競合他社が容易に真似できない競争力とは? その2

決定的競争力について、今回はもう少し掘り下げてみたいと思います。

決定的とは、競合他社が容易に真似できないという意味であり、一般的な競争優位性とは異なることを前回のブログで書きました。

例えば、独自の高度な技術力がありトガッタ製品を生み出すことで、勝ち続けている企業は、決定的な何かを持っていると言えます。
ただ、このような会社は、実際にはなかなか見当たりません。

市場が大きくなれば、他の企業も見過ごしてくれませんので、一般的に、技術力のみで勝ち続けることは難しくなってきます。
もっとも、企業規模が大きくなればお客様からの信用が増しますし、参入障壁が高ければ、それなりに優位性は確保されるでしょう。

現実としては、自社は確かになかなかの競争力を持っているものの、競合他社もそれなりの競争力があり、かなり手ごわいという状況が多いのではないでしょうか。

競合他社の追随を許さない決定的な競争力を何とか獲得したいものです。しかし現実は、すぐに競合他社に追いつかれてしまいかねない競争優位性で戦い続けているのではないでしょうか。

決定的競争力を持つ企業は、景気や業界の波に左右されず、明らかに上昇トレンドを描くことができるはずです。

いま現在、アベノミクス、原油安などの効果で業績が好調なのは、概ね競合他社も同じ状況でしょう。
しかし、業績が良ければ、他社と横並びでも良いのでしょうか。
競争力に乏しければ、いずれは来る不景気の際、他社と同じように下降の波に沈む可能性が高くなります。

当たり前かもしれませんが、理想は、好景気では他社を大幅に上回る業績をあげ、競合他社が軒並み低迷している時でも、自社だけは手堅い業績をあげ続けることですね。

 

<リードタイム短縮は、決定的になりうるか?>

ところで、決定的競争力をまだ持っていない会社は、どのようにして決定的競争力を獲得すればよいのでしょうか。

皆様のビジネスは実に多岐に渡りますので、全ての企業の実態に即したお話をすることは不可能です。
とはいえ、内容が抽象的だったり複雑だったりしますと、イメージしにくくなると思いますので、今回は、かなり単純化した受注生産型の製造業の例を用いたいと思います。

下記のような市場があるとします。

①平均供給リードタイムが1か月間の受注製品(MTO)の市場。
②価格や品質は、他のサプライヤーと比べ、大きな差がない。
③お客様は、納期短縮を強く望んでいる。

ある日を境に、自社は業界標準の半分のリードタイムで供給可能になったとします。
リードタイムの大幅な短縮については、今回のブログのテーマ外でもあるため、ここでは割愛いたしますが、TOCの生産ソリューションが得意とする分野であり、日本も含め世界中で数多くの事例が存在します。

リードタイムの大幅な短縮という“優位性”だけでも、お客様からの注文がどんどん増えそうに思えますが、実際は、なかなか思う通りにはいかないものです。

なぜならば、お客様にとっては、あまりにもウマすぎる話に聞こえてしまうからです。長年に渡り、業界の標準的な供給リードタイムが硬直的であるほど、そう簡単には信じてもらえません。

お客様に提案を信じてもらえないと、せっかくの能力向上(ここでは、供給リードタイム半減)が、売上や利益に大きくは貢献しません。

時間が経てばお客様も分かってくれるはずだから、これでも十分“決定的”だという見方もあるでしょう。
確かに、このケースの仮定である「短納期を強く望んでいる」お客様のニーズに対して、競合他社よりも遥かに応えられる能力を身につけたわけですから、かなりのところまで近づいたことは間違いありません。

しかし、市場への訴求に時間を費やすということは、同時に、手ごわい競合他社に対策を講じる十分な時間と機会を与えることになります。
賢いライバル企業であれば、真似されてしまうかもしれません。

これでは、競合他社が容易には真似できないという決定的競争力の定義とは合致しません。
決定的競争力を獲得するためには、リードタイムを短縮する能力を構築することに加え、もう少し何かをしなければならないようです。

では、何をどう考えればよいのでしょうか。
次回は、この続きから書き始めたいと思います。

シニア・コンサルタント
工藤 崇

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