対立解消図-2 問題解決へのアプローチ

前回は対立解消図で、共通の目的を達成するために異なるニーズに対して行動が対立している背景を表しました。

【対立解消図】

※読み方は前回の[対立解消図-1問題の捉え方]をご参照ください。

対立解消図の最終的な目標は対立を表現することではなく解決へ導くことですので今回は対立の解決策(インジェクション)へのアプローチ方法を紹介します。

対立解消図の重要な要素の1つとして対角の関係性があります。問題の背景として、共通の目的(A)に対する異なるニーズ(B、C)を満たすための行動 (D,D‘)が対立していることを考慮すると、Dの行動がCのニーズを、D’の行動がBのニーズを阻害することがなければ対立は解消しますのでこの斜めの関係をチェックし、確かに対立していることを確認する。結果として、一方のニーズを阻害しないことが分り、対立自体が思い込みであることに気付くこともあります。
このように実際は、対立解消図には様々な要素がありますが、今回はニーズを満たすために取っている行動の理由付けとなっている仮定に話を絞ってご紹介します。

ポイントとなるのは
・対立を構成する異なる行動にはそれぞれニーズと共通目的がある
・目的を達成するためのその行動には、”そうすべきだ”という「仮定」がある

TOCで「問題を作った時と違うレベル、違う視点で考える」とは、「問題」を「対立」として捉え、対立する行動をそのまま見るのではなく、背景にある「目的」、さらに「仮定」を見ることです。

上記の対立解消図で、BとDの間の仮定を検証してみると、在庫を多く持ちすぎずに、必要なモノが必要な場所に必要な数がある状態(アベイラビリティ)を実現できれば、この仮定を覆すことができ、対立が解消します。

アベイラビリティを実現するための解決策の1つとして「需要予測精度を上げる」というアプローチがあります。商品のバリエーションも比較的少なく、少品種多量生産の環境では重大な問題が発生せずに、需要予測精度を上げることである程度は対応できましたが、時代の変化とともに商品のバリエーションも多くなり、多品種少量生産へ推移している状況で、かつ消費者趣向の多様化、グローバル展開など、多くの要素により、需要予測精度の向上では対処しきれず、結果として在庫を多く持つことで対処しようとされるケースが散見されるようになってきました。
要するに、問題が作られた時と同じ考えのレベルで解決しようとしているとも言えます。

そこで、TOCのソリューションでは需要予測精度に頼りきるのではなく、在庫を多く持ち過ぎずにアベイラビリティを実現できる方法を確立しました。
※需要予測ではなく、多頻度補充と在庫水準を動的に変動させる(Dynamic buffer management)ことで実現しています。ここではソリューションの詳細は記載しませんが、同サイトの[見込生産]をご参照ください。

今回はTOCのソリューションを例に挙げましたが、ビジネス環境において様々な問題(対立)があります。長く解決できない問題があるとすると、もしかすると環境の変化などで現状においては仮定が間違っている可能性があります。このことに気付く事は非常にインパクトがあります。その行動を取っている仮定に着目することで両方のニーズを満たす解決策を考え、「問題を作った時と違うレベル、違う視点で考える」ことができます。

今回の連載では、アインシュタインの言葉「我々の直面する重要な問題は、それを作った時と同じ考えのレベルで解決することはできない」について考え、TOC流の問題の捉え方対立解消図とその解決のアプローチをご紹介しました。

コンサルティングにおいても行動や考え方の変化に伴い対立は必然的に発生します。実際に現場で対立解消図を使うこともありますし、頭の中ではこのような思考で解決策を熟考しています。

ビジネス環境だけでなく、プライベートでも多いに活躍してくれますので、まずは身近な問題について気軽にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。きっと今までと違った視点で物事を捉えるチャンスになるはずです。

コンサルタント
西郷 智史

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