マルチタスクって悪いこと? 3分で体感できるマルチタスクゲーム

前回、“悪い”マルチタスクは組織のフローを阻害する元凶であり、改善するだけで大きな効率化が期待できることをお伝えしました。
今回は、“悪い”マルチタスクだと本当に仕事の効率が下がるのか、1ゲームたった3分で体感できるマルチタスクゲームをご紹介します。

○準備するもの
・紙
・筆記具
・ストップウォッチ(時計やスマートフォンなど)

○基本ルール
目の前に「数字プロジェクト」と「ABCプロジェクト」と「記号プロジェクト」の3つのプロジェクトがあります。プロジェクト内容は下記の通りです。

数字プロジェクト = 紙に1から20まで書く
ABCプロジェクト= 紙にAからTまで書く
記号プロジェクト = 紙に○□△の順で20番目まで書く

プロジェクトスタートと同時にストップウォッチをスタートさせ、全てのプロジェクトが完了したらストップウォッチで完了時間(例:75秒)を確認して記録します。

○ケース1(集中型)
「数字プロジェクト」→「ABCプロジェクト」→「記号プロジェクト」の順番で紙に書いていきます。つまり、ひとつのプロジェクトを集中して完了させたあと、次のプロジェクトに移行します。全プロジェクトが完了したらストップウォッチで完了時間を確認して記録してください。
では、スタート!

ケース1が完了したら、次はケース2を行ってみましょう。
紙を裏返すなどして、ケース1で記載したものが見えないようにしましょう。

○ケース2(マルチタスク型)
「数字プロジェクト」「ABCプロジェクト」「記号プロジェクト」を3つ同時に実行します。プロジェクト毎に4文字ずつ交互に書いていきます。
つまり、「1234ABCD○□△○5678EFGH□△○□…」の順番です。

全プロジェクトが完了したらストップウォッチで完了時間を確認して記録してください。
では、スタート!

○結果
ある日のマルチタスクゲームの結果を基に考察してみましょう。

ある日のマルチタスクゲームの結果 全プロジェクトの完了時間
ケース1
(集中型)
54秒
ケース2
(マルチタスク型)
65秒

殆どの方が上記と同じように、ケース1よりもケース2の完了時間が遅い、という結果になっているのではないでしょうか。

もちろん、個人によって秒数の開きや差異はありますが、今回はケース1とケース2の完了時間に大きな差が無い場合で見て行きましょう。

ケース1では、ひとつのプロジェクトに集中して実行しましたので、作業スピードを確保でき、3つのプロジェクトの完了時間が短くなりました。集中して行えるため、品質が確保され、書き間違いなどの手戻りやエラーが発生しにくかったのではないでしょうか。

ケース2では、マルチタスクで実行しましたので、プロジェクトを移動する都度「次に何を書けばよいか」「前回はどこまで書いたか」と思考を巡らせる必要がありました。そのため、思考時間が加わると共に、作業スピードを確保できず、3つのプロジェクトの完了時間が長くなってしまいました。マルチタスクで行うため、品質を確保するのが大変で、書き間違いなどの手戻りやエラーが発生した方もおられたのではないでしょうか。
何よりも“頭”が疲れてしまった、、、という方もおられるでしょう。

「ひとつに集中した方がスピードも品質も確保できる」ということを実感していただけたのではないでしょうか。

さらに、もうひとつ重要な事があります。
全プロジェクトの完了時間から1つ目の数字プロジェクトと2つ目のABCプロジェクトの完了時間を推測してみました。

ある日のマルチタスクゲームの結果 数字プロジェクトの完了時間 ABCプロジェクトの完了時間 記号プロジェクトの完了時間
ケース1
(集中型)
18秒
(推測)
36秒
(推測)
54秒
ケース2
(マルチタスク型)
59秒
(推測)
62秒
(推測)
65秒

ケース1では、1つ目と2つ目のプロジェクトは非常に早いタイミングで完了していることがわかります。ケース2では、1つ目と2つ目、3つ目のプロジェクトの完了時間はさほど差異がないこともわかります。

ケース1の1つ目のプロジェクトが完了したタイミングで
・新商品を市場へリリースできていたとしたら
・プロジェクトの成果物をお客様へ提供できていたとしたら
・他のプロジェクトへ引き継ぎできていたとしたら
ケース2よりも大きな競争優位性を確保できるのではないでしょうか。
場合によっては、プロジェクト完了による早期キャッシュイン(収益)につながります。

プロジェクトのリードタイムの観点で見てもケース1の集中型が明らかに短くなっています。“悪い”マルチタスクによってプロジェクトに待ち時間が発生することに加え、プロジェクトを切り替える際にスイッチングロス(思考を切り替える時間、準備を整える時間)が発生してしまい、結果としてリードタイムが長くなってしまうのです。スイッチングロスの影響は、見過ごすことができないほど大きなものです。
常に全力でタスクをこなしているにも関わらず、プロジェクトのリードタイムが短くならない、という場合は上記の現象が発生している可能性があります。

○まとめ
1つのプロジェクト/タスクに集中すると
・スピードを確保できるため、リードタイムが短くなる
・品質が確保され、手戻りやエラーが発生しにくい
・プロジェクトの完了スピードが上がり、組織のスループットが増加する

マルチタスクでプロジェクト/タスクを実行すると
・スピードを確保できず、リードタイムが長くなる
・品質を確保しにくく、手戻りやエラーが発生しやすい
・プロジェクトの完了スピードが落ち、組織のスループットが低下する

もちろん、全ての環境/作業がこの状況に当てはまるとは限りません。
しかし、私の経験上、殆どの企業でこの現象が発生してしまっています。
これらはどのように改善していくべきなのでしょうか。
改善することが可能なのでしょうか。
次回は、改善の方向性についてお伝えすることができればと考えています。

以上

シニア・コンサルタント
後藤 智博

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