新国立競技場はオリンピックに間に合うか?

昨年のサッカーワールドカップブラジル大会は、スタジアムの建設が遅れに遅れ、ピッチの状態も良いとは言えず、芝の代わりに緑色のスプレー、という会場までありました。
日本では「あり得ない」と思いながら、対岸の火事を眺めていました。

ところが、「あり得ない」ことに、先月、オリンピック開催まで5年を切ったところで、新国立競技場の建設計画が白紙になりました。
国際コンペからやり直すそうですから、まさに「ゼロベース」の再スタートです。

「絶対に遅れられない」プロジェクトについて、都民の一人としても非常に高い関心を寄せています。

現時点の政府案では、来月中に国際コンペを実施、来年1~2月に事業者を選定し建設に着手、2020年春に完成予定となっています。
つまり、事業者の選定から完成まで、約50ヶ月です。
日本オリンピック委員会(JOC)が2019年12月の完成を要望しているという話もありますので、更に短く48ヶ月(4年)を切る工期になるかもしれません。

これがどれだけ短期間か、国内最大規模の2つのスタジアムと比較してみましょう。

名称 設計期間 建設期間 総費用 最大収容人数
日産スタジアム 26ヶ月 45ヶ月 603億円 72,327人
埼玉スタジアム
2002
38ヶ月
(基本設計含)
41ヶ月 535億円 63,700人

新国立競技場は8万人以上の収容という話もありますので、建設の規模感はこれらのスタジアムを上回ることはあっても、下回ることはまずないでしょう。
また、建設地が都心というで、建設車両や資材を置くスペースの制限、周辺住民への騒音配慮、周辺道路の混雑など、これらの2つのスタジアムよりも厳しい条件が重なっています。

目に留まったのは、日産スタジアムのホームページの以下の記述です。
「全国24カ所の工場で柱・梁・床を製造し、現場で組み立てる新工法で、従来の工期より短縮できました。」

当時の新工法でも71ヶ月かかっていることを考えると、その70%の時間しか残されていないことが分かります。スタジアムの完成当時に比べ、技術は更に進歩しているでしょうが、かなり厳しいことが推測できます。

もちろん工期だけでなく、2020年以降何十年間もオリンピック・レガシーとして残るデザインと安全性を含めた品質、国民が納得できるコスト(メンテナンス費も含め)にしっかり折り合いを付けなければなりません。
このように見ていきますと、新国立競技場の建設プロジェクトがいかに高いハードルであるかが分かります。

では、どうすればよいのでしょうか?

オリンピックの成功を願い、日々の報道でも様々なアイデアが飛び交っています。前回の国際コンペで次点だった作品を使えば基本設計期間をカットできるとか、前回の東京オリンピックで使用した駒沢オリンピック公園を改修するなど。

政府としても、首相官邸のホームページ上で意識調査を行うなど、国民に広く意見を集め検討を進めているようです。
来月上旬には、予算も含め新しい案が公表されるようですから、その結果を待ちたいと思います。

ただ、どのような案になるにせよ、オリンピック開催まで期間的な余裕がないことに変わりはありません。
国内の建設現場でCCPMが導入されることも珍しくなくなりました。海外の事例を調査したところ、欧州サッカー連盟のEURO 2012™で使用されるスタジアムの建設プロジェクトに建設途中から導入され、遅れていた工事を当初費用のまま、無事工期内に収めた事例もありました。

TOCコンサルタントとしては、ニュースを見るたびにこんなときにこそCCPMを!と、強く思うのですが、皆さんいかがでしょうか。

シニア・コンサルタント
工藤 崇

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