秋にTOCの導入事例のビデオをご覧になった時とお聞きしています。

宮内様:はい。当時は、大きな構造改革が断行された中で、会社も広島事業所(パーソナル通信事業部の主拠点)の雰囲気も暗い状況でした。社員のモチベーションが低下している中で、何かしら変えなければいけない。でも、どうしたら良いのだろうと思っていた時に、TOCの事例ビデオを2~3本見る機会がありました。

TOCでは「ボトルネックに注力して対策を打つ」ということが、私にとって目から鱗でした。それまでは「全てに対して手を打たなければならない」という発想でいたのですが、それは違うのではないかと考えるようになりました。シャープと同じ製造業の企業が成功していくビデオを見ながら、本質的な課題は我々も同じであることに気が付きました。

後 藤:業態や企業が違っていても、本質的な課題は同じだろうと思われたのですね。

宮内様:はい。その通りです。マツダ株式会社様の事例*1 などでは、同じ開発に携わる者として、みんなで本質的な問題を解決されたのだろうと思いました。そこで、ビーイング様に依頼して、まずスマートフォンのハードウェア開発部隊の管理者から担当者まで、300名以上を対象にセミナーを開いていただきました。

後 藤:2016年1月5日、初回のセミナーを開かせていただきました。その時、当時の商品開発センター長 八塚様(現パーソナル通信事業部 副事業部長)や宮内様と具体的なお話をさせていだたき、「これは必ず成果が出る、皆さまの思いに応えたい」と思いました。もちろん蓋を開けると様々な障壁があるものです。しかし、その時にそう思えたのは、皆さまの本気度を感じたからです。一人の思いだけではなく、しっかりと組織として、それもハードウェア開発部全体でTOCにトライして、組織に改革を起こそうという強い意思表示があったので、その実現に私も貢献したいと思いました。

宮内様:本気度を感じられない時は、どうされるのですか?

後 藤:様々な事情で、実際にそういったケースもございます。我々は、その状況を知りながらコンサルティングサービスを提供することはございません。それは、お客様のためにもならない事、そして上手くいかない事は分かっているからです。

TOC導入を成功させるためには、お客様の社内に強い想いを持っている方がいらっしゃる必要があります。周囲を巻き込める方も非常に重要です。御社にはそのような方々がいらっしゃいましたので、我々としても是非一緒にやりたいと思いました。

宮内様:様々な苦境の中で、慣れ親しんだやり方を変えないといけないと考える人はいますが、積極的に変えていくのは難しいと思います。私自身も、業績が右肩上がりなら考えもしなかったし、やっていないと思います。

後 藤:我々は差し迫った危機のことを「アリゲーター*2」と呼んでいますが、危機的な状況にある会社では、その状況から脱出しなければいけないことに気づく人が、変革に向けて組織を引っ張っていくようになるケースが多いです。

宮内様:私自身、具体的な成功イメージがわいていたわけではありませんでした。とにかく今の環境や雰囲気を変えたい、モチベーションを高めて、良い商品をユーザーに提供できる環境を作りたい。今より一歩先に進みたいという思いで始めました。

ただ、セミナーを開催したからといって、どうにかなるものではありません。八塚がCCPMを導入することを宣言して、ハードウェア開発の各部門長が賛同してくれたので進められました。プロジェクトマネージャーも積極的に取り組む姿勢を見せてくれました。

後 藤:私も、回路開発部マネージャーの井伊様、山下様、鈴木様といったプロジェクトマネージャーの方々に助けられたと思っています。場の空気作り、率先して引っ張っていく勢い、細かい事も含めて自ら積極的に動いていただけたので非常に助かりました。

宮内様:彼らが前向きに頑張ってくれなければ成功しませんでした。


*1. マツダ株式会社パワートレイン開発本部様が “SKYACTIV TECHNOLOGY” 開発プロジェクトにCCPMを全面適用した事例
  弊社シニアコンサルタント 後藤 智博 が導入を支援。

*2. アリゲーターとは、チェンジマトリクス(人々の変化への抵抗を克服するツール)の要素の一つ。変化しない事のマイナス面を表す。


お問い合わせはこちら